道路に引かれた「いろいろな線」なぜ白や黄色で描かれる? いつ誰が引いている? 「白線」「黄色線」の正体とは?
線の色として「白」が採用される理由とは?
あるのが当たり前すぎてその重要度を忘れがちですが、道路に引かれている「白線」や「黄色線」があるからこそ、道路としてみんなが認識でき、円滑な交通が実現しています。
しかし、走行の目安にする大切な線なのに深く考えたことがなく、意外に知らないことは多そうです。
そこで、道路に引かれた「白線」や「黄色線」について調査。白線について気になる疑問を解明します。
まずは、その正式名称を確認してみました。昭和35年(1960年)に総理府・建設省が発令した「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(略して標識令)」によると、道として幅が設定されて引かれているものを「区画線」、別の意味を持たせた「破線」などは「道路標示」と定められています。
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そして区画線は道路管理者(国や県、各市町村などの自治体)が、道路標示は都道府県公安委員会(警察含む)がそれぞれ設置するといいます。
そのため、交通量などの道路状況によって薄くなってしまったり消えてしまった箇所を修復してほしい場合などは、何の線なのかによって問い合わせや相談する窓口が違ってくるということになります。
一般的に区画線は白色をしていることから白線と呼ばれるわけですが、道路が主に黒やグレーのアスファルトでできているため、見やすさを考慮しコントラストがつきやすい白色が使われることになったことが採用の理由とされます。
ちなみに、黄色線は区画線ではなく、「注意喚起」や「追い越しのためのはみ出し・車線変更禁止」という意味がある「道路標示」です。
中央線が白い破線(点線)は道路の幅が片側6m未満の区間に引かれているもので、「追い越し禁止」の標識がない区間では追い越しするときに反対車線にはみ出しても問題ないとされています。
一方で白い実線は道幅が6m以上の箇所にあり、こちらは右側部分にはみ出して走行することはできません。
さらに黄色の破線(点線)もたまに見かけますが、これは「進路変更禁止」を意味する「黄色線(の道路標示)」が出てくる手前であることを示した「進路変更禁止の注意喚起表示」という意味があるのといいます。
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線の太さも法令により定められており、「車道中央線」や「車線境界線」「車道外側線」などはたいてい15cm幅、「横断歩道」や「停止線」は45cm幅となっています。
さらに詳しく説明すると、一般道の破線(点線)は5m、高速道路は12m+間隔+8mで1セットというように、かなり細かく規定されているのです。
どうやって道路に白線を引いている?
では、白線はどのようにして道路に引かれているのでしょうか。施工会社に勤務していたA氏に話を聞いてみました。
「道路に引かれる区画線は、液体塗料を用いた『ペイント型』と呼ばれる施工法と、粉体塗料を熱して使用する『溶融型』があります。
『ペイント型』は主に高速道路や一般道の区画線に使用され、『溶融型』は区画線だけでなく道路標示や横断歩道などにも使用されます」
ちなみにペイント式には専用の手押し機械で行うハンドガイド式、専用車で運転しながら施工する車載式があり、白線を引く場所や距離によって使い分けているのだそうです。
また溶融式は、粉末塗料を180〜220度に加熱し液体化させてから専用機械でラインを描き、冷めると固体になる原理を利用しています。
「使用する液体塗料と粉体塗料は、成分こそ異なるものの基本的には顔料と合成樹脂が主成分になっています。
液体塗料は塗膜厚が薄くなりますが、粉体塗料は1.5mm程度の厚みを持たせて施工されます。
また区画線で使用される白線の塗料は、夜間でもよく見えるように小さなガラスの粒(ガラスビーズ)が含まれており、夜間はライトによって反射することで視認性を高める工夫もされています」(A氏)
では、この区画線や道路標示はどのようなタイミングで施工されるのでしょうか。
「これは、交通量などの諸事情を踏まえて変わります。施工しても乾燥させる時間が必要ですので一般的には昼間施工しますが、施工箇所によっては渋滞が発生しないように夜間に行うこともあります」(同)
もうひとつ気になるのは、耐久性です。交通量や除雪の有無などで大きく差があるようですが、クルマが通行するほどに少しずつ摩耗が進んで削られて薄くなっていきます。耐久性の目安は、液体塗料によるペイント式が3か月〜6か月程度、溶融式が約1年程度だそうです。
このように区画線や道路標示はかなり過酷な状況に置かれているため、道路工事があちこちで行われているのは仕方がないのかもしれません。
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白線や黄色線は、単に塗料をペイントしたものではなく、耐久性と視認性に優れた特殊塗料でプロによって仕上げられていることがわかりました。
ただし使用している塗料の性質的に、濡れると一般的なアスファルトより滑りやすい特性があると言われます。
特に雨の日はなるべく踏まないように、安全な速度と間隔をもって走りましょう。