SBIグローバルアセットマネジメントは1月30日、2024年3月期第3四半期決算を発表した。(写真は、決算説明会の様子)

写真拡大

 SBIグローバルアセットマネジメント <4765> は1月30日、2024年3月期第3四半期決算を発表した。連結売上高は75億76百万円で前年同月比16.1%増、経常利益は20億07百万円で同11.5%増と、12期連続の増収、15期連続の経常増益を達成した。売上高、営業・経常・純利益のいずれの項目でも過去最高を更新した。当日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「15期連続で増益を達成することは、簡単なことではない。リーマン・ショックや東日本大震災などといった大きなショックを乗り越えて、ずっと増益を続けてきた。この15年間に株価は6.7倍に上昇し、配当込みの株価は10倍になった。これは米国『S&P500』の8.2倍を上回るパフォーマンスになる。どのような環境であろうともレジリエンス(強じん性・柔軟性)を発揮する事業ポートフォリオを構築・進化させることが重要だ」と振り返った。

 主要サービス別の売上高は、アセットマネジメント事業は中心となるSBIアセットマネジメントのインデックスファンドの運用残高が前年同期比71.1%も増加するなど運用残高が大きく伸びたことで前年同期比21.9%増となった。ファイナンシャル・サービス事業は、セミナー事業の回復などでメディア・ソリューションが同30.3%増と健闘したものの、株式関連ニュースの不振などで前年同期比2.3%減だった。朝倉氏は、「アセットマネジメント事業ではインデックスファンドの伸びが大きいが、アクティブファンドも前年同月比47.8%伸びている。アクティブファンドにおいても低コストで良質な商品の提供に努めており、そのような商品は投資家の皆様が評価していただける」と語っていた。

 アセットマネジメント事業の成長の軸であるSBIアセットが提供する低コストのインデックスファンドに対する継続的な資金流入は継続している。SBI証券を通じた同社インデックスファンドの受益者数は12月末時点で194.5万人、うち積立口座数は122万口座を占めている。また、インデックスファンドの購入経路は、NISAやiDeCo、企業型DCといった税制優遇口座の利用が43.3%を占めており、朝倉氏は、「SBI証券の『ゼロ革命』と今年1月に始まった新NISAで、投信の積立はまだまだ拡大すると期待される」と、投信積立を通じたインデックスファンドへの資金流入は続くと見通していた。

 一方、ファイナンシャル・サービス事業は、同社が提供している投信販売機関向けのタブレットアプリ「Wealth Advisor」は12月末時点で524社に導入されていることもあって、提供社数を大きく拡大することは難しくなっている。このため、アプリ上で利用できる「ライフプラン」などのツールの提供社数の拡大など、アプリの有効活用を働きかけているという。「『ライフプラン』ツールの導入者数は2022年12月末に14社だったものが、23年12月末には22社になった。現在、アプリを使っていただいている524社のニーズに適ったツール等を提供していきたい」とこの分野での成長を目指す考えだ。また、セミナーについてはコロナ禍で対面セミナーの開催がストップしていたが、今年度から本格的に稼働し、前年同期では3つの開催だったものが、今年度は10セミナーを開催し、新NISAの普及拡大に向けて地方都市での開催依頼も非常に増えていると語っていた。

 今後の展望として、アセットマネジメント事業ではオルタナティブ戦略の強化をあげた。既に業務提携し、合弁企業を立ち上げて国内サービスを準備している英マン・グループとの連携で「トレンドフォロー戦略」や「ロング/ショート戦略」などのヘッジファンドを、また、米KKRとは「プライベート・エクイティ」「プライベート・デット」などのプロダクトを準備しているという。「将来的には、個人投資家の方々にも投資していただけるように小口化して国内で提供開始することを計画している」と語っていた。

 その上で、グループ運用資産を現在の5.15兆円の規模から、2年後に10兆円、4年後に20兆円をめざすという目標を掲げた。(写真は、決算説明会の様子)