プログラミング経験ゼロの人でもオンラインショップを作れるプラットフォーム・Dukaanがサポートスタッフの90%を解雇するという大規模なレイオフを実施しました。レイオフを強く非難する声も出ていますが、スミット・シャーCEOは「必要な決断だった」と、AIチャットボット導入の事情を説明しています。

Dukaan CEO cops backlash for post announcing layoffs: ‘Stunning lack of empathy’

https://www.moneycontrol.com/news/trends/dukaan-lays-off-90-of-support-staff-after-introducing-ai-chatbot-for-customer-support-10937091.html



カスタマーサポートにAIチャットボットを導入した代わりにスタッフの90%をレイオフしたシャーCEOによると、サポートの最初の反応にかかる時間は「1分44秒」から「即時」になり、問題解決も2時間13分から3分12秒にまで短縮されたとのこと。その結果、カスタマーサポートのコストを85%も抑えることに成功したことから、シャーCEOは「きついけれど、必要でした」と述べました。



「創業から10年以内」「企業評価額が10億ドル(約1370億円)以上」「非上場」の条件を満たすスタートアップは「ユニコーン企業」と呼ばれますが、シャーCEOは「経済状況を考えると、スタートアップはユニコーンになることより収益性を優先するものですし、我々だってそうです」と説明。カスタマーサポートは苦労させられてきた部分であり、修正できるならチャンスだと思ったと述べました。



当初、「独自のAIチャットボットを開発してどんな顧客の質問にも即座に回答する」と理想を描いていたシャーCEOでしたが、カスタマーサポートに寄せられる内容は「複数の倉庫を追加するにはどうすれば?」から「मेरा पेआउट आज नहीं मिला तोह खाके जहर खा के मर जाऊँगा(ヒンディー語で『今日中に給料を受け取れなかったら毒を飲んで死ぬ』)」までさまざまで、実に100万件にも上ります。

シャーCEOはAIについての理解が浅く、Dukaanでリード・データサイエンティストを務めるオジャスウィ・ヤダフ氏に作業を委任。ヤダフ氏は翌日にはデモを作成してくれたそうですが、よくある質問には回答できたものの、「何故支払いが2日間保留されているのですか?」といったアカウント固有の質問にはうまく答えられませんでした。

ヤダフ氏が翌々日に改良したデモは無事にアカウント固有の質問にも答えられることができたので、「リナ」と名付けてサービスをリリースしました。



Dukaan Customer Support Assistant

https://dukaanhelp.com/



リリースされた翌日、リナは早くも200件のライブチャットと1400件のサポートチケットを「解決済み」にしていたそうです。

この成功を受けて、シャーCEOはリナをさらに改良し、顧客の質問に24時間365日答える「bot9」を構築したとのこと。

bot9 - build custom AI assistants for your business

https://bot9.ai/



なお、一連のシャーCEOのツイートに対しては、「レイオフそのものを批判しているわけではなく、AIによって必然的に仕事を失うことになる人々に対して共感が欠如しているのではないかということが批判を受けているのです。どうか、あなたのできる方法で、解雇された人々を助けて上げてください」という返信が寄せられています。