井上尚弥選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

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プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)が圧倒的な強さで2023年を締めくくった。次戦は元世界2階級制覇のルイス・ネリ(メキシコ、29)との対戦が浮上しており実現すれば大きな注目を集める。デビュー以来負けなしの26戦全勝(23KO)で世界4階級を制覇したモンスターの「無双」はどこまで続くのか。J-CASTニュースでは、TMKジムの金平桂一郎会長(58)にモンスターの今後を占ってもらった。

スーパーバンタム級4団体統一は「通過点」

22年12月にバンタム級の4団体を統一した井上は王座を防衛することなくスーパーバンタム級に転向した。転向後の初戦はノンタイトル戦を挟まず、いきなり世界タイトル戦だった。しかも相手はWBC・WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(米国、29)だ。体格、パワーなどスーパーバンタム級にマッチできるか注目されたが、挑戦者・井上は王者をパワーで圧倒し8回TKOで破り2本のベルトを手に入れた。

難なく世界4階級を制覇し12月にはWBA・IBF世界同級王者マーロン・タパレス(フィリピン、31)と4団体王座統一戦を行い、10回KO勝利でバンタム級に続いて4団体統一に成功した。バンタム級時代、4年半かかった4団体統一の偉業をわずか1年の間に成し遂げ、米国をはじめとする海外専門メディアから絶賛された。

4団体統一は「通過点」とし、将来的に1階級上のフェザー級制覇を視野に入れる井上。もはやスーパーバンタム級で敵なしの状態にいるが、この「無双」ぶりはいつまで続くのか。金平会長は「フェザー級まで続く可能性はある」との見解を示した上で、井上のボクシングを独自に分析した。

金平会長は「私の以前からの考えであるフェザー級からきつくなるだろうということに変わりありません」と切り出して持論を展開した。

「井上選手の耐久性や体全体のパワーがどうなるか」

「スーパーバンタム級とフェザー級の1番の違いは、フェザー級にはライト級、スーパーライト級くらいの大きな骨格の選手がいることです。3階級連続で4団体統一を狙うでしょうが、スーパーバンタム級より断然難易度は上がるでしょう。井上選手といえどもフェザー級はひとつの壁になると思います。フェザー級で通用しないということではなく、ただ難易度が上がるだろうということです」

スーパーバンタム級リミットは55.3キロで、フェザー級は57.1キロがリミットとなる。その上のスーパーフェザー級は58.9キロ、ライト級リミットは61.2キロだ。金平会長はスーパーバンタム級とフェザー級の体重差はわずか2キロ弱だが、数字以上に大きな隔たりがあるという。

金平会長は「フェザー級がひとつの壁になるとするのは、井上選手の骨格が元々それほど大きくないというシンプルな理由もあります」とし、「バンタム級(53.5キロ)くらいから階級を上げてきたような選手ではなく、元々ライトフライ級(48.9キロ)の選手でそこから上げてきている。スーパーバンタム級まではできることを証明した。井上選手どうこうではなく、私の中でフェザー級からいきなりハードルが上がる感覚があります。そして井上選手の耐久性や体全体のパワーがどうなるか。通用するとは思いますが、そう簡単ではないと思います」と分析した。