「車検通ってるのに…」 でも「整備不良」になることも? SNSで話題の改造トラブル、なぜ? NGとなる理由とは

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1度車検に通ったのに整備不良となる事例も…

 ユーザーの中にはクルマを自らカスタマイズする人も少なくありません。
 
 場合によっては「不正改造」で検挙されてしまうケースがあります。では、どのような行為が不正改造に当たるのでしょうか。

実際の街頭検査の様子(写真提供:関東運輸局)

 最近はECサイトの台頭により、ユーザーがインターネットを利用して手軽にカーパーツを入手できるようになりました。

【画像】整備不良だと貼られる「赤い紙」画像を見る!(30枚以上)

 ユーザーの中にはクルマの外装や内装、走行音などを自分好みにするため、クルマのあらゆる部分をカスタマイズしている人も少なくありません。

 しかしカスタマイズの方法によっては、不正改造車として取り締まりの対象になることがあり、SNS上には警察と国土交通省の職員が合同で不正改造車の取り締まりをおこなっている動画が投稿されています。

 特にその中でも、ドライバーがクルマのテールランプの整備不良を指摘された後、ランプが市販の製品であることや、そのランプで車検に合格したことなどを主張する場面が話題を集めており、動画視聴者からはさまざまな意見が寄せられています。

 一例としては「車検に通っているのに整備不良で捕まることってあるんだ!」という驚きの声や「車検通っているなら別にいいんじゃないの?」とドライバーを擁護する声などが聞かれました。

 その一方で「車検を受けたときとクルマの状態が変わっている可能性もある」「グレーゾーンみたいな改造はしない方が良い」など冷静な意見もありました。

 ユーザー自身でクルマをカスタマイズする際は、不正改造車として取り締まりを受けることがないよう注意しなければいけません。

 では、どのようなカスタマイズが不正改造と判断されるのでしょうか。

 国土交通省のウェブサイトによると、主な不正改造の事例として車両の灯火の色を変更することや、フロントガラスと運転席、助手席の窓ガラスに保安基準を満たさない着色フィルムを貼り付けることなどを挙げています。

 灯火とはクルマの前後左右に付いているヘッドライトやテールランプ、ブレーキランプ、バックランプなどのライト類のことをいい、道路運送車両の保安基準によってそれぞれ色が決められています。

 たとえばテールランプやブレーキランプは赤色である一方、クルマが後退するときに点灯するバックランプは白色と規定されています。

 これに従わずに色を変更した場合、不正改造として検挙される可能性があるほか、色の違いによって周囲のドライバーを困惑させるおそれがあります。

 さらにクルマの着色フィルムに関しては、フロントガラスと運転席、助手席の三面に可視光線透過率が70%未満となるカーフィルムを貼り付けることが禁止されています。

 可視光線透過率は窓ガラスが光を通す割合のことで、透過率が下がれば下がるほど視界が悪く周囲の状況を確認しにくくなるため、一定の基準が設けられています。

 またマフラー(消音器)の切断・取り外しや、基準外のウィングを取り付けることも不正改造の一種で、マフラーの切断・取り外しは騒音の原因に、車体からはみ出したウィングは周囲の歩行者に接触する危険があります。

 警察と国土交通省職員の検問などによって不正改造が判明すると、国土交通省職員から整備命令が出され、クルマに赤色の「整備命令標章」が貼られます。

 このとき使用者は15日以内に必要な整備をおこない、クルマと車検証を再び運輸局に提示しなければいけません。

 この整備命令に従わなかった場合、道路運送車両法の規定により使用者に50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

 そして整備命令とは別に、道路交通法の「整備不良」の違反として警察に検挙されるケースもみられます。

 交通事故を誘発したり、周囲の人・車両に迷惑を及ぼしたりするカスタマイズは不正改造と判断されることがあるため、きちんと保安基準を確認したうえでおこなうことが大切です。

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 着色フィルムやライト類などの取り付けは、一度車検に合格しても経年劣化などによって保安基準をクリアできなくなることがあります。

 カスタマイズに関して不安がある場合は、ディーラーや自動車整備工場など関連事業者に相談してみると良いでしょう。