車の運転時にイライラする理由は?

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 普段は温厚な性格なのに、車の運転を始めると急にイライラしたり、他の車や歩行者に対して、怒り出したりする人がいます。運転中にイライラすると、交通事故のリスクが高まるため、家族や知人が一緒に乗っている場合、気持ちが落ち着かないのではないでしょうか。

 車を運転すると、途端に怒りっぽくなる人は、どのような心理状態なのでしょうか。心理カウンセラーの芙和せらさんに聞きました。

自分が強くなったような錯覚に陥ることも

Q.そもそも、車を運転すると、途端にイライラしたり、他の車や歩行者に対して、すぐに怒り出したりする人がいますが、なぜでしょうか。考えられる原因について、教えてください。

芙和さん「車を運転するとイライラしたリ、怒りやすくなる人には、次のような要因があると考えられます」

(1)普段からイライラしやすい
「短気」「衝動性が強い」など、性格や脳機能に特性がある人は、車の運転時以外にもイライラする傾向にあります。

自己中心的な正義感を持っている人は、「〜べき」という考えを強く持っていて、自分の正義感に合わない行動をする人に対して攻撃的になります。例えば、「車で一般道路を走行するときは、制限速度ギリギリまで速度を上げるべき」と考えていると、制限速度以下で走る車に腹を立てます。

(2)普段は穏やかな性格だが、車を運転すると急に怒りっぽくなる
このようなタイプの人の場合、主に5つの原因が考えられます。例えば、「自我拡張」という現象が影響しているケースです。これは、車という大きく頑丈な乗り物に乗った途端に、自分も強く大きくなったような錯覚が起こり、普段なら我慢するようなことにもイライラしたり、怒りをあらわにしたりする現象です。

高級車など、自分が思い入れのある車に乗ると、「自分は特別」という自意識過剰な面が現れやすくなります。これは、もともと高学歴で地位が高く、優越感があるエリートタイプの人が陥りやすい心理です。

普段、きちょうめんで協調性の高い人が、車というプライベート空間にいるために、周囲に気兼ねをする必要がなくなり、イライラや怒りをストレートに表現するというケースがあります。また、普段からストレスをためている人は、「自分がいつも損をしている」という被害者意識から、必要以上に他者に攻撃的になる場合もあります。

このほか、神経伝達物質のアドレナリンの分泌が影響しているケースも考えられます。車の運転はそれなりに緊張する行為であり、アドレナリンの分泌が促進されます。そのため、気持ちが好戦的になります。

Q.では、車の運転時にイライラする人が落ち着いて運転をするためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

芙和さん「次の6点に取り組むことをお勧めします」

(1)運転を始める前に深呼吸をする。
(2)ガムをかむ。かむ行為は緊張を和らげる。
(3)穏やかな音楽を流す。
(4)空腹のまま運転しない。運転時に眠くならない程度に食べること。
(5)普段からストレスをためない。
(6)客観性を身に付ける。自分だけの正義、ルールを客観視する必要がある。

Q.車の運転時に気持ちを落ち着かせるには、事前にどのような食べ物を摂取するとよいのでしょうか。

芙和さん「アミノ酸の一種であるGABAやトリプトファンのほか、ビタミン(A、B、C)、カルシウムが含まれた食べ物を摂取するのが効果的です。以下の食べ物に含まれています」

(1)GABA
GABAには、ストレスを緩和し、気持ちを穏やかにする働きがあります。発芽玄米やお茶、トマト、ナス、ケール、バナナ、納豆などに含まれています。

(2)トリプトファン
トリプトファンは、精神を安定させる働きのある神経伝達物質「セロトニン」に変化します。豆腐といった大豆製品のほか、チーズなどの乳製品、ナッツ類に多く含まれています。

(3)ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC
ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCをバランスよく摂取すると、体調が整い、イライラが減少します。日頃から、野菜や肉などをバランスよく食べることが大切です。

(4)カルシウム
カルシウムが不足すると、神経伝達がうまくいかなくなり、感情をうまくコントロールできなくなります。カルシウムが含まれている牛乳やココアなどを飲みましょう。

なお、普段から甘い食べ物を大量に食べていると、体が糖分不足になったときにイライラしてしまいます。またコーヒーなどに含まれるカフェインを過剰に摂取すると、イライラを高めてしまうので注意してください。