2023年3月23日に新ターミナルがオープンした熊本空港(阿蘇くまもと空港)。この新ターミナルはどのようなものなのでしょうか。実際に同空港を使ってみました。

「熊本地震」も契機に

 2023年3月23日に新ターミナルがオープンした熊本空港(阿蘇くまもと空港)。この新ターミナルはどのようなものなのでしょうか。実際に使ってみました。


熊本空港の新ターミナル(画像:熊本国際空港)。

 熊本空港の新ターミナル建設のきっかけは、2016年に発生した熊本地震でした。それまで旧ターミナルは増改築がなされつつも、完成から46年が経過しており、「創造的復興のシンボルとして、十分な耐震性を有し、国内線と国際線が一体となったターミナルビルを新たに建設することが必要と判断」(熊本県)されました。

 新ターミナルの建設期間中はプレハブ建屋など、大空港のLCC(格安航空会社)専用ターミナルのような、簡易的な作りをもつ仮設ターミナルで運用を続けていましたが、その様子が今回で一変しています。

 ターミナルの外観は熊本城の黒漆・漆喰をイメージした陰影を醸し出す、シックかつ木のぬくもりが感じられるものとなっています。また、国内線が黒、国際線が白で統一されるなど、視認性の向上も図られています。

 ターミナルは、国から要求された水準を上回る高い耐震性能を備えるほか、館内カメラなどでリアルタイムに混雑状況を把握し、旅客の一連の手続き所要時間の計測と予測を行うシステム「旅客動態管理システム(=PFM)」を導入し、ソーシャルディスタンスを確保するなどの工夫を凝らしています。

 また、設備においても利便性の向上が図られており、自動手荷物預け機や、パソコンの取出しが不要となる高性能な機器が搭載された保安検査場などが設置されています。

 その一方で、旧熊本空港を含めた多くの国内空港と違うポイントもあります。

「新熊本空港」発着便、どんな感じだったのか?

 それは、同空港を発着する旅客機に乗る人だけが入れる「制限エリア」と比べて、誰でも入れる「一般エリア」の店舗が充実していないことです。

 保安検査通過後の搭乗待合エリアには、7店舗が入居し、あか牛丼や馬刺しなど熊本の名物が楽しめるフードコートエリアや、熊本の人気店を集めた「デパ地下ゾーン」などが設置されているとのこと。その一方で、一般エリアにはコンビニとレストラン、コーヒーショップとお土産屋があるくらいで、その充実度は制限エリアとはかなりの差があります。

 ただ、これについては一時的ということができます。

 今後同空港では、2024年秋をめどに、空港リニューアルの2期として、広場を中心とした「地域にひらかれたにぎわい空間」を設置。交流人口を拡大する動きを加速していくとしています。これにともなって、一般エリアの設備充実も図られる見通しです。

 いまでこそ、乗らない人にとっては退屈な空港である熊本空港。実はそれは一時的なものになるかもしれません。将来、大きなエンターテイメント性をもった空港に進化する可能性は、ゼロではないでしょう。