■EY Japan 気候変動・サステナビリティ・サービス(CCaSS)リーダーの牛島 慶一氏のコメント
「本レポート結果から、『開示は進むも、経営戦略への統合は改善の余地あり』、また『国や地域によっての格差が大きい』ことが明らかになりました。日本はかねてからTCFD賛同企業が多いため、本レポートの調査対象企業においては、開示の量と質の両面で、欧米諸国と同水準を維持しています。

しかし、グローバルなバリューチェーンにおいて、上流も下流も他の国や地域に依存しやすい日本経済は、経済力や排出量で日本を上回る国との足並みがそろわなければ、気候変動分野でのグローバルなリーダーシップの発揮はもとより、思い切った投資になかなか踏み切れない状況かもしれません。実際に企業の開示の質を高めるためには、社会的なデータの蓄積だけでなく、新技術などの具体的なソリューションの実装が必要です。

地域格差に関しては、ASEAN、インド、中東などの新興国が開示の量で大幅に進化している一方、質においては依然として、先進国との間に大きな差があります。日本企業には世界のバリューチェーンでのポジションを強化するために、他の国や地域との協業を通じたソフトパワーの行使が期待されます。

今後数年間は、資本市場への気候変動課題の統合がますます進展するでしょう。全体の質を上げるためには、まず量の拡大が重要ですが、既にグリーンウォッシュという言葉があるように、視点は質の向上に移行しはじめています。日本の経営が強みとしていた現場力、実務力を発揮すれば、国際社会の課題解決に貢献する機会があるでしょう。

経済への気候変動の統合は、気候変動対策を軸にした新たな経済圏を形成し、その他の市場との競争を引き起こす可能性があります。企業は気候変動を軸に、世界のバリューチェーンの見直しを迫られることになるでしょう。政府の支援強化も必要です。したがって、企業を主体とするサプライチェーンへの働きかけや、官民の協力が重要になります」

日本語版ニュースリリース:
EY調査、企業の気候関連情報の開示は前進するが、気候戦略とアクションでは期待を満たせず
https://www.ey.com/ja_jp/news/2024/03/ey-japan-news-release-2024-03-07

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