つんく♂さんの原点は、中学2年生の自分にあるといいます(写真:msv/PIXTA)

シャ乱Qとして「シングルベッド」「ズルい女」などのミリオンセラーを連発、「モーニング娘。」のプロデューサーとしても「LOVEマシーン」が176万枚以上のセールスを記録し、「歴代作曲家シングル総売上ランキング」(2020年オリコン調べ)でも歴代5位にランクインしているつんく♂氏。

「ハロー!プロジェクト」をはじめ数々のヒットやプロデュースの成功から「天才」と評されることもあるつんく♂氏だが、「僕は天才ではなく凡人。でも、凡人だからこそ、天才を凌駕できる」という。

つんく♂氏が3年かけて「自分の中に眠れる才能を見つけ、劇的に伸ばす方法」をまとめた新刊『凡人が天才に勝つ方法』が発売され、3刷を突破するなど、反響を呼んでいる。

「国民的エンターテインメントプロデューサー」として今でも第一線で活躍するつんく♂氏が「凡人が結果を残すために大切にしたい視点」について解説する。

凡人が「結果を残す」ために大切なこと

僕が考える「天才」とは、金儲けや名誉を度外視して、「やりたいこと」をひたすらやれる人だと思います。正直、うらやましいし、憧れます。

僕は、もちろん違います。バンドを始めたのも、「売れたい!」「目立ちたい!」「褒められたい!」といった動機からでした。


そして、多くの人も「凡人」のはずです。なぜなら、「本物の天才」は、ほんのひと握りの存在だからです。

もちろん、凡人の中にも(プロアマ問わず)、才能がある人はたくさんいますが、彼らも、「天才」とは違います。

あくまでも「凡人の中の優れた人たち」 なのです。

では、いたって「普通の凡人」である僕たちが結果を残すには、どうすればいいのでしょうか

このことを、僕はこれまで、ずっと考えてきました。

凡人の僕なりに「凡人にとって大事なこと」を考え、「ある答え」にたどり着きました。

それは「好き」を追求すること。天才じゃなくても、人は「好きなこと」をする権利をもっています。

人間、好きなことなら、嫌がらずに続けられます。情熱をもって取り組めます。夢中になれます

僕も音楽が大好きだったから、イヤイヤつらい努力をしたという記憶はありません。

仕事でも勉強でも趣味でも、中途半端な気持ちのまま、親や先生に「こういう経験もしておかなければダメだ!」なんて言われて、流されてやっていると、隣で楽しそうなお祭りみたいなことが始まったとき、そちらに行きたくなりますよね。

それは「迷い」があるからです。

自分が「どれくらいノッているか」が大事

みんながあちらを向いたら、流行りを追いかけたくなって、同じ方向に走り出してしまうのが人間の心理。とくに日本人は「人と違うこと」をしていると不安になる国民性みたいです。

そんなとき、大切にしてほしいのが「好きだ」「楽しい」という気持ち

重要なのは、本人が「どれくらいノッているか」

何をするにも、あなた自身が「これをやりたい!」「いま楽しい!」と思えることに、勝るものはありません。そういう思いがあれば、人が何をしようが、何が流行っていようが気にならないし、流されることはありません。

もし、自分の「好き」がわからなくなったら、思い出してみてほしいことがあります。

「好き」を見つけるのに困ったら、あなたに思い出してほしいのが「中学2年生」のころの感覚です。

ご自身の中学生時代を振り返ってみてください。

中1は、小学生の延長線。中3になれば、将来がずっしりのしかかってくる受験がある。子どもから大人として羽ばたいていく、ちょうど中間点が「中2」です。

まだまだ子どもだけど、幼いころより知識もついて、さまざまな選択肢が出てきます。「中2には、無制限の青春感、自由と夢がある」というのが、僕の基本理念のひとつ

思えば、後藤真希、松浦亜弥と出会ったのも、だいたい彼女たちが13〜14歳あたりのころでした。彼女たちには、パワーがみなぎっていました。

「中2の自分」から「好き」が見えてくる

大人の世界なんて知りませんから、「あれがしたい」「これになりたい」といった突拍子もない願望をもつこともあるでしょう。

でも、たいていは、大人やまわりから「できるわけない」「きっと無理」「お金がかかるし」「いまじゃない」「後悔するよ」などなど、なんだかんだ言われて止められてしまいます。

そして「それをさせてくれないのは環境のせい!」「やりたいことができないのは、まわりのせい!」なんて考えてしまう。

「若気の至り」という見方もありますが、いまになって思い返すと、「何でもできる!」「何にでもなれる!」と思っていた中2の夢と可能性はすごいんです。

あなたも、「中2のころ、自分が好きだったもの」を思い出してみてください。そこに「あなた自身の原点」があるかもしれません。

あなたの「好き」はあなただけのものです。

苦手なことはいったん棚に上げて、「好きなこと」を手がかりに、自分だけの道を探ってみてください

(つんく♂ : 総合エンターテインメントプロデューサー)