SNS「邪魔」「事故が起きたらどうする?」の声…それでも店が「立て看板」「電飾看板」設置するワケ 専門家が解説
飲食店や小売店などが、店舗前の路上に立て看板や電飾看板を設置していることがあります。中には、比較的狭い道に設置されているケースもあり、この場合、歩行者や車の通行の妨げとなる可能性があります。実際にSNS上では、「歩道に出された看板が邪魔」「通行の妨げとなる」「邪魔だし、事故が起きたらどうするの?」といった内容の意見が上がっています。
このようなデメリットがあるにもかかわらず、なぜ店は看板を設置するのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。
外国人観光客の来店を促す
Q.店が路上に立て看板や電飾看板を設置するメリット、デメリットについて、教えてください。
大庭さん「そもそも、店舗が看板を設置する目的は、店の存在や店が営業中であることを通行人に知らせるためです。特に飲食店や小売店、サービスを提供する店は、集客を目的とした立て看板や電飾看板を設置するケースが少なくありません。店が立て看板や電飾看板を設置する主なメリット、デメリットは以下の通りです」
【メリット】
・宣伝コストが安い
・比較的スペースを取らない
・取り付け工事が不要
・歩行者の目に留まることで新規顧客の獲得につながる
・客に迷わずに来店してもらうための道案内効果を発揮する
【デメリット】
・看板の大きさに限りがある
・設置場所によっては、歩行者とのトラブルが発生するリスクがある
・看板にいたずらをされるリスクがある
手軽に設置でき、一定の集客効果が見込めるという利点がある一方、看板に表示できる情報量に限度があるほか、歩行者の通行の妨げとなるようなケースが生じてしまうという課題があります。
Q.店が立て看板や電飾看板を設置することで、本当に集客効果が見込めるのでしょうか。
大庭さん「駅前や繁華街など人通りの多い場所にある店やSNSでのアピールに力を入れている店、ビルの地下や高層階にある店は、立て看板や電飾看板を設置することで客数や売り上げを増やすことが可能です。
駅前や繁華街などは、不特定多数の人が行き交います。そのような場所で立て看板や電飾看板を設置することで、多くの人が店の存在を知るようになり、集客につながります。また、SNS上で初めて店の存在を知った人が実際に来店しようとした際に、店が分かりにくい場所にあると迷うことがあります。その際、立て看板や電飾看板があれば、確実に来店してもらえるでしょう。
店がビルの地下や高層階にあると、店の存在をアピールするのが難しいですが、通行人の目線に留まる場所に立て看板や電飾看板を設置すれば、来店を促すことができます」
Q.客数や売り上げの増加のために、立て看板や電飾看板には、どのような内容を掲示するのが効果的なのでしょうか。
大庭さん「立て看板や電飾看板は、通行人の目に留まりやすい場所に設置するのはもちろんですが、取扱商品や値段など、必要な情報を確実に伝える必要があります。そのためには、最適な配色を行い、写真やデザインを活用するなど、視覚に訴える効果を高めることが効果的です。
掲示する内容は、店の業種や業態によって異なります。例えば、飲食店であれば、店のイチオシメニューや一番人気のメニュー、限定メニューなどを写真付きで掲示するとよいでしょう。小売店やサービスを提供する店であれば、他店とは異なる特徴や販売に関するコンセプトなどを文字やデザインで掲示する方法が考えられます」
Q.今後も立て看板や電飾看板は役立つのでしょうか。
大庭さん「『インバウンド需要への対応』『SNSの普及』を理由に、今後も役立つと考えることが合理的だと考えます。
日本の人口は減少の一途をたどっており、インバウンド需要への期待が年々高まっています。訪日外国人の目に留まり、着実に店に誘導するための道案内として、立て看板や電飾看板を設置すれば効果を発揮するはずです。
また、SNSの普及により、SNS上で店の存在を知り、来店する人が増加しています。SNSをよく利用する新規客の獲得につなげる上でも、立て看板や電飾看板は効果的だと思います」