クルマに乗ると現れる「謎の眠気」なぜ!? 心地イイ「ほどよい揺れ」は大敵? 眠くなる「メカニズム」の「対策」とは

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なぜだかだんだん「眠くなる」理由とは

 乗る前は眠くなかったのに、クルマに乗ると不思議となぜかいつも「眠くなる」……。
 
 どうして眠くなるのか、その「仕組み」と、眠くならないための「予防策」について紹介します。

運転中にふと「眠気」を感じたら… どうするのが良いのでしょうか[画像はイメージです]

 クルマに乗ると眠くなる原因はいくつか考えられます。まず考えられるのが「走行中の音や振動」です。

【画像】「えっ…!」これが高速道路で「絶対やってはいけない」行為です!(30枚以上)

 クルマに限らず、電車に乗っても同様に眠くなるという人は多いかと思いますが、単調な音や振動という環境が続く走行中の車内は、人の眠気を誘いやすいといいます。

 日本機械学会誌に掲載されている木村仁教授の研究によると、ヒトは2Hz(ヘルツ:1Hzは1秒間に1周期の振動をする揺れ)以下の低周波振動を多く含み、10Hzから20Hzの振動があまりない振動パターンにおいて、眠気を誘われるとのこと。

 デコボコしていない高速道路を走っていると、フワフワとした乗り心地に感じることがありますが、ちょうどあのくらいの上下の揺れが1Hzから2Hzです。

 10Hzから20Hzというのは、荒れた道を走った特のようなブルブルするような振動に相当します。

 このブルブル振動があまりない舗装された道を走行していると、眠気を誘われるようです。

 また、人間の生体リズムも関係しているようです。

 日本自動車研究所がまとめた「居眠り運転に関する交通事故統計データの分析」によると、ヒトの睡眠覚醒リズムは、約1日を周期とする概日リズムのほか、約0.5日を周期とする概半日リズムという生体リズムもあり、これによって14時ごろにも覚醒度が低下する傾向があるそう。

 実際、同分析結果によると居眠りによる交通事故がもっとも多いのは深夜から早朝ではあるものの、14時頃にもピークが存在しているとのこと。

 この生体リズムによって眠くなってしまった結果、事故が発生したことが考えられます。

 ほかにもドライバーであれば、高速道路など、景色や状況の変化が少ない環境が長く続くことで緊張感をなくしがちになり、睡魔に襲われやすくなるということも考えられます。

 さらに食事をとった後であれば、血糖値が急激に上昇して急低下することで、脳に供給される糖が不足し、強い眠気を引き起こすことが考えられます。

 また、カーエアコンを内気循環していることによる二酸化炭素濃度の上昇も、疲れや眠気を感じやすくなる原因となっているようです。

サクッと「仮眠」がただちにできない場合はどうしたら良いのか

 もし運転中にぼんやりとしはじめたら、どうするのが良いのでしょう。

 やはり理想は、15分未満程度の「仮眠」をしたいところです。

とにかく眠くなったらサクッと「仮眠」が理想ですが…[画像はイメージです]

 ポイントは、あくまでも15分以内の仮眠にとどめること。仮眠が長くなると寝起きが悪くなり、睡眠リズムの乱れを引き起こしてしまうので、逆効果だといいます。

 しかし、そうはいってもどうしても先を急がなければならない場合や、高速道路走行中でただちに休憩できる適切な場所がない時には、どうしたら良いのでしょうか。

 すぐできるオススメの目覚まし方法としては、走行中に窓を開けたり、冷房を最低温度で強めに効かせたりして「身体を急激に冷やす」ことです。

 メントール入りの目薬も、ちょっと前のテレビCMのように「キター!!」と一時的に覚醒を促し、清涼感と目覚め効果は抜群です。

 ただし運転中にさすのは安全運転義務の違反となる危険行為なので、安全な場所にクルマをとめてから行うほかありません。

 また「大声で歌う」のもおすすめできます。

 ラジオから聞こえる曲に合わせて歌っても良く、アカペラで好きな曲を歌ってみるのも効果的でしょう。

 ポイントは、できるだけ口を大きく開けて大声で歌うこと。

 顎や頬の筋肉を動かすことで、脳に刺激が伝わり、眠気を飛ばすことができるのです。

 また「息を止める」ことでも眠気解消ができます。

 10秒程度ではなくもっと長く、限界近くまで止めたうえで深呼吸をすることで、脳に酸素を一気に送り、頭をすっきりさせます。

 ほかにも、するめなどの噛み応えのあるおやつや、眠気防止のツボを刺激したり、同乗者と会話をする、というのも案外効果的だったりします。

 それでもどうにもならない場合は、しっぺ、デコピン、つねる、モモを叩く、耳を引っ張るなど、身体に刺激を与えて目を覚ます荒療治もあります。

 こうした方法のうちいくつかを組み合わせば、より効果を得られると考えられます。

 眠気がどうにもならない場合、試してみる価値はありそうです。

眠気を感じたままドライブを続けるのは危険! 余裕を持ったドライブ計画をたて、定期的にパーキングエリアなどで休息をとりましょう[画像はイメージです]

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 スマートフォンには、眠気覚まし対策のアプリがあります。

 内蔵カメラで表情やまばたきの様子をモニタリングし、眠気を感知した場合にはアラームで知らせてくれるものです。

 これを利用すれば、本格的に眠くなる前に休憩できるので、眠気に悩まされている人は一度試してみてください。

 そもそも運転中に眠くならないようにするため、事前の対策も重要です。

 当たり前のことですが、普段から十分に睡眠をとって、日頃の疲れをためないようにしておくことが大事なのは言うまでもありません。

 また、運転前に風邪薬やアレルギー薬は控えることや、運転前に食事をとる際は量を控えめにしておくことも大切なことです。

 特に糖質の高い食べ物を控えめにしておくと、血糖値の急激な上昇を抑えることができ、眠くなりにくくなるといいます。

 これから迎える年末年始には、クルマで移動する機会も増えます。

 ドライブの前にはまずしっかりと睡眠や休息をとったうえで眠気対策も行い、安全運転を心がけましょう。