最高の仲間と、最高の旅を。|Classic Japan Rally 2023 SEVEN STARS in KYUSHU
毎年秋に九州を起点に開催されるクラシックジャパンラリー(以下CJR)。2023年は大きく2つのパートに分かれての開催となった。前半は11月21日から24日にかけて、九州旅客鉄道(以下JR九州)が運行する九州周遊寝台列車(クルーズトレイン)、ななつ星in九州とクラシックカーのコラボレーションで10組9台が参加。そして後半は川端商店街(福岡県福岡市)を11月25日にスタートし、長崎からカーフェリーを使って熊本、大分、山口などを周り、門司港駅(福岡県北九州市)に28日にゴールするラリーパートで、こちらは41台が参加した。
【画像】陸、海、空で九州を満喫した、クラシックジャパンラリー2023 セブンスターズ in 九州(写真19点)
クラシックカーが次世代に受け継がれるように
CJRは年に数回神奈川県近郊でクラシックカーイベントを行っており、同時に年に1度、九州を中心に開催。初めての九州は2018年に天草を起点に行われて以降、途中コロナ禍で休止を余儀なくされたものの、今回で5回目を迎えた。戦前のブガッティやMGなどのほかに1970年代までのクラシックカーが前述の地域を周り、ラリーではトータル900kmを走行した。
このイベントの最大の目的は、クラシックカーを歴史的文化遺産と位置づけ、それを次世代に受け継がれるような文化を醸成することにある。そこで小学校などを訪問し、子供たちにクラシックカーと触れ合う機会を積極的に設け、実際に体感してもらうことで、美しいものへの関心を高め、またそれを維持するための技術に興味を持ってもらうこと。そして、その維持のためにメカニックという職人がいることを知ってもらい、その人たちへの尊敬心を育む機会を作るようにしている。さらに行く先々の行政や自治体とも連携し、イベント告知とともにカタログや応援旗などを配布するなど、地域の活性化も積極的に取り組んでいる。
素晴らしいホスピタリティに感動
今回の九州でのイベントは初めてななつ星in九州とクラシックカーの共演が見られた。実は2018年時点から主催者はこの実現を夢見ていた。主催者の一人、岡野正道さんは「2018年はJALとのご縁があり、初めて航空機でクラシックカーを運ぶことを実現できました。そして九州といえばななつ星in九州です。ぜひコラボレーションをとJR九州に提案しましたが、私どもの列車でのコラボレーションは考えていないとお断りされてしまったのです」と当時を振り返る。そこから5年に渡り、門司港駅をスタートやゴールにするなどで、このイベントをアピールし、ついにコラボレーションが実現したのだ。岡野さんは、「この思いの実現を願い続け、そして行動を続けていくと、本当に夢が叶うんだと強く感じています」とコメントしていた。
このコラボレーションには10組が参加。ななつ星in九州のコンパートメントは10室なので貸し切りである。ここで今度はJR九州側が驚くことになる。通常ななつ星in九州の乗客は乗車時に初めて出会うので、最初はよそよそしさが感じられるのだが、今回は皆気心知れた仲間であるため初めから大いに盛り上がったからである。ななつ星in九州のスタッフの一人は、「こんな始まり方はこれまでに経験がなく本当に驚きました。でも、皆さん紳士淑女の集まりで、私たちへの気遣いもあり本当に楽しくサービスさせていただきました」と話し、別の一人は、わざわざ休暇を取得し、ラリーの応援に駆け付けるなどスタッフと参加者との間に見えない絆が生まれていた。
参加した人たちも「本当に楽しかった」と口を揃える。ある一人は「何度か乗ろうとしましたが、どうしても予約が取れなかったのでとても楽しみでした。実際に乗ってみて、設えも最高ですが、一番感動したのはスタッフの人たちです。ホスピタリティが素晴らしく、最高のお仕事をされていました」と語る。別の一人も、「行く先々に自分のクラシックカーを運んでもらい、昼間は素晴らしい道を走り、そして夜はななつ星に戻って気のおけない仲間たちと旅を満喫できました。確かに値段は高いかもしれません。しかし、それ以上の価値がある素晴らしい時間でした」と本当に楽しそうに教えてくれた。
キラキラと輝く子供たちの目
さて、このイベントの最大の目的である小学校への訪問はラリー3日目の大分県豊後高田市立高田小学校だった。高田小学校に到着した参加車両は校庭に整列。そこで待ち受けていた生徒たちは最初こそ大人しく先生のいうとおりにしていたが、すぐに自分が興味を持った車へ一目散に駆け寄ると、まずは車の周りをまわり、その後、オーナーに話しかけたり、シートに座らせてもらったり、クラクションを鳴らしてみたり、ボンネットを開けている車があればメカニックに説明を求め、その整備を真剣なまなざしで眺めている光景があちらこちらで見られた。その子供たちの目は例外なくキラキラと輝き、笑顔に溢れていたのが印象的だった。さらにそれを見ているオーナーたちも本当に楽しそうに子供たちと会話をしていた。
同校教諭に話を聞くと、「子供たちにとって本当に貴重な体験で、このチャンスを頂けたことをとても嬉しく思っています。予想以上に子供たちの目がキラキラ輝いていて、興奮が伝わってきました。実際に見て、体験して色々な話を聞かせてもらったことが、子供たちにとっては本当に素晴らしい貴重な時間だったと思います。また、全く知らない方との触れ合いもこれから生きていくうえで大きな糧になるでしょう」と話してくれた。
今回が集大成
表彰式において岡野正道氏は、「兄の岡野大介と二人で進めてきたこの九州のイベントも今回で5回目。ななつ星in九州とともに大会を行うことができたのでまさに集大成であり、一区切りとなります。来年以降は未定ですが、この九州において100近い自治体と連携ができ、また輸入車ディーラーのヤナセにも支援してもらえた縁を大切に、新しい、楽しいイベントを作っていきたいと思っています」と結んでいた。
3年続けて取材をしてきた経験から、今回で終わることはないと信じている。その理由は、国内外のクラシックカーイベントで、クラシックカーと陸( JR九州・ヤナセ)、海(カーフェリー)、空(JAL)の全てとコラボレーションしたイベントは稀有だという大きな特徴とともに、地元の人たちの強い応援があるからだ。毎回楽しみにしているおじいちゃんやおばあちゃん、子供を連れた夫婦、デート途中のカップルなど本当に幅広い層の人たちがルートやチェックポイントなどに集まって声援を送っているのだ。来年は難しいかもしれないが、ぜひこの人との縁と絆を大切にして再来年以降の開催を熱望したい。そして何よりも子供たちが待っているのだから。
文・写真:内田俊一 写真:内田千鶴子、クラシックジャパンラリー、太田晃司,SOUTHPOINT(”ななつ星 in 九州”との旅 Day1&2)、郄木謙吾,SOUTHPOINT(”ななつ星 in 九州”との旅 Day3&4)
Words and Photography:Shunichi UCHIDA Photography:Chizuko UCHIDA, Classic Japan Rally, Koji OTA.SOUTHPOINT(Journey along with the Seven Stars in Kyushu Day1&2), Kengo TAKAGI.SOUTHPOINT(Journey along with the Seven Stars in Kyushu Day3&4)
クラシックカーが次世代に受け継がれるように
CJRは年に数回神奈川県近郊でクラシックカーイベントを行っており、同時に年に1度、九州を中心に開催。初めての九州は2018年に天草を起点に行われて以降、途中コロナ禍で休止を余儀なくされたものの、今回で5回目を迎えた。戦前のブガッティやMGなどのほかに1970年代までのクラシックカーが前述の地域を周り、ラリーではトータル900kmを走行した。
このイベントの最大の目的は、クラシックカーを歴史的文化遺産と位置づけ、それを次世代に受け継がれるような文化を醸成することにある。そこで小学校などを訪問し、子供たちにクラシックカーと触れ合う機会を積極的に設け、実際に体感してもらうことで、美しいものへの関心を高め、またそれを維持するための技術に興味を持ってもらうこと。そして、その維持のためにメカニックという職人がいることを知ってもらい、その人たちへの尊敬心を育む機会を作るようにしている。さらに行く先々の行政や自治体とも連携し、イベント告知とともにカタログや応援旗などを配布するなど、地域の活性化も積極的に取り組んでいる。
素晴らしいホスピタリティに感動
今回の九州でのイベントは初めてななつ星in九州とクラシックカーの共演が見られた。実は2018年時点から主催者はこの実現を夢見ていた。主催者の一人、岡野正道さんは「2018年はJALとのご縁があり、初めて航空機でクラシックカーを運ぶことを実現できました。そして九州といえばななつ星in九州です。ぜひコラボレーションをとJR九州に提案しましたが、私どもの列車でのコラボレーションは考えていないとお断りされてしまったのです」と当時を振り返る。そこから5年に渡り、門司港駅をスタートやゴールにするなどで、このイベントをアピールし、ついにコラボレーションが実現したのだ。岡野さんは、「この思いの実現を願い続け、そして行動を続けていくと、本当に夢が叶うんだと強く感じています」とコメントしていた。
このコラボレーションには10組が参加。ななつ星in九州のコンパートメントは10室なので貸し切りである。ここで今度はJR九州側が驚くことになる。通常ななつ星in九州の乗客は乗車時に初めて出会うので、最初はよそよそしさが感じられるのだが、今回は皆気心知れた仲間であるため初めから大いに盛り上がったからである。ななつ星in九州のスタッフの一人は、「こんな始まり方はこれまでに経験がなく本当に驚きました。でも、皆さん紳士淑女の集まりで、私たちへの気遣いもあり本当に楽しくサービスさせていただきました」と話し、別の一人は、わざわざ休暇を取得し、ラリーの応援に駆け付けるなどスタッフと参加者との間に見えない絆が生まれていた。
参加した人たちも「本当に楽しかった」と口を揃える。ある一人は「何度か乗ろうとしましたが、どうしても予約が取れなかったのでとても楽しみでした。実際に乗ってみて、設えも最高ですが、一番感動したのはスタッフの人たちです。ホスピタリティが素晴らしく、最高のお仕事をされていました」と語る。別の一人も、「行く先々に自分のクラシックカーを運んでもらい、昼間は素晴らしい道を走り、そして夜はななつ星に戻って気のおけない仲間たちと旅を満喫できました。確かに値段は高いかもしれません。しかし、それ以上の価値がある素晴らしい時間でした」と本当に楽しそうに教えてくれた。
キラキラと輝く子供たちの目
さて、このイベントの最大の目的である小学校への訪問はラリー3日目の大分県豊後高田市立高田小学校だった。高田小学校に到着した参加車両は校庭に整列。そこで待ち受けていた生徒たちは最初こそ大人しく先生のいうとおりにしていたが、すぐに自分が興味を持った車へ一目散に駆け寄ると、まずは車の周りをまわり、その後、オーナーに話しかけたり、シートに座らせてもらったり、クラクションを鳴らしてみたり、ボンネットを開けている車があればメカニックに説明を求め、その整備を真剣なまなざしで眺めている光景があちらこちらで見られた。その子供たちの目は例外なくキラキラと輝き、笑顔に溢れていたのが印象的だった。さらにそれを見ているオーナーたちも本当に楽しそうに子供たちと会話をしていた。
同校教諭に話を聞くと、「子供たちにとって本当に貴重な体験で、このチャンスを頂けたことをとても嬉しく思っています。予想以上に子供たちの目がキラキラ輝いていて、興奮が伝わってきました。実際に見て、体験して色々な話を聞かせてもらったことが、子供たちにとっては本当に素晴らしい貴重な時間だったと思います。また、全く知らない方との触れ合いもこれから生きていくうえで大きな糧になるでしょう」と話してくれた。
今回が集大成
表彰式において岡野正道氏は、「兄の岡野大介と二人で進めてきたこの九州のイベントも今回で5回目。ななつ星in九州とともに大会を行うことができたのでまさに集大成であり、一区切りとなります。来年以降は未定ですが、この九州において100近い自治体と連携ができ、また輸入車ディーラーのヤナセにも支援してもらえた縁を大切に、新しい、楽しいイベントを作っていきたいと思っています」と結んでいた。
3年続けて取材をしてきた経験から、今回で終わることはないと信じている。その理由は、国内外のクラシックカーイベントで、クラシックカーと陸( JR九州・ヤナセ)、海(カーフェリー)、空(JAL)の全てとコラボレーションしたイベントは稀有だという大きな特徴とともに、地元の人たちの強い応援があるからだ。毎回楽しみにしているおじいちゃんやおばあちゃん、子供を連れた夫婦、デート途中のカップルなど本当に幅広い層の人たちがルートやチェックポイントなどに集まって声援を送っているのだ。来年は難しいかもしれないが、ぜひこの人との縁と絆を大切にして再来年以降の開催を熱望したい。そして何よりも子供たちが待っているのだから。
文・写真:内田俊一 写真:内田千鶴子、クラシックジャパンラリー、太田晃司,SOUTHPOINT(”ななつ星 in 九州”との旅 Day1&2)、郄木謙吾,SOUTHPOINT(”ななつ星 in 九州”との旅 Day3&4)
Words and Photography:Shunichi UCHIDA Photography:Chizuko UCHIDA, Classic Japan Rally, Koji OTA.SOUTHPOINT(Journey along with the Seven Stars in Kyushu Day1&2), Kengo TAKAGI.SOUTHPOINT(Journey along with the Seven Stars in Kyushu Day3&4)