健康志向で「砂糖不使用」「無糖」ニーズ高まる そもそも何が違う? キリンに聞く
市販のコーヒー飲料や紅茶飲料の中には、「砂糖不使用」「無糖」とうたった商品があります。近年、健康志向の高まりを受け、こうした商品が人気を集めているようです。ところで、これらの商品は、どちらも甘さをまったく感じない印象がありますが、何が違うのでしょうか。キリンビバレッジ商品開発研究所(横浜市)の担当者に聞きました。
糖類を一切添加しないのが「砂糖不使用」
Q.そもそも、糖類とはどのようなものを指すのでしょうか。
担当者「農林水産省によると、糖類と呼ばれるものには、ブドウ糖に代表される『単糖類』とショ糖に代表される『二糖類』があり、砂糖は植物体の光合成によって作られるショ糖を成分としています。
また、食品表示法における『食品表示基準』でも、糖類は『単糖類または二糖類であって、糖アルコールでないものに限る』と定義されています。糖アルコールは、キシリトールなどが該当します」
Q.では、「砂糖不使用」と「無糖」は、何が違うのでしょうか。
担当者「以下のような違いがあります」
【砂糖不使用】
「砂糖不使用」とうたう場合は、食品表示基準において、「糖類を添加していない旨」の基準を満たす必要があります。糖類を添加していない旨の表示を行う場合の必要条件は、以下の通りです。
(1)いかなる糖類も添加されていないこと。
(2)糖類(添加されたものに限る)に代わる原材料(複合原材料を含む)または添加物を使用していないこと。
(3)酵素分解その他何らかの方法により、当該食品の糖類含有量が原材料および添加物に含まれていた量を超えていないこと。
(4)当該食品の100グラムもしくは100ミリリットルまたは1食分、1包装その他1単位当たりの糖類の含有量を表示していること。
【無糖】
「無糖」とうたう場合は、「糖類を含まない旨」の条件を満たす必要があります。飲料の場合、食品表示基準における「糖類を含まない旨の表示の基準値」である「100ミリリットル当たりの糖類が0.5グラム未満」の商品であれば、無糖と表示できます。
つまり、砂糖不使用の飲料商品は、製造時に糖類を一切加えていないのが特徴です。一方、無糖の飲料商品の場合、100ミリリットル当たりの糖類量は0.5グラム未満です。
Q.現在、キリンビバレッジの飲料商品で「砂糖不使用」「無糖」の商品は何種類程度あるのでしょうか。主にどのようなジャンルの商品に多いのでしょうか。
担当者「商品の種類が多岐にわたるため、正確な商品数をお答えするのは難しいですが、お客さまの飲用シーンやニーズに合わせて商品開発を行っており、お茶や水はもちろん、コーヒーや紅茶、炭酸飲料のカテゴリーでも『砂糖不使用』や『無糖』の商品を展開しています。
例えば、当社は、3月に『キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー』(以下、おいしい無糖 ミルクティー)を、4月には『キリン ファイア ワンデイ 砂糖不使用ラテ』(以下、砂糖不使用ラテ)をそれぞれ発売しました」
Q.こうした「砂糖不使用」「無糖」の飲料商品の売れ行きについて、教えてください。
担当者「近年、健康志向の高まりを背景に、無糖の飲料市場は長期的に伸び続けています。3月に発売した『おいしい無糖 ミルクティー』の販売数量は、発売初日で早くも500万本を突破したほか、4月に発売した『砂糖不使用ラテ』は、発売から2週間で同月における月間の販売予定数量を達成しており、いずれも売り上げは好調に推移しています。
『おいしい無糖 ミルクティー』について、お客さまから『無糖のミルクティーって、どうして売ってないのかと疑問に思っていた』『毎日飲んでも飽きない』『ゴクゴク飲める』『仕事中にも飲める』といった声をいただいています。
また、『砂糖不使用ラテ』については、『コーヒー感もミルク感もしっかり感じられる』『砂糖が入っていないから、スッキリと飲みやすい』といった声をいただいています。どちらの商品も甘くない味覚でありながら、それぞれミルクティー、コーヒーをしっかり感じられる味わいが好評です。
コロナ禍を経てお客さまの健康意識がさらに加速化し、30代以降の人は、『甘さ』を避ける傾向にあることから、今後も“甘くない飲料”商品のニーズが高まり、それに伴い、売り上げは伸びていくと見ています」