会議の場って「発言しなければ」と考えて緊張してしまいますよね(nao-p/PIXTA)

「大人しいね」と言われるタイプの皆さん、仕事で気を遣いすぎて疲れ果てていませんか?

そんな皆さんに、YouTube「ココヨワチャンネル」をはじめとするSNSで20万人のフォロワーを持ち、これまでに3000人以上の悩み相談に対応してきたHSP(繊細な人)アドバイザーのRyota氏が、ストレスを減らしてラクになり、目立たないままで評価もされるようになる、一石二鳥以上の働き方のコツをお伝えします。

連載第2回のテーマは、「会議で発言できない人の『4つの苦悩』はこう解消」です。

第1回 控えめな人が「職場の5大天敵」をうまくかわす術

新年度が始まって2カ月半。新型コロナの感染症法上の位置づけが5類へと移行し、少しずつ日常が戻ってきています。企業によってはテレワークが完全終了となり、対面での会議も増えてきたのではないでしょうか?

「発言しない人に存在意義はない」という常識

会議と切っても切り離せないのが「発言」です。「発言」と聞くと、どーんと気が重くなる人も少なくないのではないでしょうか。控えめな人にとって、会議での発言は大きなハードルです。しかし、世の中では「発言しない人に存在意義はない」というのが半ば常識となっており、控えめな人には大変つらい状況です。

思ったような発言ができず、会議の後で自己嫌悪。上司からも「もっと積極的に発言しなさい」とお説教。努力しても積極的に発言できないから悩んでしまうのですよね。

そこで今回は、私に寄せられたご相談をもとに、会議で発言できないと悩む人がラクになる考え方や、具体的な会議での立ち居振る舞いをお伝えします。目立つ発言をしなくても、お説教の対象から外れ、さらには会議で存在感をアピールすることができるのです。

会議で悩む人からのご相談を4つ、順に見ていきましょう。

1.「話そうとしたことをほかの人が話してしまうんです」

これこそ、控えめな人らしい悩みでしょう。自分の意見を最初に話せれば、ほかの人と意見がかぶることはありません。でも発言のタイミングを待っているうちに、ほかの人がどんどん意見を出してしまうのです。

同じ意見に価値がないのかといえば、そうではありません。ほかの人が先にあなたが考えていたのと同じ意見を出したときには、「〇〇さんの意見と同じく……」と、同じ内容を話しましょう。

同じ意見でも、会議で発言したことになりますよね。何も発言せず終わるより、同じ意見だったとしても、人をサポートする発言をしたほうが、存在感を残すことができます。

会議は「意思決定」の場です。誰かと同じ意見、ということは、その意見が多数派になります。意思決定において多数派の意見は採用しやすいので、意思決定という目的が果たしやすくなります。同じ意見でも、立派に役割を持っているのです。

人を立てて雰囲気を良くする

単に「同じ意見です」と言って終わることに抵抗があるなら、「私の考えていたことより〇〇さんの意見のほうがすばらしいと思いますので、この意見を推したいと思います」のように、人を立てつつ賛同する手があります。会議の方向性が定まるだけでなく、場の雰囲気がよくなりますし、ほめた相手との関係性もよくなります。

逆に、会議で嫌われる人をご存じでしょうか? 話がまとまってきたところで、その案を否定する人です。何でも否定する人がいる場合、そこで会議はストップしてしまいます。代案があればよいのですが、否定で終わってしまうと会議は振り出しに戻ってしまいます。

否定するのは簡単ですが、意見を考えるのは大変です。努力して意見を考えてくれた人を「同じ意見です」と肯定することで、その人のモチベーションが高まり、もっとアイデアを出してくれるかもしれません。こうして控えめな人も、会議の活性化につながる陰の立役者となれます。

2.「発言するタイミングをうかがっているうちに会議が終わってしまいます」

指名されない会議では、「そもそも発言のタイミングがわからない」というお悩みもあるでしょう。控えめだからこそ、誰も発言していない瞬間を見計らって即座に発言するのは難しいものです。

いきなり話し出すより、進行役の人に話を振ってもらうほうがずっと発言の難易度が下がります。

進行役の人に静かにアピール

会議の途中で話そうと思ったら、進行役の人に顔を向ける、少し手を挙げてみる、目を合わせるなどのアクションを取ってみましょう。それだけでも話を振ってもらえる可能性が高くなります。

逆に顔を下に向けていたり、上の空のような印象になったりしてしまうと話を振ってもらえません。

可能であれば、会議が始まる前に、「いくつかアイデアがあるので、後で話を振っていただいてもいいですか?」と進行役の人に根回ししておくのもおすすめです。会議中にアクションをするよりもハードルが低くなります。

発言するタイミングをあらかじめ意識しておいてもいいかもしれません。発言しやすいタイミングは会議の後半、または終了前に意見を求められるときです。

序盤は会議がどう展開するかわからない、手探りの状態です。後半になると、どんな意見が求められているか、その場に適しているかの判断がしやすくなります。

また、終わりかけに発言すると、ほかの人に発言を印象づける効果が期待でき、「発言をした」という印象(重要ですよね)も残るでしょう。肯定的な意見を言えば、会議で肯定的な意見を出す人だと知ってもらえるメリットもあります。

こんなご相談も届きます。

3.「発言しようと思っても、思いつかないんです」

「この案、面白くないから言うのはやめておこう」

「やっぱりこれは的外れな気がするから、言わないでおこう」

こんなふうに発言する前に考えすぎて、自分のアイデアを引っ込めてしまうことはありませんか?

どうしても自信のある発言が思いつかない場合には、素直に「思いつきませんでした」と伝えて大丈夫です。これはこれで、会議をスムーズに進ませる方法です。ほかの人からいい案が出れば、無理にほかの案を出す必要はありません。

発言以外の役割を見つける

人にはそれぞれ得手不得手があります。いい案が思いつかないのであれば、賛同役であったり、ほかの人の意見を広げる役割になったりしてもよいのです。たとえば、会議の序盤の優れた案を、みんなが忘れた頃に拾い上げる役割になることもできるでしょう。

会議室の確保や、建設的な話し合いができる環境作り(発言に対してうなずいたりして、参加者が安心して話せる雰囲気にすることなど)も、会議の目的である意思決定の役に立ちます。

自分から意見を言わずに周りの発言を促し、結論をまとめ上げる「ファシリテーター」の役割も控えめな人に向いています。

このように、会議を苦手とする控えめな人は、発言以外に自分の役割を作ればラクになります。会議で役に立つ方法は、発言だけではないのです。

それでも、意見を思いつかないことで「自分はダメだ」と落ち込んでしまう場合には、「‟今は”思いつかない」のだと考えれば、自己否定から抜け出せます。考えた結果、何も思いつかないのも1つの結論です。

今日結論を出さなければならないわけではない定期的な会議であれば、「今すぐにはアイデアが思い浮かばないので、今回の内容を踏まえて検討してきます」と持ち帰って意見を準備することもできます。議題はその場で解決しなければならない、と考えている人が多いのですが、わからないことは調べて、次回の会議で資料として提出してもいいのです。

私は相談業をしています。相談に対してわからないまま進めていけば、相手の信頼を損ねてしまいます。それよりも「あらためて調べてご連絡します」と言われるほうが安心できますよね。会議でも、わからないまま焦って意見を出す必要はないのです。

4.「緊張しすぎて、考えをちゃんと伝えられません」

控えめな人は、人前での会話を苦手とすることが多いです。人前での会話に不慣れな場合、会議での発言も緊張してしまうでしょう。

一般的には、緊張すると交感神経が優位となり、集中力が高まってパフォーマンスが上がります。ただし、「過度な緊張」は別です。あまりに緊張すると頭が真っ白、いわば「思考停止」の状態に陥ってしまいます。自分が何を話しているのかもわからないような状態です。

思考停止までいかなくても、緊張しすぎてしまうと、人に物事をうまく伝えられなくなります。話が二転三転したり、「私も色々と考えてきたんですけど、いい内容が浮かばずこんな話しかできませんが……」と、妙に装飾だらけの話し方になってしまったりすることがあります。

緊張しているなと思ったら、まず結論から話すとうまく乗り切れます。以下のような形です。

・「〇〇さんと同じ意見です」
・「私は売り上げアップの方法として〇〇をおすすめします」
・「原材料を別のメーカーから仕入れましょう。その理由として……」

結論を話してから補足することで、ほかの人は結論ありきで聞いてくれます。すると、途中で思考停止になり、途中で話を打ち切ることになっても、話す内容にまとまりが生まれます。こうすれば参加者に話の趣旨が伝わりますね。

サポート役で会議に立ち向かう

会議の目的はあなたが目立つことではありません。会社が提示する課題に対して、意思決定をしたり、方向性を明確にしたりすることです。

積極的な発言はもちろん評価されるでしょう。しかし、積極的な発言ができなくても、会議で役立つことができるとおわかりいただけたのではないでしょうか。

シュートをするのではなく、シュートをする人のアシストをする。控えめな人は、このようなサポート役で存在感を発揮し、会議に立ち向かっていきましょう。

(Ryota : HSP(繊細な人)アドバイザー)