エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

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スタッシー、オハッピー、ウォラックと故障続きのエンゼルス捕手陣

 エンゼルス大谷翔平投手は9日(日本時間10日)のアストロズ戦に「3番・投手兼指名打者」で投打同時出場し、投手として7回3失点で今季初黒星を喫した。バッテリーを組んだのはこの日昇格したばかりのクリス・オーキー捕手だ。4月に途中加入したため、大谷の球を受けるのは初めて。開幕からマスクをかぶっていたローガン・オハッピー捕手、チャド・ウォラック捕手が相次いで負傷者リスト(IL)入りしたための“代役の代役”だった。この状況を番記者はどう見ているのか、MLB公式サイトのエンゼルス番、レット・ボリンジャー記者に話を聞いた。

「難しかっただろう。(オーキーが)捕球しなければならない暴投があった」

 初黒星を喫した後、ボリンジャー記者は大谷を気遣うかのように話した。この日投じたスプリットは1球のみ。大谷は「初めて組むキャッチャーだったので」とリスク回避が理由の1つだったと明かしていた。実際に2回1死では、ジュルクスに対して投じた大きく曲がるスイーパーを捕球できず、振り逃げを許したシーンがあった。そのため、速球中心に試合を組み立てていた。

 今季のエンゼルスは深刻な捕手不足に悩まされている。昨季、大谷の登板した28試合中26試合でバッテリーを組んだマックス・スタッシー捕手が開幕前にIL入りし、未だ復帰のメドは立っていない。そのため開幕から若手のオハッピーと組んでいたが、左肩の手術で今季の復帰は絶望的だ。さらにウォラックも首の張りで、代役の代役が登場する事態となった。ボリンジャー記者は「速球を多投したのは、オーキーが捕球できるかわからなかったからかもしれない」と推測した。

 ボリンジャー記者は1週間前、ジャイアンツから自由契約となったゲーリー・サンチェス捕手の電撃加入を予想していた。ヤンキース時代の2019年に34本塁打を放つなど、MLB通算154本塁打を誇る強打の捕手だ。田中将大投手(現楽天)の相棒としても知られる。だが9日(同10日)に、米複数紙がメッツとマイナー契約したと伝えた。

エンゼルスは「守備的な捕手を望んでいたと思う」

 ボリンジャー記者はサンチェスの獲得に至らなかった理由を「フィットする可能性があったが(エンゼルスは)守備的な捕手を望んでいたと思う」と推測する。

 確かに今季、エンゼルスの捕手はオハッピーが打率.283、4本塁打、OPS.886。マット・サイス捕手も19試合で打率.304、OPS.802とまずまずの打撃成績を残している。ウォラックも.267、2本塁打だ。ここに加えるには、サンチェスは不適当だった。「守備があまり良くないし、今年は打撃も調子が悪い。ウォラックが怪我することが分かっていたら、獲得したかもしれない」と理由を挙げる。

 では今後、大谷の相棒には誰が最適なのか――。ボリンジャー記者は「現時点では、ブロッキングがうまいチャド・ウォラックだろう」と断言する。ここまで3試合でバッテリーを組み2勝0敗も、防御率は4.50だ。それでも「相性がよかった。サイスも問題ないが、ウォラックの方がベテランだから彼を推す」と強調する。

 ボリンジャー記者は、ウォラックの怪我は長引かないと見ている。「数日しか欠場しないだろう。おそらく5日間だ」と、15日(同16日)の敵地オリオールズ戦からの復帰を予想した。「長期離脱しないことはいいことだ。知っている選手と組んだ方が、オオタニの助けになると思う」。故障に苦しむエンゼルスの捕手陣。補強よりもまずは“現有戦力”の復帰に期待だ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)