遭難者捜索のための新技術として、スペインのCentum Research & Technologyが開発したのが「Lifeseeker」です。運用例では、峡谷で遭難した2人組をわずか2分14秒で発見したことが報告されています。

Lifeseeker | The Airborne Phone Location System for SAR | CENTUM R&T

https://www.centum-rt.com/product/lifeseeker/



Tool may help find missing people in Colorado’s backcountry within minutes

https://coloradosun.com/2024/05/28/new-technology-search-rescue-helicopters/

「Lifeseeker」は、山に登る人も含めてほとんどの人がスマートフォンや携帯電話を所有している状況を利用して、遭難者の持つ電話を救急隊誘導のためのビーコン代わりにするシステムです。

仕組みは非常にシンプルで、ヘリやドローンに取り付ける「小型基地局」とタブレットがセットになっており、機体の周囲3マイル(約4.8km)ほどの電話の位置を特定してタブレットで確認し、遭難者を捜し出すというもの。



位置検出から詳細な場所の絞り込みまでのプロセスにかかる時間は1分ほどだそうです。

実際に、コロラド州南部の山岳地帯に位置するデュランゴを拠点とする「Colorado Highland Helicopters」が行ったテスト運用では、ラ・プラタ峡谷で遭難した2人を、2分14秒で発見することに成功したとのこと。

Home - Colorado Highland Helicopters

https://coloradohighlandhelicopters.com/



ラ・プラタ峡谷は、森が3000m級の山に挟まれた険しい地形のため、地上からはもちろん、空中からも遭難者を発見することが困難です。

Lifeseekerを用いて遭難者まで30mのところまで近づいても、遭難者は密集した木々の下にいるため、目視することはできなかったと、救助コーディネーターのティム・ダーキン氏は述べています。

Lifeseekerは遭難者に向けてメッセージを送ることもできるので、ヘリコプターが降りられる場所を伝達したり、あるいはその場から動かないように伝えたり、山火事や洪水の恐れがあることを警告したりすることができます。

これまでにLifeseekerは10カ国以上で35事業者以上に導入され、200回以上のミッションを成功させてきたとのこと。検出精度は5m以内だとのことです。