災害に対応した自動販売機とは?(写真はイメージ)

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 病院や官公庁などでは、「緊急時飲料提供ベンダー」「災害救援ベンダー」などと書かれた自動販売機を見掛けることがあります。こうした自販機は、「災害時に無料で飲料を取り出せる」といわれていますが、本当なのでしょうか。災害に対応した自販機の仕組みについて、サントリー食品インターナショナル(東京都港区)の担当者に聞きました。

自販機の管理者の対応が必要

Q.災害時に中の飲料を無料で取り出せる自販機があると聞きますが、本当なのでしょうか。

担当者「本当です。当社では、災害時に活用可能な自販機を『緊急時飲料提供ベンダー』と呼んでいます。この自販機は、通常時は飲料を販売していますが、災害で停電したときに、『非常用の専用鍵』を使って中の飲料を取り出すことができます。2023年12月末時点の全国の設置台数は約2万5000台で、企業や工場、病院、官公庁、学校などで導入されています。

基本的に、自販機の管理者さまが鍵を管理しているため、飲料を取り出したい場合は、事前に管理者さまに連絡し、対応してもらう必要があります。災害による停電だけでなく、管理者さまが『緊急時』と判断する場合も、飲料の取り出しが可能です」

Q.緊急時飲料提供ベンダーの機内にある飲料は、どうやって取り出すのでしょうか。

担当者「当社の緊急時飲料提供ベンダーの場合、鍵で扉を開けた後、内部のワイヤを引っ張ることで飲料を取り出す『ワイヤ式』と、鍵を使って非常用電源に切り替え、飲料を取り出す『バッテリー式』の2種類があります。飲料を取り出す手順は次の通りです」

【ワイヤ式】
(1)専用の鍵で扉を開ける。
(2)自販機の下部(搬出部)にあるワイヤを引っ張ると、飲料を取り出せる。

【バッテリー式】
(1)専用の鍵を使って非常用電源に切り替える。
(2)商品選択ボタンが点灯したらボタンを押す。すると、中から飲料が出てくる。

なお、サントリーの自販機は対応していませんが、飲料メーカーによっては、充電用のハンドルを搭載した「ハンドル充電式」と呼ばれる自販機を設置しています。このタイプの自販機は、充電用のハンドルを回して発電することで、機内の飲料を取り出せます。

Q.緊急時飲料提供ベンダーは、通常の自販機よりも飲料が多く入るのでしょうか。

担当者「緊急時飲料提供ベンダーの収納本数は、通常の自販機と同じです。自販機のサイズによって異なりますが、当社の大型の自販機の場合、1台当たり300〜400本のペットボトル飲料が収納可能です」