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日弁連は6月14日の定期総会で、捜査機関による取り調べの録音・録画を全事件・全過程に広げるとともに、弁護人立ち会いを求める決議を賛成多数で採択した。

取り調べの録音・録画は2019年に施行された。自主的に記録されることが多いものの、法的に義務付けられているのは、「裁判員裁判の対象事件」といわゆる「特捜事件」で、逮捕または勾留された場合に限られている。

録音・録画されていても、違法・不当な取り調べがなされることもある。たとえば、捜査の違法性をめぐり国賠訴訟になっている「プレサンス事件」ではこのほど、検察官が被疑者に対し「評判をおとしめた大罪人」「段々悪い顔になってきてるよ」などと話す取り調べ音声が法廷で流された。

このほか、黙秘する被疑者が、取調室に長時間拘束されたり、暴言を吐かれたりする問題も指摘されている。

決議では、(1)全事件について、被疑者・参考人の取り調べの全過程を録音・録画する、(2)取り調べを受ける際には弁護士を立ち会わせる権利があることを明確にする--ことを求めている。

なお、日弁連によると、アメリカ、EU、韓国、台湾では、取り調べの立ち会いが認められているという。一方、日本では刑事訴訟法上は否定されていないものの、捜査機関が認めることは珍しい。こうした状況を打破しようと、日弁連は今年4月から、国選弁護人などの立ち会いの取り組みを支援する制度を始めた。

討論で発言した佐賀県の半田望弁護士は、最終的に不起訴・不送致になった在宅の否認事件について、準立ち会いをしたことで取り調べ時間や回数が減ったという体験談を披露。「弁護士が取り調べについてのイニシアチブを握れる」「自白強要を防止し、供述の自由を保障できる」などと話した。