野口健、登山中に発覚したまさかの“病気”。標高6000mで「突然呼吸ができなくなって」

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3月15日(金)に放送された『徹子の部屋』に、アルピニストの野口健が登場。登山中に起きたまさかの出来事を語った。

2023年9月、ヒマラヤのマナスルという8000m級の山で九死に一生の体験をした野口。

過去3度この山に登っていずれも登頂失敗しており、“4度目の正直”ということで万全の準備をして現地に入ったが、思いもよらぬ災難に見舞われたそう…。

「6600mくらいで突然呼吸ができなくなって、本能的にこれ以上行ったらヤバいと思って1回降りようと。第2キャンプから第1キャンプまでなんとか必死に降りたんですけど、血中酸素濃度を図ったら53っていう数字が見えたんです。53っていう数字は相当アウト。体中に(酸素が)ない」(野口)

とても歩ける状態ではなかったが、「10時間そこにいたらたぶん終わるな」と感じた野口は、苦しい体を動かしてなんとかベースキャンプまで降りた。

しかし、血中酸素濃度の数値は上がらない。

「何でだろうと思っているうちに息を吸ったら、水の音が聞こえて。肺水腫という、肺炎が悪化して肺に水が溜まっている状態だったんです。いくら吸っても肺が水没しているので、テントの中にいながら溺死していくような」(野口)

病院へ向かうためヘリを呼ぼうとするも、あいにく時間は深夜。野口は「最期になるかも」と自らの死期を感じたという。

そんななか、たまたま別の隊が呼んだヘリが早朝に到着し、運よくその機に乗せてもらって病院へ向かうことができた。

治療を受けた後、医師からは「あのタイミングでヘリに乗れなかったらたぶん助からなかった」とヒヤリとする一言を言われたとか。

「かなりおまえはラッキーだった。これから命を大事にしろよって散々言われました」と当時を振り返った野口。

「なんでマナスルに登りたかったの?」と黒柳が聞くと、一緒に挑戦するはずだった“仲間”の存在を明かした。

それは、20年間もパートナーとして野口を支え続けた山岳カメラマンの平賀淳さん。

前回のマナスル登山では、天候が悪く登頂をあきらめたときに、「僕らの約束は“生きて帰る”。その約束は守られた。だからまた来年行きましょう」と勇気づけてくれたという。

「今回も一緒に行く予定だったんですけど、前の年に違う山で遭難してクレバスに落ちて亡くなってしまって。その年は気持ちの整理もあったので1年延期して、もう1回マナスルに行くか行かないかすごく迷ったんですけど…。相方を失ったときにどうするかって登山家にとってひとつのテーマでもあるんです」(野口)

迷いながらも、平賀さんの言葉を胸に4度目の登頂に挑んだ野口は、「先に逝った仲間の分も山に登る。1年かかりましたけどね」としみじみ語る。

結局その挑戦も失敗に終わったが、瀕死の状態で何度か気持ちが切れかけたとき、平賀さんの顔が頭に浮かんで思いとどまることができたそう。

「お前もこっちに来いよ。楽になるぞ。そういうふうに感じたんですよ。冗談じゃない。まだお前の所にはいかないって。それでもう少し頑張ろうと思えたところもある」と振り返っていた。