梅雨バテに「音楽」が効果アリ?

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 ジメジメとした天気の日が続く「梅雨」の時期は、体調や気分がすぐれない日も続きやすいもの。天気の影響で、メンタルの不調を感じる人も少なくないと思います。最近では、梅雨の時期に起こりやすい不調を総称した「梅雨バテ」という言葉も聞かれるようになりました。

 そんな「梅雨バテ」によるメンタルの不調に、「音楽視聴」を活用したアプローチが効果的といわれています。どういった効果が期待できるのか、どのように取り入れるとよいのか…さまざまな疑問について、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんの解説を紹介します。

雨天が多いと、自律神経のバランスがより乱れがちに

 梅雨の時期になると出てくるメンタル不調には、「疲れやすい」「よく眠れない」「食欲が落ちる」「落ち込み」「いら立ち」「焦り」といった自覚症状がみられます。こうした不調には、自律神経が大きく関わっています。

 自律神経には、緊張時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」があり、この2つでバランスを取り合っています。どちらかが優位になり過ぎると、自律神経のバランスが崩れてしまい、体と心の調子の乱れが生じやすくなるのです。そもそも現代人はストレスにさらされていることが多く、季節を問わず交感神経が優位になり過ぎてしまう傾向がありますが、梅雨の時期は天気との関係によって、さらに自律神経のバランスが乱れがちになってしまいます。

 というのも、実は、太陽の光を浴びると交感神経が優位に働き、程よい緊張状態になるため、晴れの日には活動的になりやすいからです。一方で、太陽が出ていないときは、副交感神経が優位な状態が続くため、心身が緩み過ぎてしまいやすくなります。そのため、雨天が多い梅雨の時期は、日中もだるさや疲れを感じやすくなり、メンタルの不調も出やすくなってしまうのです。

 自律神経が乱れて落ち着かないときは、有効な手段の一つとして、「音楽を聞く」ことをお勧めします。

 メンタルと音楽の関わりは深く、オーディオストリーミングサービスを提供するSpotifyが2022年11月に行った調査では、Z世代の33%が「孤独を感じたときにオーディオストリーミングサービスで音楽を聞く」と回答している他、Z世代の57%が「メンタルヘルスケアのためにオーディオコンテンツの活用に興味がある」、43%が「そのために自然を感じられる音楽を取り入れたいと考えている」と回答しています。

 実際に、医療や介護の領域では「音楽療法」が実践されています。この音楽療法を日常に取り入れることで、メンタル不調を感じたときでも音楽によって気分が整いやすくなります。日常生活で音楽療法を行う際のポイントは、次の2点です。

【(1)自分の気持ちに合った音楽を選ぶ】

「疲れて元気がないときは『静かな音楽』」、「頑張りたいときは『アップテンポな音楽』」といったように、まずはそのときの気分に合った音楽を選ぶようにしましょう。音楽によって慰められたり、応援されたりする効果が感じられ、メンタルをいい方向に向かわせることができます。

【(2)変えたい気分に合わせた音楽を選ぶ】

(1)の音楽を聞いて「気持ちが少し楽になった」と感じることができたら、「静かな曲で癒やす→少し楽になったら明るい曲へ→元気になったらアップテンポな曲へ」といったように、徐々に異質な音楽を取り入れていくと、スムーズに気分を転換することができます。

 自律神経のバランスを整えるには、まず静かな印象の室内音楽や環境音楽から取り入れ、少しずつ「明るい曲」「アップテンポな曲」に移行していくとよいでしょう。例えば、「だるくてやる気が出ない」ときは「チルアウト」「ウェルネス」ジャンルの音楽で疲れを癒やし、少しずつ楽になってきたら「カントリー」「カリビアン」などの明るい音楽を聞き、元気が出てきたら「ポップ」「K-POP」などのアップテンポなジャンルを聞いてみる…といった具合です。

 また、人間の脳は適度かつ快適な刺激を求めているので、新しい音楽やアーティストに出会うこともリフレッシュにつながります。

 自分自身の気分の流れを読みながら、聞く音楽ジャンルを少しずつ変えていくことによって、自然と前向きな気持ちに持っていくことができるでしょう。不調を感じたら、ぜひ音楽療法を試してみてください。