六本木駅・麻布十番駅から徒歩10分のところにある『朔旦冬至』

扉を開けて暗い階段を降りた先に広がるのは、漆黒に包まれたムード満点の店内。

これぞ“THE 隠れ家”の一軒で、密やかな和食デートを楽しんでみては?


酒を誘う旬の味覚を求め、食通たちが夜な夜なこの階段を降りていく

ドアを開けると、いかにも雑居ビルといったほの暗い階段が続く。誘った人が連れを驚かせられるように、あえて暗いままにしているとか。降りていくだけで高揚する


上質な大人たちだけが集う、隠れ家中の隠れ家である『朔旦冬至』。その理由は、つい最近まで紹介制の店であったから。

新しい門戸を開こうと、遂に一般の予約も受け付けるようになったが、その始まりはたった8名の顧客だった。



微かな凹凸のある黒い玄昌石を壁に使ったシックな店内。カウンターは樹齢180年の欅、イスは店主自らがデザインした特注品。港区の喧騒を忘れてしまうほど落ち着いた空間だ


それぞれが連れとともに再訪し、それが枝分かれして常連が増えていったのだ。



店主の下枝正幸さんは和食の料理人歴38年。店舗運営にも長け、25年以上前から看板のない店を6軒手掛けてきた。隠れ家の先駆けであり、陽気なその人柄に長年通う常連もいる


再訪が絶えないのは、店主の下枝正幸さんが各地の厳選食材を最適解で提供してくれる安心感にあり。



鳥取から直送されるのどぐろの炭火焼き


鳥取・境港ののどぐろはジューシーさが増幅するように焼き上げられ、未明に掘られる熊本の筍は火入れで香りを引き出す。




北海道産あん肝を低温調理で仕上げ、根室産バフンウニと柚子皮入り土佐酢ジュレを合わせたひと品。

品のあるジュレだから、あん肝とうにの濃厚な旨みが奇麗にまとまっている。


大人の秘密にしておきたい、美味し過ぎる炊き立ての米を味わえる

熱伝導のいいアルミ羽釜を使用。分刻みに変わる匂いを頼りに火力を判断し、プリッとした食感に仕上げる


そして、誰もが楽しみにしているのが〆の白飯だ。席ごとに羽釜で炊かれる米は、下枝さんが惚れ込んだ福井産あきさかり。

炊いている最中からお日様のような香りが漂い、炊き立ては噛めば噛むほどに味が出る。



水の少ない高地で育つ米は、根を広くはって沢の水を吸い、食感も旨みも強いものとなる。ご飯のおともは小笠原産海塩を使った自家製昆布塩や店主が243種類を試食した中で選んだ埼玉産たまごなど。コース¥27,500


残りは自家製昆布塩をふった塩むすびのお土産となり、“隠れ家のままでいて欲しい”とふたりで同じ願望に着地するはずだ。




ワインも店主がセレクト。

右はフローラルなアロマが魅力の仏ローヌの「エルミタージュ・ブラン」¥19,600。左はチリ最高峰のリッチさを誇る「セーニャ」¥39,800。


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