ヴァイオリニスト・石田泰尚「結成10年目の集大成を見せたい」~弦楽合奏団「石田組」が初の日本武道館公演を開催
ヴァイオリニストの石田泰尚が呼びかけ2014年に結成された弦楽合奏団「石田組」が2024年11月10日(日)、初の日本武道館公演を行う。結成10年目を迎え大阪や神奈川など30カ所を巡る全国ツアー『石田組 結成10周年ツアー』を展開中の石田組。節目に念願の地に立つ石田組長に思いを聞いた。
ーー日本武道館公演決定おめでとうございます!
ありがとうございます。まさか日本武道館でできるとは、全く思っていなかったので、(4月中旬現在)プログラムもまだ何も決まっていません。演出もこれからですね。
ーー石田組結成10年目の節目にふさわしいステージですね。
いま石田組はツアーの真っ最中で、30公演あるんですけど、この目玉が武道館になると思っています。失敗するとヤバいですよね。武道館はうれしいんですけど、成功させないと。今後ヤバいなって思っています。
石田泰尚 撮影:ヒダキトモコ
ーー結成して、ずっと有言実行ですからすごいです。
そうですね。結成して5年目ぐらいにひとつの目標だったサントリーホールっていうのが達成して、その後自分の目標どうしようと思った時に、武道館って言う場所が浮かんだんです。それで、ちょっと言ってみたんです。「次は武道館だぞ!」って。今まで口で言ったことは、ほとんど言霊じゃないですけど現実にしてきたんで。でもね、武道館ってロックの聖地とも言われているし、会場としてとても人気があるんです。だから「もし取れても、平日だよ」ってスタッフから聞かされていたんですけど、11月10日って日曜日ですよね。すごいことじゃないですか。
ーー2つ目の目標も達成間近ですね。
そうですね。楽しみで仕方ないです。10年前、クラシックが苦手な方も音楽を楽しんでほしいと、クラシックに限らずいろんなジャンルの曲をやる石田組を立ち上げて、それをずっと10年やり続けている。その思いはずっと変わっていないので、その集大成を見せたいです。
ーー組長が思う石田組の魅力は、どんなところでしょうか?
自分は「YAMATO String Quartet」とかでロックを弾いていたんですけど、石田組のメンバーの中には、クラシックだけでロックは弾かないという人もいます。そういう人がオリジナル曲を一生懸命紐解いて練習して来るのは、石田組ならではと感じます。「こいついつも真面目なのに、こんな演奏するのか」と意外な一面を見ることができるのは石田組ならでは。見ていて面白いです。奏者については全て自分がオファーするんですけど、大所帯になったのでここではこの人と演奏しようとか、いろいろな人とできるのは、ずっと新鮮な気持ちでいられますし、緊張感もあるし楽しいです。
ーー組長自身は、どなたかの公演などで武道館にいらしたことはありますか。
三沢光晴さんvsジャンボ鶴田さんの全日本プロレスは感動しました。あとは長渕(剛)さんのライブを2回ぐらい。子供の頃、(音楽教室の)スズキ・メソードの全国大会があったので、実は立ったこともあります。何千人かの前で演奏しました。
石田組@武道館
ーー公式サイトで流れている映像や、武道館を背負ったポスター、チラシの撮影は昨年11月に行ったそうですね。念願の地を前にした時の思いもうかがえますか。
寒かったんですけど、「武道館公演やります!」って宣言して、本当にやるのかって。中も見せていただて、天井から吊されている日の丸を見て「おーーー!!!!」って感じでした。
ーー11月10日のメンバーについても教えて頂けますか。
いま石田組って60人ぐらいいるんですよ。これまで最大は13人だったんですけど、今回は20人編成にしようっていうのと、コントラバスを3人入れようっていうのを先に決めて、そこから考えていきましたね。コントラバスって基本1人だったんですけど、今回はハコがでかいので3人しようと。2人はすぐ決まって、もう1人どうしようかなと浮かんだのが、群馬のオケにいる市川(哲郎)です。僕は連絡先を知らなかったので、米長(幸一)に連絡先を聞いて「よろしくね」とだけ言いました。
ーー組長からの初指名が、武道館ですか!?
そう。「よろしくね」って。びっくりしたと思います(笑)。コントラバスを3人にしたので、頼みたくても頼めないヤツもいたので、成功させて次に繋げないと。
ーー武道館の次は、もう頭に浮かんでいますか?
武道館に呼べなかった人たちが「すごいっすね。絶対見に行きます!」と言ってくれたんですけど、その時に「武道館の次は、一緒にやろう!」と話したんです。具体的には大阪城ホールとか、国技館とか。言葉にしたので、武道館を成功させたら大阪城と国技館は絶対やらないと、と思っています。
石田泰尚 撮影:ヒダキトモコ
ーー曲目などはまだこれからということですが、「これだけはやりたい!」と考えていることはありますか?
演奏面はこれまで通り変わらず。演出面はサントリーホールとかではできない、武道館らしいことをやりたいです。やっぱり最初が肝心だと思うんです。長渕さんとかも最初の登場がメチャクチャかっこいいので、そういうイメージはあります。10年目の節目を華やかに、派手に見せたいです。
ーー4月にベスト盤的な内容のアルバム『石田組 結成10周年記念 2024・春』をリリースされました。収録曲の演奏も視野に入っていますか。
アルバム1曲目に入れた布袋(寅泰)さんの「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」は必ずやると思います。地方公演でアンコールで演奏するご当地ソングのように、武道館といえば! という曲も盛り込みたいです。悩みどころはクラシック曲です。どの曲を入れるのか、試行錯誤中です。
ーー神奈川フィルハーモニー管弦楽団、ソロ活動などさまざまなプロジェクトを同時に進行中です。石田組での活動は組長にとってどんなものですか?
立ち上げた当初はいろいろ言う人間もいたけど、何を言われても気にしない。「あぁ、そうですか」って。言いたい人間には言わせておけと失笑で返してきたことが、10年という積み重ねになりました。信じたことを10年続け、若いお客さんや、同性の方が増えたという体感があります。ノリも10年前とは違って、最近はスタンディングで見てくれる人もいます。地方もそうなってきているので、武道館は僕らと一緒に自由に楽しんでほしいですね。
ーー最後に武道館公演に向けた思いを聞かせてください。
武道館がゴールじゃないと思っているんで、これを成功させて大阪城ホールを目指したいです。いつの日か、武道館公演を振り返った時に「武道館が通過点だった」と言えるように、まだまだいけるところまでいくぞ! という思いでいるので、皆さんぜひいらしてください!
石田泰尚 撮影:ヒダキトモコ
取材・文:翡翠