陥没から3年半「外環道 東名延伸」今どうなってる? 工事は進んだ? 開通予定がいつまでも発表されない理由とは
東京外かく環状道路って?
東京都では、首都圏から放射線状に伸びる高速道路などを相互に連絡する「東京外かく環状道路(外環)」の建設が進んでいます。
そのような状況の中、2020年には調布市で外環のトンネル工事が原因となる道路の陥没が発生していますが、現在工事の進捗状況はどうなっているのでしょうか。
東京都心には東名高速道路や中央自動車道、関越自動車道、常磐自動車道など、東京と各方面をつなぐ高速道路が集中していますが、現在、これらの高速道路などを相互に連絡する「東京外かく環状道路」(通称、外環)の建設が進められています。
【画像】東名-中央-関越どこで繋がる? 対象区間を画像で見る!(23枚)
具体的には、都心部の周りを円状に走る道路を建設してそれぞれの高速道路と接続させ、都心方向に集中する交通を分散するねらいがあります。
これによって交通混雑の緩和や、災害・事故発生時の交通路を確保できることなどが期待されています。
これまでに東京都練馬区の大泉JCT(ジャンクション)から千葉県市川市の高谷JCTまでの約49kmの区間が開通しており、現在は関越自動車道と連絡する大泉JCTから東名高速道路と連絡する東名JCT(仮称)までの約16kmの区間の開通工事をおこなっています。
同区間の開通は、羽田空港からのアクセス向上や物流の効率化などにつながるものとみられます。
なおこの区間では、市街地のある地上への影響を軽減するため地下深くにトンネルを建設しており、大泉JCTから南へ向かう「南行トンネル」と東名JCTから北へ向かう「北行トンネル」の本線シールドマシンがスタートしています。
これらが完成した場合、片道3車線、合計6車線の道路となる予定です。
しかし、このトンネル工事を巡っては2020年10月18日、東京都調布市東つつじヶ丘2丁目付近において道路陥没が発生し、地下に空洞も相次いで発見される事態となりました。
有識者委員会がおこなった調査では、特殊な地盤下においてシールドマシン(掘削機)に支障が生じ、土砂を取り込みすぎる施工ミスが原因だったと判明しています。
地盤の補修工事は2023年8月から開始され、道路陥没した付近の家屋を解体した後に整地をおこない、地盤補修マシンによって地盤を改良する工事を進めています。
この道路陥没に関しては現在も補修工事が続けられていますが、現在、大泉JCTから東名JCTまでの開通見通しはどうなっているのでしょうか。
工事区間の開通見通しや工事のスピード感は? 東京外かく環状国道事務所に聞いてみた!
外環の建設事業を実施する国土交通省 東京外かく環状国道事務所に取材したところ、工事区間の開通見通しや工事のスピード感などについて、担当者は次のように説明しています。
「開通見通しについては、現時点では見通せる状況にございません。
工事のスピード感について一例を挙げると、大泉JCT側から掘削を進めている本線シールドの掘進速度は、北行車線における2024年1月の実績では1日あたり約5mです。
ただし、東京外環道には本線シールドマシン以外にも施工箇所が多くあるため、事業全体の工事のスピード感を一律にお示しすることは困難です」
大泉JCTから東名JCTまでの区間の開通時期は未定であるものの、シールドマシンによって少しずつ掘削が進んでいる状況がうかがえます。なお、本線部のシールドマシンは大泉JCT方面からの2基だけで、東名方面からのシールドマシンは今も調布付近で停止したままです。
さらに道路陥没に関する補修工事の見通しについては、次のように話しています。
「地盤補修工事の期間は、おおむね2年程度を想定しています。
ただし仮移転・買取等の状況を踏まえ変更となる場合がございます」
仮移転とは工事終了までの一時的な移転であり、地盤補修後住民に同じ場所の新たな住宅に戻ってもらうことを想定しています。
地盤補修工事に際しては当然土地の買取や移転などが必要となるため、住民の対応状況によって工事期間が変化する可能性もあるといえるでしょう。
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2023年11月には、地盤補修工事中に付近の入間川において気泡が発生し、調査・確認のために工事が一時中断する場面もみられました。
現在も慎重な補修工事が続けられており、大泉JCT〜東名JCT間の全面開通にはまだまだ長い時間がかかると推測されます。