ラグビーW杯日本戦の後にあった美しい景色 チリ代表がボランティアと歌い踊り、分かち合った喜び【フォトコラム】
ラグビーW杯フランス大会 カメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラム
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が8日(日本時間9日)に開幕。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は9日(同10日)に行われた日本―チリ戦から。
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Chi Chi Chi Le Le Le, Viva Chile!
つい口ずさみたくなるような軽快な掛け声。スタジアムに駆けつけたチリファンの大声援を追い風に、ロス・コンドレス(チリ代表の愛称)はW杯へと羽ばたいた。
W杯初出場、世界ランキング22位、戦績や数字は関係ない。その戦う気持ちが観る人の心を熱くさせた。日本の初戦の相手となったチリ代表、キックオフから勢いよく飛び出し前半6分に先制トライ、沸き立つスタンド、スタジアムは熱狂に包まれた。
その後の日本の猛攻によって最終スコアは42対12と開くも、チリ代表の選手たちが随所で見せる人柄や個性、愛くるしい表情が多くのラグビーファンの心を掴んだ。倒れた日本代表に手を差し伸べる姿は相手を気遣う気持ちはリスペクトの証、1万キロを超えて駆けつけたファンたちとの熱い抱擁は感謝の象徴だ。スタジアムは完全にチリのホームだった。
ノーサイドの笛とともにチリ代表の選手たちの顔には確かな充実感が溢れていた。勝ち負けじゃない。この確かな一歩を踏み出したことが彼らには何よりも大事なんだ。
試合後、プレスルームに戻り写真の処理をしていると、隣の部屋から大声援とともに高らかに歌う声が聞こえてきた。トゥールーズのプレスルーム横は大会ボランティアたちのスペース。歌声に誘われて部屋をのぞくと、試合を終えたチリ代表選手たちがボランティアと喜びを分かち合っていた。
ラテンアメリカの陽気なリズムに合わせて踊り、歌い、握手を交わしてお互いを讃えあう美しい景色があった。W杯は始まったばかり、チリ代表の戦いはまだまだ続く。
がんばれチリ! I Love Chile!
Chi Chi Chi Le Le Le, Viva Chile!
■イワモト アキト / Akito Iwamoto
フォトグラファー、ライター。名古屋市生まれ。明治大を経て2008年に中日新聞入社。記者として街ネタや事件事故、行政など幅広く取材。11年から同社写真部へ異動。18年サッカーW杯ロシア大会、19年ラグビーW杯日本大会を撮影。21年にフリーランスとなり、現在はラグビー日本代表、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEオフィシャルフォトグラファーを務める。
(イワモトアキト / Akito Iwamoto)