この記事をまとめると

■MKタクシーがマイバッハGLSを使ったハイヤーを導入した

■マイバッハは元々飛行船のエンジンなどを手掛けていた

■今では世界のセレブ達が愛用するプレミアムブランドとしての地位を確立している

マイバッハってそもそもどんなブランド?

 2024年4月、東京など全国の主要都市で運行するMKタクシーが、超プレミアムブランド「マイバッハ」初のSUVであるマイバッハGLSを、タクシー/ハイヤーとして導入したと発表しました。ビジネスでの特別なゲストや大切な人と過ごす時間に、究極の快適さと洗練された上質さを備えた移動体験を提供したい、ということだそうですが、いったいどんなタクシー/ハイヤーなのだろうと興味津々な人も多いのではないでしょうか?

 そもそもマイバッハとは、現在はメルセデス・ベンツのハイブランド「メルセデス・マイバッハ」として世界中のVIPたちに愛されていますが、若いころから優秀な技術者であったヴィルヘルム・マイバッハによってドイツで創立されたブランドです。その才能を見出したのが自動車エンジンの父、ゴットリープ・ダイムラー。マイバッハはダイムラーの右腕として内燃機関の開発に力を注ぎ、その性能は高く評価されていました。

 ダイムラー亡きあとに独立し、当初は巨大飛行船LZ127、通称“ツェッペリン”のエンジン製造を担っていましたが、第一次世界大戦後にドイツでは航空機の製造が禁じられたため、自動車開発に踏み出します。そして1921年に最初のモデル「マイバッハW3」を発表。これが大いに評価され、ドイツ車初のV12気筒エンジン搭載車を発売するなど、プレミアムブランドとしての地位を確立していったのです。

 ところが戦後のドイツは経済的に疲弊しており、経営は厳しく1960年にダイムラーベンツによって買収されます。紆余曲折を経て、マイバッハが華々しく復活を遂げたのは、1997年の東京モーターショーでした。「メルセデス・ベンツ マイバッハコンセプト」が世界初披露されたのです。

 これはSクラスをベースに、全長6mを超える巨体に6リッターのV12気筒エンジンを搭載し、ダイムラー・ベンツをして「ホイールのあるラウンジ」といわしめる豪華さとなっていました。その5年後の2002年には、「57」「62」という最先端の超プレミアムセダンを発表。その発表会ではなんと、豪華客船として知られるクイーンエリザベス2号から車両をヘリコプターで吊り上げ、発表会場まで運んでくるという前代未聞の演出が度肝を抜いたそうです。

 ところが、このモデルの販売は芳しくなく、生産終了を余儀なくされてしまいます。しばらく沈黙のときが流れていましたが、2015年に再びメルセデス・マイバッハSクラスとして復活を遂げました。100年を超える歴史あるマイバッハのDNAがしっかりと注がれた高級車としての誇りと、メルセデスが追求する高い安全性が惜しげもなく投入された超プレミアムなモデルたちが、続々と登場しています。

マイバッハの名前だけあって超豪華!

 さて、その最先端モデルであるメルセデス・マイバッハGLSは、メルセデス・ベンツの最上級SUVのGLSをベースに、デザインからマテリアル、機能性や快適性を徹底的に磨き上げたラグジュアリーSUV。4リッターのV8ツインターボエンジン+ISGを搭載し、通常でも557馬力/730Nmというパワフルさをもちながら、ISGのブーストモードで瞬間的に22馬力/250Nmを上乗せすることができるという、モンスター級の走りを手にしています。

 インテリアは、ベースのGLSが7人乗りもあるのに対し、わずか4名だけのためのラグジュアリー空間という仕上がり。高級ヨットの艇内をモチーフにしたという、クリスタルホワイト/シルバーグレーのインテリアは眩しいくらいの豪華さで、庶民の感覚では「汚したらどうしよう……」と不安になるほど。でも標準装備はブラック内装だそうで、MKタクシー導入車もブラック内装となっています。

 ドアを開ければ、長さ206cmという巨大なサイドステップがせりだしてきて、座面が高いSUVでも乗り降りはスマートに。後席は7人乗りのGLSよりも12cmほど後方に配置されているので、足もとのスペースはとてもゆったりとしています。頭上にはパノラミックガラスルーフ、目の前には12.3インチのディスプレイ、手もとには折りたたみ式のサイドテーブルがセンターコンソールに格納されていて、なんとなんと750mlのシャンパンボトルが3本入る冷蔵庫と、シャンパングラスの格納スペースまであります。

 開けたボトルは保温機能付きホルダーに立てかけておけるという、配慮がすごいですね。夜になれば、まるでシャンデリアにように輝くルームランプや、室内をぐるりと囲むイルミネーションランプも幻想的な空間づくりに一役買ってくれそうです。

 そんなわけで、メルセデス・マイバッハGLS600 4MATICのお値段は、3220万円から! もしMKタクシーで乗るとすると、3時間で7万6000円、以降30分ごとに4500円だそう。なんだかお得に感じてくるような? プロポーズをするときなど、「ここぞ!」というときに奮発して乗ってみたいものですね。