5速MT搭載! 日産が「4ドアコンパクトセダン」を実車展示! めちゃスポーティな“画期的モデル”が登場! 隠れ名車「プリメーラ」を披露

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敵は欧州にあり! 日産の実力を知らしめた「プリメーラ」とは

 日産は2024年4月12日から3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催の自動車イベント「AUTOMOBILE COUNCIL 2024」(オートモビルカウンシル2024)に出展しました。
 
 ブースでは、「シルビア」や「フィガロ」など現在もなおファンを持つモデルに加えて、コンパクト4ドアセダン「プリメーラ」(P10型)が登場しました。どのようなクルマなのでしょうか。

欧州の名モデルを脅かした「プリメーラ」(P10型)

 プリメーラの開発前夜、当時の国産車は欧州メーカーと比較してクルマの走行性能や居住性が劣っていた傾向にありました。

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 そうしたなか、日産は1980年代終盤に技術・品質向上運動として「90年に世界一の動性能を実現」という目標を立てた「901活動(P901活動、901運動とも)」を提唱します。

 そこでは、「Catch the GTI and 944」(フォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」およびポルシェ「944」を打倒するという意)を合言葉に、走り込みや入念な設計を行うといった愚直な開発手法を継続。

 その901活動によって、1989年に登場した8代目「スカイライン」(R32型)や4代目「フェアレディZ」(Z32型)がデビューし、現在もなお名車として語り継がれるモデルの誕生につながりました。

 そして、プリメーラもこの901活動の成果によって生まれたモデルで、1990年2月に発売しました。世界に名だたるドイツの高性能モデルに匹敵する動力性能を実現し、各国の自動車賞を獲得するなど、国内外で極めて高い評価を得ることができました。

 エクステリアは比較的シンプルにまとめられ、欧州車流の高効率なパッケージングも取り入れたことで、欧州コンパクトセダンと同格の広いキャビンや荷室、そして優れた乗降性を確保したことに加え、極めて画期的なサスペンションを採用したことが大きな特徴でした。

 サスペンションはフロントに新開発のマルチリンク式、リアはパラレルリンクストラット式の4輪独立懸架。高速度でも直進安定性と運動性能、乗り心地の良さを高度に両立しました。

 欧州セダンに匹敵するクリーンなデザインやパッケージング、そして高い操縦安定性や直進性が支持され、「ドイツ車を超えた」とも評されましたが、その一方で日本のユーザーからは当初「足が硬すぎる」と捉えられたこともあったようです。

 搭載されたエンジンは最高出力150馬力の2リッター直列4気筒DOHC「SR20DE型」と、110馬力の1.8リッター直列4気筒DOHC「SR18Di型」を設定。トランスミッションは全車5速MTか4速ATが選択できました。

 グレード構成は2リッター車が装備の違いで「2.0Te」「2.0Ts」「2.0Tm」、1.8リッター車が「1.8Ci」と「1.8Cu」の5タイプを展開。こうしたグレード展開も、欧州車を強く意識したものだと言われています。

 登場まもなく英国での生産を開始するとともに、5ドアハッチバックの新タイプも設定されます。さらに北米でも、日産のプレミアムブランド「インフィニティ」のセダン「G20」として投入し、高級コンパクトセダンとしての役割を担うことになります。

 モデルライフでは幾度かの改良が実施され、1995年9月にキープコンセプトの2代目(P11型)にフルモデルチェンジが実施されます。

 その後、2001年にはデザインが大きく変更された3代目がデビューしましたが、2005年には国内での販売を終了し、歴史に幕を閉じました。

 今回、オートモビルカウンシル2024で日産が展示したモデルは、2代目にフルモデルチェンジされる直前の1995年式最終型です。

 このうち、スポーティな装いに比較的安価に抑えられた「2.0Tm Sセレクション」で、オプションの「フルエアロスポイラーパッケージ」を装着した貴重なクルマとなっています。

 会場では、現在も多くのファンを持つ2ドアスペシャリティクーペ シルビア(5代目・S13型)や「パイクカー」シリーズとして登場した2ドアオープンカー フィガロと並んで展示を実施。

 来場者の間では、当時国産車に衝撃を与えたプリメーラを懐かしむ声や、若年層では当時のスタイリングやコンパクトセダンが新鮮だとする声が聞かれました。