リーディングシアター「シャーロック・ホームズシリーズ」が開幕 矢崎広・山脇辰哉出演の初日公演レポート&毛利亘宏のコメント公開
2024年5月2日(木)東京・サンシャイン劇場にて、リーディングシアター「シャーロック・ホームズシリーズ」『緋色の研究』『四つの署名』が開幕した。
この度、矢崎広、山脇辰哉が出演した初日公演のレポートと、脚本・演出の毛利亘宏の初日コメントが公開された。
本作は、俳優2人で構成される朗読劇。今回は小説家アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズシリーズ」の中でも人気を誇る名作二作である『緋色の研究』『四つの署名』を同時上演するという企画。
脚本・演出はこれまでもシリーズを手掛けた毛利亘宏(少年社中)が務める。
出演者は、池田航、市川知宏、北村諒、鈴木浩文、中本大賀、名村辰、納谷健、橋本祥平、古川雄輝、矢崎広、山脇辰哉、ゆうたろう、和田琢磨(五十音順)の13名。
なお、公演日、公演ごとに組み合わせを変えて、5月12日(日)まで上演する。
5月2日(木)19:00『緋色の研究』公演レポート
ヴァイオリンの優雅な音色が流れる劇場内。開幕時間になると曲調が変わり、ホームズ役・矢崎広とワトソン役・山脇辰哉が両袖から登場した。客席に向かって一礼するふたりに、初日に駆けつけた観客から期待を込めた拍手が送られる。
矢崎広
「シャーロック・ホームズ」シリーズ、最初の作品である「緋色の研究」(原題:A Study in Scarlet)。今回はシリーズの続編である「四つの署名」(原題:The Sign of Four)と合わせ、この「リーディングシアター」でも好評を博した二作を、13名の俳優たちの組み合わせで、ホームズとワトソンの掛け合いを演じる。『緋色の研究』・『四つの署名』の両作を続けて観ることができる贅沢な試みでもある。
山脇辰哉
それぞれソファに腰掛け、ページを開く。静かに語り出すのは山脇の演じるワトソン。彼は自身の経歴を述べ、ホームズとの出会いを振り返る。ホームズの人物像やふたりのルームシェア生活を紹介する流れは軽快で心地良い。
映像作品や自主企画で注目を集める山脇が演じるワトソンは、感情や好奇心に正直な男という印象。ホームズの推理力と観察眼に感服する無邪気な凡人……と見せて、別の役に切り替わる瞬間の鮮やかさで観客を惹きつけ、芸達者ぶりを発揮していた。
やがて諮問探偵であるホームズのところに舞い込んできた、とある殺人事件。彼が「緋色の研究」と名付けた事件は、殺人現場の検証から探偵の仕掛け、警部の証言と続き、驚きの逮捕劇に至る。そして二幕では犯人による回想と、ベーカー街 221Bでの締め括り。
アーサー・コナン・ドイルが描いた原作の素晴らしさはもとより、構成力の高さと遊び心、役者への信頼がうかがえる毛利亘宏(少年社中)の脚本だ。
矢崎広
その毛利と旧知であり、「リーディングシアター」常連でもある矢崎は幾度目かのホームズ。しかし上演の度に異なるホームズ像を作り上げており、驚かされる。今回は紳士然とした落ち着きの中に、達観した天才と自覚のない変人が同居しているような名探偵。その一方で、他の人物を演じる場面ではコメディセンスを光らせた。
舞台セットや衣装、音楽と照明もこだわり抜かれており、耳で聴くだけに留まらず目や肌で、劇場ならではの空気感をたっぷり味わえる。この上質な1時間35分をぜひ多くの方に体感していただきたい。
(左から)矢崎広、山脇辰哉
脚本・演出 毛利亘宏 初日コメント
昨年、ロンドンのシャーロック・ホームズ博物館に行ってまいりました。19世紀末の混沌の中で生み出された熱を肌で感じて、ホームズとワトソンの冒険をさらに身近に感じることができました。
このシリーズがスタートして早いもので 12 年が経ちました。関わっていただいた珠玉の俳優のみなさんのおかげで何度やっても新しい発見があります。今回の稽古でももちろんそうでした。俳優の洞察力・想像力によって広がる無限のホームズワールド。
シャーロック・ホームズの奥深さをみなさんも味わっていただければと思っております。劇場にてお待ちしております。