女優の伊藤沙莉が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『シッコウ!! 〜犬と私と執行官〜』(毎週火曜21:00〜※初回拡大)がきょう4日にスタート。大森美香氏が脚本を手掛ける今作は、情け容赦なく“差し押さえ”等を行う国家公務員「執行官」を描くリーガルエンターテインメント。ある事情から執行官の世界に飛び込み、犬担当の執行補助者となる吉野ひかりを伊藤が、ひかりを導く執行官の小原樹を織田裕二が、執行官室の頼れる事務員・栗橋祐介を中島健人(Sexy Zone)が演じる。

9歳でドラマデビューを果たし、女優歴20年を数える伊藤が、ゴールデン帯連続ドラマ初主演を飾る今作。今回は伊藤に、バディのような役どころを演じた織田の印象や、現場の雰囲気について話を聞いた。

女優の伊藤沙莉 撮影:宮田浩史

○■織田裕二はどんどんトライする提案タイプ

――織田さんとの初共演の感想を教えてください。

私は演技プランに関して、どちらかというと提案されたことをやるほうが性に合っているタイプ。対して織田さんは「こうしてみたらどうだろう」とどんどんトライされる提案タイプだったので、チャレンジ精神を持ってしがみついていくのが楽しかったです。ついていくだけで、自分が思い描いていたプランと全く違うところに連れていっていただけるので、引っ張っていただいたなと感じています。

――やはり「頼りになる」という印象を持ちましたか。

頼れました!(笑)織田さんがどう感じたかは分からないのですが、私は信頼関係が築けたと思っています。お芝居に関しても、「これってこうだよね?」と聞いてくださったり、「こうしようと思うんだけどどう?」と巻き込んで考えてくださったりするのがすごくありがたかったです。とにかくフラットな方なので、話しかけづらいということは全くなく、たまに「そうだ、織田裕二だ!」と思い出してハッとさせられるような(笑)。

織田裕二=テレビ朝日提供

――共演前と後でギャップはありましたか。

やっぱり織田さんといえば“青島”(ドラマ『踊る大捜査線』で織田が演じた主人公・青島俊作)のイメージでした。母と叔母が織田さんのことを大好きなので、VHSやDVD含め、私も織田さんのドラマはほぼほぼ見ているんです。織田さんが出演されているドラマはどれも面白いので、絶対的なスターという印象を持っていました。だからこそ、現場ではどんな感じなんだろう、怒られたりしないかな……と最初はすごく緊張したんです。でも本読みで初めてお会いしたときに「なんだか犬みたいだね」と話しかけてくださって、一気に「話しやすい方だ!」と。私は空気を察知するのに時間がかからないタイプかつ臆病者なので「この方には受け入れてもらえないかも」と感じると、もう自分からは話しかけられないんです。そんな私が初日から話しかけることができたのは自分の中でも珍しいこと。織田さんがそんな空気を作ってくれたからだと思います。



○■織田裕二の言葉で現場が一体に

――現場の雰囲気はいかがですか。

スタッフさんが「本番行きますよ。行きますよ!!!!!」と少しイライラするくらい、キャスト同士でノンストップでお話ししていました。織田さんは「聞いていいのかな?」というようなことも嫌な顔をせずに話してくれるので、私も「あの映画は本当にレインボーブリッジで撮影したんですか?」と聞いちゃいました(笑)。執行官室には、お芝居の面でも人間的にも面白い方がたくさんいたので、自分が会話に入っていないときも遠くで聞いているだけで楽しくて、現場に来るのがいつも楽しみでした。

織田さんは執行官室の中で一番後輩にあたる役どころで、先輩方がたくさんいることにウキウキされていて、勝村(政信)さん、(渡辺)いっけいさん、菅原(大吉)さんたちに「先輩やめてくださいよー!」と言っているのが、少年のようでかわいかったです。

――主演を多数務めて来られた織田さんに、現場作りで学んだことがあれば教えてください。

撮影では、自分がやりたいことではなかったとしても、進行上流れに身を任せなければいけないときがあります。織田さんもその指示に従いながら「こう考えればいいんだよ」とアドバイスしてくださるのですが、譲れないところは譲らないんです。それは話をより面白くしたい、小原をもっとこう見せたいという強い思いと愛を持っているからこそ。織田さんが話し合う時間を惜しまず真剣に考えてくださることで「皆が納得のいくやり方を皆で探そう」と現場が一つにまとまっていきました。一歩立ち止まって皆が作品への愛情を再確認する時間を、織田さんがくださっていた気がします。



○■ゴールデン帯連ドラ初主演に感慨「本当に幸せ」

――最後の質問です。伊藤さんは今作が「ゴールデン帯連続ドラマ初主演」となりますが、率直にどう感じましたか。

「こんにちは」「はじめまして」という感じでした(笑)。昔からドラマが大好きで、お仕事でもドラマが一番多いので、幅広い世代の方がおうちで見ることの多いゴールデンという時間帯で主演をさせていただけることがとても感慨深いです。20年女優をやってきて、今まで作品を支える側の1人だった私が、初めて引っ張っていく立ち位置をいただけたことは本当にうれしく、幸せです。





■伊藤沙莉

1994年5月4日生まれ、千葉県出身。2003年にドラマデビュー。2020年以降、確かな演技力と出演作品の活躍を評価されギャラクシー賞テレビ部門個人賞、エランドール賞新人賞、ブルーリボン賞助演女優賞、山路ふみ子女優賞、文化庁芸術祭放送個人賞、橋田賞新人賞ほか受賞歴多数。近年の出演作は映画『ちょっと思い出しただけ』『すずめの戸締まり』『宇宙人のあいつ』、ドラマ『ミステリと言う勿れ』『拾われた男 LOST MAN FOUND』『ももさんと7人のパパゲーノ』、テレビアニメ『映像研には手を出すな!』(主人公の声)など。今年は6月から舞台「COCOON PRODUCTION 2023『パラサイト』」、主演映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(6月30日公開)、『ミステリと言う勿れ』(9月15日公開)に出演。2024年度前期NHK連続テレビ小説『虎に翼』で主役を務める。