仕事ができる人には、共通した思考習慣があるといいます(写真:jessie/PIXTA)

「どうすれば、仕事で評価されるようになるのか?」「仕事ができる人と、自分とは何が違うのだろう?」。そう悩むことはありませんか?

仕事ができる人には、共通した思考習慣があります。彼らがどのように考えているかを知ることで、どんな人でも仕事ができる人を目指すことは可能です。本稿では、習慣形成コンサルタントの吉井雅之氏の著書、『仕事ができる人になる思考習慣』より、具体的にどんな思考を持つことが望ましいのかを紹介します。

「早く何度も失敗せよ」

目標を高く設定する

目標設定をする際、多くの人は今の自分の実力や置かれた環境の範囲内で、自身の達成可能なゴール設定をします。しかし、その達成可能なゴール設定は、本当にあなたのなりたい自分とイコールなのでしょうか。

自分の中に「明確な目的地」を持つことは重要です。目的地さえ明確であれば、そこまでの「道のり」や「手段」などが具体的に見えてきます。

完璧主義を手放す

人は完璧を追い求めると、リスクに備えて、なかなか動き出せなくなってしまいます。シリコンバレーには、「早く何度も失敗せよ」という標語があります。新たなことに挑戦するうえで失敗は「織り込み済み」であり、むしろ失敗することよりも、「何もしない」ことのほうが、デメリットが大きいという考え方が浸透しているのです。

仕事を含め完璧を求めるよりも、「まずはやってみる」ことで、次の課題や改善策などが見えてくるものです。そのため、成長が早い人は「完璧であること」よりも「行動すること」を優先・重視します。そして、行動の結果を分析し、足りない部分、間違っていた部分を改善して、すぐに次のスタートに踏み出します。

完璧主義は悪いことではないかもしれませんが、完璧よりも成長を選ぶことのほうが大切です。短いスパンで「小さな目標」を設定し、小さな成功と小さな失敗→改善を積み重ねたほうが、成長のスピードが速まります。

ポジティブ思考を身につけている

ポジティブな人は、やり方を工夫して、目標を実現できるまで物事をやり続けることができます。一方ネガティブな人は、できない理由ばかりを言い、「今後どうしていけばいいのか」を考えません。

物事をポジティブに考えるかネガティブに考えるかは、自分で操作することができるもの。成長したいならネガティブ思考は捨ててポジティブ思考にシフトすることです。

自分を過大評価しない

よい仕事をしている人は、素直に現状を分析し、他者の意見に耳を傾ける姿勢を持っています。プライドよりも「もっとよくするためには」と考えるので、立場の上下にかかわらず意見を素直に聞き、改善することでさらに成長していきます。

会話に数字を入れるクセをつける

数字で考えるクセをつけている

仕事ができる人は曖昧な言葉は使いません。いつまでに何をやるのかを具体的に言葉にします。会話において数字を入れるクセをつけましょう。

「あとちょっとで終わる」 ではなく 「あと5分で終わる」

「営業先を可能な限り増やす」ではなく「営業先への訪問を1.5倍に増やす」

「先月よりかなり高い売り上げ」 ではなく「売り上げは先月比30%増加」

目標が明確になるため行動しやすくなります。

日頃から数字で考えるクセをつけていると、コミュニケーションにおいても数字で伝えるスキルが身につきます。曖昧な表現が少なくなり、誤解を生むことや、ミスが減ります。

過去のやり方や成功例にこだわらない

「いまのやり方で問題ない」――こんなふうに現状に安心してばかりいるようではいけません。仕事がうまくいっている人は、「もっと改善できないだろうか?」と考え、やり方を変えているものなのです。

変化が激しい今の時代には「これまでの前提を捨てて、 ゼロベースで考えること」が必要です。 “ゼロベースで考える” には、「思い込みや先入観にとらわれない」ことが大切です。

誰もが成果を出せる方法があったとしても、それはすぐに古い手法になります。成果を出すためには実践と試行錯誤を繰り返して、新しいやり方を見つけるしかありません。

毎回 “ゼロ” の視点から、「現在の状況で、求められているものは?」と一考する必要があるのです。

まわりの能力を引き出す

どんな仕事も誰かと協力し合うことが求められるなか、うまくいく人は「相手の視点」で考える習慣があります。相手を理解することは、共同して仕事をするために欠かせないスキルです。

たとえば、上司が部下の「得意/好み」を知ることは、部下のモチベーションを引き出す手がかりとなるでしょう。そのためには「聞く」スキルが重要になります。あなたが「話す」ことは、自分が持っている知識を話しているはずです。

しかし「聞く」ことは、あなたの知識の範囲内のことではありません。「聞く」とは、相手の状況や心情に思いをめぐらせ、話を引き出す作業です。あらかじめ自分が用意した質問を順番に聞いたところで、相手の話を「聞いた」ことにはなりません。プロジェクトを実行する、意見を出す――このような場面で共感を得るためにも、相手の視点に立った言動が大切になってくるはずです。

余計なものが視野に入らない仕事環境

デスクがきれい

デスクは作業スペースであり、集中する場所でもあります。デスクや引き出しが散らかっていると、余計なものが視界に入り気が散って仕事に集中できなくなります。


過去の書類など今の仕事に関係ないものが目に入ると、仕事以外の雑念や情報に遮られてどうしても考えがまとまらなくなるものです。しかし机がきれいに片付いていれば余計なことに惑わされることなく思考がすっきりし、作業効率のアップになります。

またデスクが整理整頓されていないと、毎回必要なものを見つけるのに時間がかかり作業効率が悪くなります。しかし常に机周りを整理整頓しておけば、どこに何があるのかがすぐに分かり、急ぎの作業にもすぐに対応できます。デスクがきれいなのは、無駄な時間を減らし業務を迅速にこなすためでもあるのです。

「仕事ができる人」「成長し続ける人」の思考習慣を紹介してきました。今日から意識できること、真似できそうなことを少しずつ取り入れていくことで行動や意識が変化していくことに気づくはずです。すると成果や周りからの評価にも表れてくるので自信にもなります。できることから始めて、それを続けていきましょう。

(吉井 雅之 : シンプルタスク代表取締役)