努力義務化の一方で…自転車乗車時のヘルメット「着用しない」500人超に聞いた“理由” 「罰則がないから」を上回った圧倒的1位は?
あなたは普段、自転車に乗るときにヘルメットを着用していますか。道路交通法の改正に伴い、2023年4月から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となりましたが、自転車ユーザーの意識や行動にどのような変化が起こっているのでしょうか。弁護士ドットコム(東京都港区)が「自転車でのヘルメット着用」に関する実態調査を実施。その結果を発表しました。
「着用している」のは2割
調査は2023年5月から6月にかけて、同社の一般会員と登録弁護士を対象に実施。一般会員1260人、登録弁護士82人から有効回答を得たものです。
まず、一般会員に「自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となったことを知っているか」について聞いたところ、94.8%が「知っている」と回答。努力義務に関する認知度は9割を超えているようです。一方、「知らなかった」と答えた人は5.2%でした。
一般会員のうち、「月に1度以上、自転車に乗車する」669人に、「ヘルメットを着用しているか」を聞いてみると、「法改正前の3月以前から着用している」(10.3%)、「改正のあった4月から着用するようになった」(13.8%)を合わせると、「着用している」人の割合は24.1%でした。一方、「着用したいがまだしていない」は36.3%、「着用する予定はない」は39.6%となり、努力義務化については認識しているものの、必ずしも実行しているとは限らない実態が浮き彫りとなっています。
では、なぜヘルメットを「着用しない」のでしょうか。「着用していない」と回答した508人に、その理由を聞いたところ(複数回答)、圧倒的1位となったのは「着用するのが面倒くさいから」(44.4%)でした。次いで、2位は「罰則がないから」(27.2%)と続いています。
なお、登録弁護士を対象に、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となったことについて意見を聞いたところ、「やるのであれば罰則まで設けるべきだが、経験上、自転車は被害者ではなく加害者となることが圧倒的に多い。かつ、車と接触・転倒した場合の受傷は頭部ではなく四肢であることが多いので、自転車が被害者となる死亡事故の割合をわずかに下げるにとどまるのではないかと思う」「ヘルメット未着用者について、事故に遭った場合の過失相殺が認められていくのではないかという観点で推移を見守りたい」「自転車関連の死亡事故があまりにも増えたのが契機であり、やむを得ないと思うが、自分なら、ヘルメットかぶってまで乗る気にはなれない」「努力義務とはいえ法律で義務付けるべきものではないと思ってます(子どもにかぶらせることの義務化は賛成)。本人で判断すべき問題です。自転車利用者の安全のために検討すべきは、ヘルメットの義務付けではなくて、ヘルメットをかぶらないと危ない道路の状況だろうと思います」 といったコメントが寄せられています。