IDC Japanは5月22日、最新の国内ソフトウェア市場の実績と予測を発表した。2023年の国内ソフトウェア市場は前年比9.5%増の4兆6,824億8,200万円と推定した。

国内ソフトウェア市場 予測、2023年〜2028年(単位:億円)

IDCでは、ソフトウェア市場を3の大分類市場、20の中分類市場および79の機能市場に分類し、国内市場を含むグローバルなベンダー売上額および市場予測を「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker」として提供している。

2024年5月に発行した同レポートでは、ソフトウェア市場のグローバル売上額は2023年(1月〜12月)に前年比12.5%増の9,506億米ドルとなったという。一方、国内ソフトウェア市場は前年比9.5%増の4兆6,824億8,200万円と推定した。

2023年の国内ソフトウェア市場は上半期から継続した生成AIブームによる企業でのAI活用への関心の上昇、アプリケーションのモダナイゼーション要求、サイバーセキュリティ対策の増加などによって国内企業のソフトウェア投資を押し上げ、堅調に成長したとIDCはみている。

特に業務データやAIの学習データ、生成コンテンツを整備する基盤としてのクラウドデータプラットフォーム、AIを活用した顧客CX向上のためのアプリケーション/プラットフォーム、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのソフトウェア投資が2023年に注目され市場を牽引したという。パブリッククラウドサービス売上は2023年では前年同期比21.0%増の1兆8,586億円700万円と高い成長を維持し、全ソフトウェア市場の39.7%を占めたということだ。

2023年のソフトウェア市場のトレンドは、アプリケーション開発/デプロイメント市場が前年比13.3%増の1兆1,957億1,000万円。成長を牽引したのは、AIプラットフォーム市場(前年比58.8%増)、アナリティクス/BI市場(同17.5%増)、データ管理市場(データベース/データレイクなど含む、同6.7%増)。

アプリケーション市場は、前年比8.5%増の1兆9,676億1,500万円。成長の要因は、デジタルCX向上に向けたCRM市場(同13.4%増)、コンテンツワークフロー管理市場(同10.7%増)、業務アプリケーションの更改需要によるERM市場(同8.5%増)。

システムインフラストラクチャソフトウェア市場は、前年比7.9%増の1兆5,191億5,700万円。特に高成長を示したのは、サイバーセキュリティ対策/デジタルトラスト向上に向けたセキュリティソフトウェア市場(同15.1%増)およびITシステム管理市場(同7.6%増)。

IDCでは、企業での生成AIを含むアプリケーションへのAI組み込み/AI連携やデジタルCXの高度化、企業ITシステムのモダナイゼーション、サイバーセキュリティ対策に向けたソフトウェア投資が2024年以降も継続し、国内ソフトウェア市場は2023年〜2028年の年間平均成長率(CAGR)は9.4%で成長し、2028年に7兆3,287億円に達すると予測した。

各ソフトウェア大分類市場の2023年〜2028年のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場は16.9%、アプリケーション市場は6.3%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は6.1%になるとIDCはみている。

IDC JapanのSoftware/Service Solutionsグループディレクター眞鍋敬氏は、次のように述べている。「記録的円安に伴う国内経済状況と経済成長、災害や諸外国の情勢変化など、国内IT市場に与える変動要因は多数ある。これらの要因はIT市場の促進/阻害を左右するが、生成AIブームやITシステムモダナイゼーションはデジタル社会インフラシステムやデジタルビジネスを推進する国内企業/団体のソフトウェア投資に対して促進要因になると予測する。この結果、AIプラットフォームおよびAI組み込み/AI連携型アプリケーション市場、データ管理プラットフォーム市場やセキュリティ市場は国内ソフトウェア市場を牽引する要因となる。ITユーザー企業はセキュリティとESG(環境/社会/ガバナンス)に留意しつつAIユースケースを開拓し、自社業務への実適用を開始しデジタル競争力強化を行っていくべきである」