ユタ州北部のバウンティフル市で、4800万ドル(約68億円)を投じて光ファイバーネットワークを構築することが決定しました。この動きに対して「ユタ納税者協会」を名乗る団体が反対活動を行いましたが失敗。動きの背後には通信会社のComcastやCDN企業・Lumenの存在が示唆されています。

Comcast, Centurylink Fail To Derail Community-Owned Gigabit Fiber Network In Bountiful, Utah | Techdirt

https://www.techdirt.com/2023/08/04/comcast-centurylink-fail-to-derail-community-owned-gigabit-fiber-network-in-bountiful-utah/



Garden Spot of Utah Moves to Build Bountiful Fiber Network in Face of Dark Money Campaign | Welcome to Community Networks

https://communitynets.org/content/garden-spot-utah-moves-build-bountiful-fiber-network-face-dark-money-campaign



Municipal Broadband Opposition Campaign in Bountiful, Utah Fails | Welcome to Community Networks

https://communitynets.org/content/municipal-broadband-opposition-campaign-bountiful-utah-fails

アメリカでは地方によって電気通信事業を独占する企業が存在し、「料金は高いのに低速」というサービスの利用を余儀なくされているケースがあります。このため、600以上のコミュニティで、こうした独占企業のもとを離れて独自のコミュニティネットワークを構築する動きがあります。

ユタ州バウンティフル市もその1つで、2023年初頭から4800万ドルかけて市内に手頃な価格のギガビットネットワークを構築する計画が進められています。この資金は債券発行によってまかなわれるもので、市議会の全会一致で発行が承認されましたが、「ユタ納税者協会」が反対署名を集めています。

このユタ納税者協会の背後には大手通信企業・ComcastとCDN企業・Lumenの存在があったとアメリカパブリックブロードバンド協会のジジ・ソーン事務局長は指摘しています。

Gigi Sohn: Bountiful City voted for fiber broadband. Big cable wants to take it away.

https://www.sltrib.com/opinion/commentary/2023/07/09/gigi-sohn-bountiful-city-voted/



ソーン事務局長によると、ComcastとLumenは長年にわたってコミュニティが所有するブロードバンドの構築に反対してきており、市場の優位性を保つため、ユタ納税者協会のような団体に財政支援を行っているとのこと。

最終的に、署名提出期限までに必要な署名が集まらなかったことから、ソーン事務局長は「バウンティフル市の人々は声を大にして、市がサービスプロバイダー・UTOPIA Fiberと協力して、すべての人々に普遍的で手頃な価格のブロードバンドネットワークを構築することを望んでいることを示しました。彼らは、通信業界が支援した裏金キャンペーンを拒否しました。そして市議会は、コミュニティ所有のネットワークを作るという全会一致の方針を譲りませんでした」と述べました。

バウンティフル市のケンダリン・ハリス市長は「バウンティフル市の住民は『バウンティフルに光ファイバーを』キャンペーンを組織し、多くの選択肢を徹底的に検討しました。私たちは、デジタル化が進む世界で、住民や企業に重要なサービスが提供できることを楽しみにしています」と語っています。