三菱「5ドアハッチ」どんな人が買う? スポーティな「ミラージュ」地位確立も今後は? 軽アルファード風も存在のタイ、コンパクト市場の現状は?
タイのコンパクトカー最新情報! 今後はHEV化が進みそう 、勢いある中国勢には「ミニ アルファード風」も
2023年3月まで日本でも売られていた三菱「ミラージュ」。
実はまだ販売されている、しかもエントリーモデルとして確固たる地位を確立していると言います。現在、ミラージュはどのような状況なのでしょうか。
「おお、ミラージュ」だ。
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タイのバンコク市内を走っていると、数多くの三菱のミラージュとすれ違います。また、ミラージュのセダンタイプである「アトラージュ」も少なくありません。
時計の針を少し戻すと、日本でも2012年に発表された6代目ミラージュがタイから輸入されて、エントリーモデルが100万円を切る大胆なプライシングで話題となりました。
しかし、日本のコンパクトカー市場ではハイブリッド車需要が高まり、またミラージュと価格は同等でも諸費用が安く燃費の良い軽自動車の影響もあり、ミラージュは日本市場から姿を消してしまいました。
そんなミラージュ、タイではいまでも健在なのです。
タイでの三菱のラインアップは、日本でも発売開始され好評なピックアップトラックの「トライトン」、富裕層に根強い人気の「パジェロスポーツ」、2月に発売されたMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)の「エクスパンダーHEV」、日本では前世代にあたる「アウトランダーPHEV」があり、ミラージュとアトラージュはタイのエントリーモデルとして確固たる地位を確立しています。
これらすべてが、三菱のタイ法人のレムチャパン工場で製造され、タイ国内向けと海外向けに出荷されています。
その上で、日本人にはあまり想像できない、ミラージュの使われ方があると三菱関係者は教えてくれました。
パジェロスポーツなどを所有している富裕層が、成人した子ども向けに購入するクルマとしてミラージュを選ぶというのです。
こうした傾向は、タイ以外の東南アジア各国でも見られる現象であり、東南アジアで三菱は上級ブランドとして認知されていることの証明だと言えるでしょう。
日本人のイメージとしては、東南アジアではミラージュなど日系コンパクトカーをチューニングしたり、またはドレスアップするユーザーが多いのではないか、というイメージを持つかもしれません。
確かに、1990年代末から2000年代にかけて、アメリカで「シビック」や「インテグラ」などを中心とした日系コンパクトカーチューニングがブームとなります。
そうした世界観が映画「ワイルドスピード(邦題)」として描かれた後に、アメリカ文化とのつながりが強いフィリピンなどでコンパクトカーチューニングが注目され、そうしたトレンドが東南アジア各国に広まったこともありました。
現時点では、タイを含めてコンパクトカーのアフターマーケットはあまり大きくはなく、コンパクトカーはあくまでも日常生活におけるエントリーモデルとして定着している印象を受けます。
そんなタイのコンパクトカーも、そろそろ次世代化に向けて大きく変化することになりそうです。
背景にあるのが、タイ政府の電動化推進政策です。
2030年には乗用車市場の30%をEVとする「30/30」という目標を立ていて、それに向かってクルマのパワートレイン別に物品税率に差をつける計画です。
例えば、ガソリン車の場合、現行は20%、2026年1月からは25%、2028年1月から27%、そして20230年から29%へと段階的に引き上げます。
ハイブリッド車は、現行が4%、2026年から6%、2028年から8%、そして2023年から10%へ。
一方、EVは現状の2%が2030年以降も維持されという措置となります。
こうした電動車に対する税制優遇に加えて、EVについてはタイでEVを現地生産する場合、メーカーに対して補助金制度が始まっている状況です。さらに、中国からタイへのEV輸入は無課税です。
そのため、タイではコンパクトカーから高級車まで中国EVが販売を一気に伸ばしているのです。
ただし、タイ国内での充電インフラが未整備なことなどもあり、EV市場が今後どのように拡大するか見通せないという状況だとも言えます。
そうした中、日系メーカー各社はコンパクトカーで知見のあるHEV化を推進していて、ガソリン車とハイブリッド車の双方の販売をしながら、徐々にHEVシフトを進める戦略で中国EVに対抗する構えです。
三菱としても今後、ミラージュなどコンパクトカーのHEV化を検討することになるのではないでしょうか。