「世界幸福度ランキング」の上位にランクする北欧。そこで暮らす人々の暮らしや考え方は、日本人とどう違うのでしょうか? 北欧の人たちのファッションやインテリアのこだわりについて教えてくれたのは、現在、デンマークで暮らしながら、フリーランスのライター、イラストレーターとして活動している日暮いんこさん。近著の『北欧時間』(大和出版)でも、豊かに暮らすための北欧流の考え方や過ごし方をレポートしてます。

すっぴんの自分がいちばんキレイ!

とある仕事で、北欧の女性のメイクアップに関する意識調査をしていたときのこと。彼女たちは口々に「すっぴんの自分がナチュラルでいちばん美しいと思う」と回答。「日本だったらなかなかない回答かも!」と、とても新鮮に感じました。

彼女たちのふだんのメイクは、リップクリームとマスカラのみといった、ごくごく軽いものが基本。時間をかけてメイクアップをするのは、パーティのときなど、「スペシャルな自分」を演出して楽しむとき。

日本では毎日30分以上かけてメイクをしていた私。北欧の女性たちを真似てすっぴんで出掛けているうちに、世の中は私がメイクしていようとしていなかろうと、さほど気にしていないことに気づいてしまいました。

それに「だれにも見せられない」なんて思っていた、すっぴんの自分の顔も、見慣れればなんとも思わなくなりますし、とにかく手間がかからなくて、自由を感じます。

まずはだれとも会わない日から、すっぴんで活動してみませんか? その潔さと開放感があなたをキラキラ美しく輝かせてくれるはずです。

北欧の人々のファッションとは

北欧の人々のファッションを見てみると、彼らの考え方がよくわかる気がします。

北欧では、流行ど真ん中なだけの格好や高級ブランド品をこれ見よがしに着ている人を街中で見かけることはほとんどありません。

友人いわく、無理して身の丈に合わないものや、高級すぎるものを身につけるのは「そういうことにお金を使う人」と思われるそうで、どちらかというと嫌なのだとか。そんなことよりも自分に合ったおしゃれができることが、かっこいいのだそう。

よって彼らにはそれぞれお決まり、またはこだわりのスタイルがあり、そして今日の気分に合わせた格好をしています。自分らしさを表現でき、かつ心地よいことが重要なようです。

北欧の学校では、成績などで生徒に順位をつけることはまずありえないことです。個性を重視し、1人ひとりの得意、不得意に目を向けます。ファッションにもそれが現れているのかもしれませんね。

北欧の人々のインテリアへの情熱

高級ブランドの服や、高級車にはあまりお金を使いたがらない北欧の人々ですが、彼らの財布のヒモが唯一ゆるくなってしまうものがあります。

それはズバリ「家具」です。

北欧の人々は自分の家が大、大、大好きで、こだわりも並大抵ではありません。

たとえば、私がホームステイでお世話になった、デンマーク人のラースさん。家具を買うとき、1度に全部そろえるなんてもってのほか。イス1つとっても何か月もかけて、何件もインテリアショップを回ります。お気に入りのものを見つけてもまだ買いません。何回も見に行っては、愛しのマイホームとの相性を想像し尽くします。

そうして納得したものには、何十万でも惜しみなく出したりするので驚きです。

豪華絢爛なものよりも、シンプルで素材の温かみを感じられるものを選びます。彼らいわく、心地よさがいちばん大切であり、これらの家具も、北欧の長い冬の長い夜をほっこりと過ごすための必要経費なのだとか。