ClariS

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ClariSの28枚目となるシングル「アンダンテ」が5月8日(水)に発売、そして7枚目となるアルバム『Iris』(イーリス)が5月22日(水)に発売、さらに5月25日からはツアーが始まり、2024年の春はファンには嬉しい展開が目白押しだ。

そしてシングル「アンダンテ」は4月から放送されているTVアニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』のエンディングテーマになっており、アニメの優しい世界観とマッチしながら、ClariSの前向きで優しい楽曲が展開されている。そんなシングル「アンダンテ」のリリースに合わせ、新しい楽曲から、現在の心境、そしてツアーまで、“今のClariS”を訊いてきた。

■今はいい意味で裏切ってみたいっていう心の変化も生まれてきた

――今日はClariSにとって28枚目となるシングル「アンダンテ」についてお聞きしていくのですが、既にTVアニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』の本放送も始まっています。そして「アンダンテ」の話に行く前にお聞きしたいのですが……ClariSとしてかなりの数のアニメタイアップを担当されていますが、改めて本放送に自分の曲が流れる時ってどんな感覚なのかお聞きしたいなと。

クララ:慣れてきたのかなって思ってはいるんですけど、それでも「自分じゃないみたいだな」って毎回思いますね。俯瞰で見ちゃうというか、歌っているのは自分なんだけど、いち視聴者として見る気持ちも入ってくるんです。今回はエンディングテーマが映像付きで事前に公開されてたりしたので、やっと放送になったなっていう気持ちだったり、エンディングアニメの映像にのせて、またここからホロとロレンスの二人の旅が続いていくんだなっていうのを感じたりして、すごくワクワクして見る初回の放送でした。

――そんな「アンダンテ」はハートフルな春にぴったりの楽曲という印象があるんですけども、最初に楽曲を聴いた時の印象は?

カレン:リズム的にもステップを踏みたくなる、本当に温かみあふれる楽曲だなっていうのが最初の印象です。歌詞もすごくひねってるというよりは、ホロの気持ちをロレンスに語りかけているような部分だったので、歌でもありつつ、メッセージでもありつつみたいな、なんか不思議な感覚でした。キャッチーさもあって、すごく耳に残る楽曲だなって。

クララ:今回はタイトルが「アンダンテ」ということで、音楽用語で「ゆっくり歩くように」という意味だったり、歌詞の中にもスタッカート、クレッシェンドっていう音楽用語が入っていて、音数が少ない中でもすごく耳に残る、口ずさみたくなる楽曲だなと感じました。

――アイリッシュの雰囲気もたっぷり、ティンホイッスルの音も気持ちよく、作品の世界観にすごい寄せてるなと思いました。ダンスの動画(「アンダンテ」Dance Video / 初回生産限定盤に収録)も拝見しましたが、可愛い感じに仕上がっていますね。

クララ:今回は民族的な要素を感じる楽曲っていうのもあって、フォークダンスみたいなものだったり、ダンサーさんも交えてみんなで一つの物語的な楽曲を作っていくっていう意味も込めたダンスビデオになっています。

――ここ最近のClariSの楽曲たちとはまた違う一面を見れた気がします。

クララ:新鮮味もありながら、ちょっと懐かしさを感じるみたいなところは、ClariSらしさなのかなとは思いますね。その幅が広がったみたいな楽曲ですね。それこそミュージックビデオに関しては今まで出してきた、私達が出演した中での作品では、また新しい雰囲気に仕上がっているなと感じています。

――僕らの中で「ClariS」って未だにちょっと神秘的なままというか、そういうところがあって。今、これだけテレビの歌番組に出演したりしているのに「普段何食べているんだろう?」みたいなレベルというか(笑)。そういったものも感じるミュージックビデオでした。

クララ:「ClariSはスイーツしか食べない!」みたいな(笑)。

――そんな感じです(笑)。でも今回はそういった世界観をすごく大事にされていて、作品の世界観の中でしっかりとClariSが生きている感じがあったんです。ミュージックビデオも曲も『狼と香辛料』にぴったりだなと思いました。アニメ作品に対する印象もお聞きしたいです。

クララ:『狼と香辛料』という作品の名前は前から知っていたのですが、今回改めて以前放送されていたアニメを観させてもらいました。最初、『狼と香辛料』というタイトルだけだと何のお話なんだろう? お料理アニメなのかな? とかも思ったんですけど、ホロの可愛らしさだったりほっこりする部分もありながら、しっかりと地に足のついたファンタジーだと思いました。

カレン:ホロの存在というファンタジー感もありながら、商人であるロレンスの旅を描くという現実的な物語なんですよね。経済や流通というものを描く作品ってそんなになかったなって思いますし。

――原作小説が発表された時(原作小説1巻が2006年に刊行)はすごく話題になりましたし、未だに前のアニメをみている人もいるくらいの人気作です。そんな作品がClariSをこういう風に使うんだ! っていうのが面白い。

クララ:本当に私達がこれまで携わってきたアニメにはない世界観だなって思っていて。そのエンディングテーマとして、どういう風にハマるんだろうっていうのはすごく楽しみでした。今回はエンディングテーマでありながら、終わりを感じさせるというよりも、次の物語を感じるような世界観になっているなと思うので、ロレンスとホロの旅していく様子を私達も一緒に楽しめたらいいなと思いながら作らせてもらいました。

――そう、エンディングテーマでありながら、すごく明るくて前向きな曲ですよね。そしてこの前向きな感じって、今のClariSっぽいなって思ったんです。

カレン:確かに今までも色々なことをやってみたかったし、色々なことに挑戦して幅を広げていきたいという気持ちはあったんですけど、「ClariSってこうだよね」っていう軸を確立していこうと活動していた段階が長かったし、顔を出していない期間も長かったので、そこで一気に崩してしまうのも、皆さんと作り上げてきたClariS像と違うって思われたらどうしよう? という気持ちもあったんです。それが色々な楽曲やパフォーマンスをする中で、「こんなClariSもいいね」って言ってもらえる事が増えてきたので、いい意味で裏切ってみたいっていう心の変化も生まれてきて。今はすごく色々なことに対して前向きになっていますね。

――ファンの人だけじゃなく、お二人やスタッフさんも含めた、ClariSらしさ、確固たるClariSというものが出来てきたのかもしれませんね。

クララ:最近は色々なジャンルの楽曲に挑戦している中で、また新しいクララとカレンが見れたねって、常に温かく迎えて頂けて。その温かさにすごく救われているなと思いますし、だからこそ、もっと違う私達をお見せしたいなっていう気持ちがあります。

クララ

――ライブを見るとファンの信頼度の高さは感じますね。そんな信頼があるからこそ28枚もシングルを出せていると思います。ちょっと話は脱線するのですが、ClariSはアニソンシンガーであるというのがベースとしてあると思うんですが、同時に「レトロフューチャー系ポップユニット」というキャッチコピーも持たれています。そんなお二人が考える「アニソンを歌う」ってどういうものなのかな、というのを聞いてみたいと思っていて。

クララ:アニソンを歌うこと、ですか。

――現在はアニソンシンガーじゃない人達が、アニメの曲を歌う事もすごく増えているし、今の大人たちも子供の時からアニメを観ていることが当たり前の世代で、アニメがサブカルチャーではなく、メインカルチャーになっている今、アニソンシンガーである事をどういう風にお二人が捉えているのかな、と。

クララ:そうですね。デビューして13年経つんですけど、私達がデビューした頃って、まだアニメの存在ってちょっとコアなイメージはあったと思うんです。私達が担当してきた作品は深夜のアニメ帯の作品も多くて、私も学校に通う中で、周りのみんなが絶対に知っている存在の作品はあまりなかったと思います。そういう立ち位置から、どんどん誰もが見て当たり前のコンテンツになってきていると思うので、そういう意味ではすごく広く受け入れてくださる方が増えて嬉しいと思っていますね。

――確かにそうですね。

クララ:J-POPというか、アニソンの枠を越えてきている感じもあるじゃないですか。その中でも13年間アニソンを担当させてもらい続けてきた、ClariSだからこそ出せる色っていうのは、失わずにいたいとは思います。変わらず“アニソン”っていうものを届ける存在でありたいっていうのは最近特に感じます。

――それはさっき言ったClariSらしさと同意かもしれないですよね。

カレン:昔よりも誰もが「アニメ大好き!」「アニソンが好き!」っていうのを言いやすくなっているなっていうのは感じています。私達がまだ学生の頃は、ボーカロイドも出たてだったし、「オタク」っていう言葉に、まだちょっと偏見があったと思うんです。でも今は「オタク」という言葉が、好きなものを性別や環境を超えて共有できる言葉になっているなって感じます。それにアニメってキャラクターが歳を取らないじゃないですか。だからこそ、その時そのアニメに出会った自分を、アニメを見るたびに思い出したり、歳を重ねてから、もう一回見直した時に捉え方が変わってたりとかするし、観る年齢で変わってくるものがアニメだと思っていて、同じように私達の楽曲を聴くことで、青春の思い出とか、アニメと出会った時のエピソードを思い出したりとか。そういった存在になれるようになりたいですね。

――確かに楽曲からその当時のことを思い出したりすることは多いですよね。

カレン:アニソンは色褪せないものだと思っているんです。アニソンって古いな! って思うものがあんまりなくて。いつ聴いてもアガるな! と思うことが多いので、そういった気持ちをずっと届けられるように歌っていきたいですし、これまで歌ってきたものも大事に歌い続けていきたいなと思っています。

カレン

――常にバージョンアップはしてると思うんですけど、根底にあるClariSは変わらないんですよね。具体的に何なの? と言われるとうまく言語化出来ないんですけど……でも明確にClariSなのは凄いと思っています。「irony」とか「コネクト」とか、確かに今聴くと、アニメ放送当時と印象が変わる。それも面白い。

クララ:それこそデビューした頃は中学生だったわけじゃないですか(笑)。歌詞の意味だったり、捉えきれてないまま歌ってかもしれないし。その時の自分の解釈と今の解釈って全然違いますし。そんな中でも、CDで歌った自分たちの声も単純に歌だけを聴くと、こんなにうまく歌えてないのか……って思っちゃうんですけど(笑)。でもその時にしか出せない感情だったり、声だったりっていうものがあって、あとはアニメの主人公と同じ年代の中で自分も声を吹き込めたっていうのはやっぱり特別だったなって思いますね。

――それはそうかもしれないですね。

クララ:今は色々と経験して、その当時の気持ちを汲み取って歌えるようにはなったけど、その時の自分ではもうないから。「ふぉりら」(TVアニメ『カノジョも彼女』Season2エンディングテーマ。2023年放送)とかも高校生の女の子たちの気持ちが描かれていますけど、でももう歌ってる私達は高校生ではないので。当時リアルタイムで同年代の気持ちを歌ってこれた、っていうのはすごく貴重なことだったし、やっぱりアニメや歌と一緒に歩んできた、成長してきたんだなっていうのは感じますね。

――デビューの時って、桐乃(高坂桐乃、ClariSがデビュー作「irony」を歌った『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のヒロインで中学生)とかと同じ年ぐらいでしたもんね。

クララ:そうなんです。本当に等身大で、だからこそ分かる気持ちもあったし、でも歌詞の中には分からない気持ちもあったりとかしましたね。

■「擬態」にはみんなを弄んでいるような小悪魔っぽさがある

――そういうところがClariSが成長してきた面白みな気はしますね。ではそろそろカップリングの話もさせてください。「サクラ・インカネーション」は和を感じる楽曲です。インカネーションは肉体化とか、体を持つみたいな意味がありますが。

クララ:これは別れをテーマにした楽曲です。「あなたの目に映る桜に生まれ変わっても、映っていたい」っていうのが本当に「サクラ・インカネーション」かなって思っていて、誰しもが一度は別れを経験したことがあると思うんですけど、その中でも具体的に異性を感じたりとかをしない歌詞なので、結構誰にでも共感できるような歌詞なのかなって思いますし、A、Bサビ、Dメロでいろんな表情がある楽曲だと思っています。

――楽曲の印象的なところですね。カレンさんいかがですか?

カレン:歌詞だけ見るとすごく切なくって、バラードのような雰囲気を感じる歌詞にはなっているんですけど、そんな中でかけあいがあったり、切ない部分だったり、淡々とメロディーに乗せるからこそ、より胸をつかまれるような部分があったり。感情移入しながらそんな気持ちが伝わるように歌いました。

――確かに「サクラ・インカーネーション」の歌唱は比較的淡々と紡いでいて、その裏で和の旋律と言うか、琴っぽいメロディーが乗っていますよね。そこからサビに向かってどんどんと楽曲は展開していくのですが、その上でスッと歌っていくのが面白いですね。これもライブのダンスが楽しみな楽曲です。

クララ:そうですよね!(笑)

――この曲はかっこよい感じになるんだろうと勝手に想像してるんですが。

カレン:どうなるでしょう~?(笑)

クララ:でも本当にライブ映えするような楽曲たちが、今回はカップリングに収録されてるなって思ってますね。

――いつも思うのは、カップリング曲をすごくしっかりと作られていると思っています。CDの中でコンセプトをちゃんと持って作っている。そういった中で今回はダンスを感じる3曲だなって。

クララ:今アルバムも制作中で、ツアーもこれから組み立てていくぞっていう段階で、振り入れがこれからの楽曲もあるので、私達もどうなるんだろうっていうワクワクしています。皆さんの期待に答えられたらいいなって。

――次に来るのが「擬態」。これこそ「レトロフューチャー系ポップユニット」の新骨頂というか、ちょっと小悪魔っぽい感じの楽曲です。

クララ:「擬態」っていうタイトルがパッとリストにあった時から、どんな曲が来るんだろう? みたいなワクワク感を感じていました。聴いてみたらもう離れられないぐらい印象的な楽曲で、早くパフォーマンスしたいって思いましたね。きっと皆さんに盛り上がっていただけるだろうなっていう想像ができるような楽曲です。

カレン:イントロ聴いた瞬間から「来た来た!これこれ!」って、凄く思いましたね。

クララ:重永(亮介)さんのこういうミステリアスな雰囲気の楽曲が大好きで、それこそ『Fairy Party』ってアルバムの「シニカルサスペンス」も初めはすごく冒険な楽曲だったけど、ライブで育てて貰った曲でもあるので、それに続く第2弾みたいな感じがすごくあって。

カレン:でも「シニカルサスペンス」ほどシリアスさというか、冷たさはない。けどみんなを弄んでいるような、この小悪魔っぽさは、年齢を重ねたからこそ出せる、私達の怪しさみたいなのもを、遊びつつ表現できる曲になるのかなって思います。

――そして何よりアウトロの転調ですよね(笑)。

カレン:もうあれすごいよね(笑)。

クララ:私達もライブでどうしようって思ってます(笑)。何やろうか?

――聴いた瞬間からパフォーマンスを想像できるのは素晴らしいと思いました。

クララ:今回も全部バラバラな印象の楽曲が入っているので、それこそライブで披露したいなって思って選曲したっていうのもあるんですけど、早く届けたいですね。

カレン:みんな絶対好きだよね。タイトルしか出てないのにファンの人は「擬態」にばっかり反応してるんです(笑)。

――そうなんですか?

クララ:重永さん楽曲の「擬態」ってタイトルが怪しいとかざわざわしてました(笑)。

――それもいいですね。ファンの印象も誘えたということで。

カレン:そうですね!(笑)

■このアルバムは遊ぼうよ!から生まれる『Iris』というアルバム

――この楽曲たちも踏まえ、最新アルバム『Iris』のお話も聞かせてください。5月22日に7枚目のアルバム『Iris』が発売になります。ラテン語読みでイーリス。“虹”という意味です。

クララ:“虹”っていう意味合いの通り、様々な色の私達を楽しんでいただけるアルバムになると感じています。そもそも収録されるシングルのジャンルがバラバラなんです。「Masquerade」「ALIVE」「コイセカイ」「ふぉりら」っていう、バラバラな纏めようのない楽曲たちだからこそ、「せっかくならこのアルバムは遊ぼうよ!」ってことで、色々な私達を感じていただける1枚にするというコンセプトのもと『Iris』というタイトルになりました。

カレン:アルバムの新曲たちも「これClariSが歌っちゃうの?」って思っちゃう楽曲があったりとか。逆に言ったら「Clarisだね」みたいな楽曲は少ないかもしれない。

クララ:冒険してますね。

カレン:完全に冒険だけど、すごくいい楽曲たちばかりで、初めましての作家さんの楽曲もあるので、今回の『Iris』ならではの楽曲を作っていただけたなって思ってます。

カレン

――そういうコンセプトはお二人発信で決まることが多いんですか?

クララ:今回でいうと、ある程度絞っていただいた段階で、私達も聴かせていただきました。なので「こんなことやっていいんですか?」の方でしたね。テーマを決めずに集めた楽曲たちの中から、印象に残った曲たちなので、私達も選曲する段階から結構悩んだ部分もありました。一旦歌を録音してみた曲数では、過去一だったんじゃない?

カレン:うん、そうかもしれない。仮歌入れたけど、今回は収録せずにとっておいた曲もありますし。

――それは確かに楽しみですね。

クララ:早く聴いて感じて欲しいですね。今回は自分たちの言葉で表現するより、まず一回聴いてその感想を聞きたいです。本当に個性豊かな楽曲たちが入っているので、もちろんこのCDを手に取っていただいて聴いていただくのも楽しみですし、そんなバラバラな楽曲たちをどんな風にツアーにするのかっていうのを楽しみにして欲しいですね。

■『Tinctura』ツアーではみんなの気持ちを染めていきたい

――うまくツアーの話につないでいただきました(笑)。アルバム『Iris』の発売の3日後、5月25日のZepp Osaka Baysideから『ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~』が始まります。「Tinctura」もラテン語で染め上げるとか染めるという意味ですね。

クララ:いろんな色を作って、その色で会場やセットリスト、みなさんの気持ちを染めていきたいなという気持ちを込めて「Tinctura」にしました。

――ということは初披露の曲が多くなりそうな予感がしますね。

カレン:予感どころか……みんな確証してるんじゃないですかね(笑)。予習多すぎてごめんなさいって思っていて。私達もこんなに初披露の楽曲が多いツアーは初めてだと思います。去年1年間ファンの方と声を交わす機会が多かったからこそ、みんなが期待している楽曲も盛り込みつつなので、本当にどうなっちゃうんだろうっていう。

――ライブってどんなに長くても2時間半くらいじゃないですか。そういった中で何を表現するかって難しいですよね。

クララ:ただ今回のツアーは、ライブハウスとホールと混在したツアーになっているので、そこでもライブハウスのClariSはこうだよね、ホールでのClariSはこうだよね、みたいな感じで変化のあるツアーにしたいなと思っています。全通してくれるよっていう方は、過去最大にいろんな姿を見られるんじゃないかな。

――5月26日の広島クラブクアトロなんかすごく新鮮な感じですね。

カレン:初広島ですしね!

――そしてTOKYO DOME CITY HALLで2日間で4公演を予定しています。

クララ:そうなんです、すごいですよね。

――いつも思うんですけど、ClariSのライブは結構ハードですよね。体力がある。

カレン:そうですね、確かに体力あるね(笑)。

クララ:でも2公演が2日間続くのは初めてなんです、加えて実は5月31日にファンクラブイベントがあるので、そこでも歌おうとしてるんですよ。

――スーパーハードじゃないですか(笑)。

クララ:そうなんです、ドキドキしちゃってて……しかも初披露が多い。ライブではあまりやらない楽曲を、ファンの人が聴きたい楽曲ランキングで歌うので……(笑)。

――ClariSって曲は聴いたことあるけど、ライブは見たことないという人もいるでしょうけど、実際ライブを見るとみんな驚くと思うんですよ。体力やばいなって。

カレン:思ったより動くってよく言われますね(笑)。

クララ:「ALIVE」以外のシングルはそんな踊らないので、イベントで見るとふんわりとした振付だと思われるんですけど、実際かなり動いています(笑)。

――歌のブレもどんどん減ってきてると思うし、積み重ねてきているキャリアがパフォーマンスに出てるなって凄く思います。そして今年は海外も行くと。

クララ:はい、5月5日にインドネシアの『AFA Indonesia 2024』に行きます。

――7月にはブラジル、8月にはドイツに行かれるということで、海外って7年ぶりとのことですが。

クララ:7年前に一度シンガポールのイベントに出演させていただいてから、コロナ過があったりしたのもあって。去年、一昨年とかは自分たちのツアーもあったりして、なかなか実現していなかったんです。今年はよりClariSとして、新しい姿もお見せしたいと思っています。あとファンの方も海外の方がとっても多くて。私達のライブ見るために毎回日本に来てくださる方だったり、ファンクラブにも外国の方がたくさんいらっしゃるんです。私達が海外に足を運んで歌を届けたいという気持ちはずっと前からあったので、ようやく実現してすごく嬉しいなと思っています。

カレン:ずっと海外に来て欲しいという声がいっぱい届いてるんだよっていうのは聞いていたんですけど、私達としてはあまり実感はなかったんです。顔も出してなかった時ですし、でもシンガポールのステージに立った瞬間に、言語を越えて音楽でこんなに繋がれるんだっていうのはすごく感じましたし、アニメのコスプレをしてきてくださる方とかもいて、実際には遠い距離にいるんですけど、こんなにも離れた距離でも私達の楽曲を聴いて楽しんでくださっているんだな。もっともっと海外行きたいなって思いましたね。

――ここからまた海外とかにもどんどん出ていきたいという気持ちはある?

二人:あります!

――先ほども言いましたが、僕ら日本のファンですらClariSって未だ神秘的じゃないですか。

クララ:おかげさまで(笑)。

――だから海外のファンはもっとそう感じているんじゃないかなと思って。

クララ:でもちゃんとイメージに近いClariSらしさも感じてもらえるようなステージにしたいですね。日本も感じて、ClariSも感じてもらえるようなものにしたいです。

――改めて楽曲を聴いても、MVの映像を見ても、ちゃんといつも「ClariSらしい」って思えるのは凄いことですよ。

クララ:多分そう思ってくださる皆さんがすごいんですよ! 心が綺麗! その皆さんに私たちはついていくだけなんですよ。

――ClariSだからこその温かさみたいなものを、海外の人たちは目の当たりにするんだろうなっていうのが今から楽しみですね。

カレン:もう海外でしかできないステージを作りたいなって思ってるので、逆に日本では絶対披露しないよっていうものを持っていこうと思っているので!

――本当にこの春は盛りだくさんですよね。今まで絶対踏み込んでこなかったところにも、ちゃんと自分らしさを守りながら踏み込んでいこうという勇気を持ってるのが凄い。

クララ

クララ:昨年13周年を迎えて、仮面を外して色々なメディアに出させていただいて。活動の幅を広げてきたのって、まだここ数年ですし。その中でいろんなことをできるようになったからこそ、私達からもいろんな人に会いに行きたいなって思っています。楽曲やClariSっていう名前はたくさんの方に知っていただいてるけど、ライブには来たことないっていうような方が多いでしょうし。そんな方にライブ来てもらえるようなきっかけをたくさん作れるように頑張りたいなと思っています。

カレン:今まで直接お会いできる機会も少なかったですしね。SPICEさんとも『Parfaitone』を機に初めてお会いできたし。それまで、対面せずにアンケートでの取材とかが多かった中で、私達の熱とか感情とかまで伝わりにくいなってすごくもどかしい思いをしたからこそ、こうやって直接お会いして話す大切さを感じますね。

クララ:新しく作品で届けるのも大事だけど、それ以上に会えることって大事だなって思えたからこそ、自分たちから会いに行って、曲に対する思いや、自分たちを知ってもらいたいなっていう気持ちが強いですね。今は怖がらずに、いろんなことに挑戦していけてるなっていうのはあります。

――では最後にファンに一言ずついただければと思います。

クララ:一つ一つ目の前のことを全力でやってきた私達にとって、今年はこんなに目の前に予定がいっぱい詰まっているワクワクが回っていることって初めてのことだと思います。だからこそどこまで私達が全力で取り組めるかでそれぞれのクオリティも変わってくると思うんです。絶対に妥協はしたくないし、イベントやライブ、その会場でしかできないことを届けたいっていう気持ちでいるので、全部に期待していただいても、裏切らないかなって思えるくらい、今のClariSには勢いがあるよっていうことを皆さんにお伝えしたいです。

カレン:「アンダンテ」、アルバム『Iris』にツアー、そして海外とたくさん予定があるんですが、今までずっと作ってきたClariSらしさにプラスして、色々な楽曲に挑戦していく中で、色々な自分たちを自分たちでも知ることができて、それをお届けする機会ができ、ツアーやアルバムはそんな私達の一つの集大成になると感じているので、色々なClariSを見て、盛り上がってもらいたいです。皆さんにお会いして私達の音楽を届けられるのを楽しみにしてますので、是非これからの私達に期待していただけると嬉しいです。

ClariS

取材・文:加東岳史 撮影:大塚正明