7月18日発売の『週刊東洋経済』では「中高一貫校新序列」を特集

首都圏では中学受験者数が9年連続で増加、受験率も過去最高と「空前の中学受験ブーム」が起こっている。ICT対応への的確さや新大学入試への安心感が人気の背景だ。『週刊東洋経済』7月18日発売号では「中高一貫校 新序列」を特集。徹底取材に基づく「最新序列」や「注目の学校」、首都圏・関西・中部483校の校風&実力データなど、多様化する学校選びに役立つ情報を盛り込んでいる。


「空前の中学受験ブーム」。私立・国立の中高一貫校の受験者数は2015年から9年連続で増加し、2023年入試の首都圏の受験者数は5万2600人と、過去最多となった。受験率、伸び率も過去最高水準だ。首都圏模試センターの北一成教育研究所長は、「今後数年はこの高水準が続く」とみている。

こうした中学受験熱はどこから来ているのか。

1つはコロナ禍の影響だ。公立校よりオンラインでの授業・学校活動の対応が柔軟で、それが保護者の信頼を得た。学校説明会などに足を運べない時期も、SNSで魅力を発信した学校が多かった。


もう1つの大きな要因は大学入試の変化だ。高校時代の活動内容や大学で探究したいことが問われる、総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」が大学入学生の過半を占めるようになった。

早くから大学進学を見据えた活動ができる

さらに、2022年から高校の学習指導要領が「主体的・対話的で深い学び」を求める内容に改訂されたことを受け、2025年度入試からは一般選抜の入試科目も変わる。

こうした変化に対応し、「探究学習」などに力を入れている中高一貫校が人気だ。「私立のカリキュラムは、学習指導要領の改訂に先駆けてブラッシュアップされている」(北氏)点も大きい。

中高一貫校では高大連携の動きも盛んだ。出張授業や大学訪問にとどまらず、大学の研究施設での探究活動なども実施される。早期から大学と接点を持つことで、学びたい学問領域を明確にできる。

最近の中学受験の特徴として「学校選びの軸の多様化」がある。

『進学レーダー』の井上修編集長は「首都圏の中学受験家庭の多くは共働きで世帯年収が高く、教育投資熱が高い」と分析する。

さらに、中高一貫校に進学することが“大前提”となっている。サピックス教育事業本部の広野雅明本部長は、「当塾で、受験に失敗して公立中に進学する子どもは、今1%もいない。受験校や進学先を偏差値の高低だけで決める家庭は確実に減っている」と語る。

学校選びの軸が多様化

下図は、そんな多様化した今の受験者層をタイプ別に区分したイメージだ。開成、桜蔭といった最難関校狙いのAゾーンは一定数いる。ボリュームゾーンは、偏差値や進学実績に加え、アクティブラーニングなど教育内容も重視するBゾーンだ。

そして、偏差値にとらわれず豊かな体験や自己肯定感が得られ、時代に合った教育を受けられる学校を選ぶCゾーンの受験者層が現れた。Cゾーン向けでは、自己アピール型など6年生からの準備で間に合う新タイプ入試をする学校が増えている。


学校が志向する教育内容は入試問題から知ることができる。そこで役立つのが首都圏模試の思考コードだ。出題内容や配点を9つのマトリックスに分けて見える化し、求められる力や子どもの志向に合うかがわかる。


「中高一貫校 最新序列では、親世代が知らない一貫校の最新序列や注目の学校などを徹底した取材に基づいて紹介している。483校の実力や校風がわかるランキングデータと併せて、学校選びに役立ててほしい。


(常盤 有未 : 東洋経済 記者)