神木隆之介主演の連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月〜土曜8:00〜※土曜は1週間の振り返りほか)で、神木演じる主人公・槙野万太郎と交流していく高知の自由民権運動家・早川逸馬役を力強く演じている宮野真守。声優・俳優・歌手など様々なフィールドで活躍する宮野だが、初めての朝ドラ出演で、とても良い刺激を受けたようだ。



○■“万太郎”神木隆之介と漫才のような掛け合いも

高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく主人公・槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。宮野演じる早川逸馬は、万太郎と“ジョン万次郎”こと中濱万次郎(宇崎竜童)に引き合わせるという重要な役どころとなる。

逸馬は第16回で初登場となった。自由民権運動の集会で力強く演説していた逸馬だったが、自分の意見に万太郎がうっかり反論したことで、彼を舞台に呼び込むことに。同シーンはちょうど宮野がクランクインした日に撮影された。

「監督からは、どんどんエネルギーが積み重なっていくようなシーンにしたいから、逸馬が言った言葉に、万太郎が被せてもいいぐらいだと言われていました。2人は初めて会ったのに、お互いに気持ちが同調していくというシーンにしたいと聞いて、僕もなるほどと思いました。そういう馬が合う瞬間はもはや理屈ではないし、逸馬的には自分から相手に仕向けることもできるけど、ここは万太郎に乗っかってみたと。それでとてもいい流れになり、最後には自分が思ってもいなかったようなエネルギーが生まれたと思います。あのシーンは僕もすごく印象に残っています」

同シーンは何テイクも重ねたそうだが、その裏話も愉快だ。

「何度も撮ったので疲労感はありましたが、だからこそ時にはちょっと面白くなっちゃうようなテイクもありました。『どうも! 万太郎です』みたいに、ボケとツッコミみたいに、ステージ上であれこれやったりもしましたが、そこは全部カットになりました(苦笑)。でも、神木くんと初めての撮影で、ああいう漫才みたいなことができたのは非常に楽しかったし、なかなかない貴重な機会になったんじゃないかなと思います」

○■宇崎竜童の提案で3人で円陣「気持ちがグっと固まった」

また、万太郎を中濱万次郎の自宅に連れていった逸馬。その後に繰り広げられた3人のシーンも忘れられないと宮野は語る。

「万太郎と中濱さんを逸馬が引き合わせました。そこで語られた中濱さんの経験が、万太郎の心に刺さったという瞬間がありましたが、あのシーンは非常に面白かったです。監督から、逸馬は壇上を降りたらしっかりと相手に向かっていくクレバーな人だと言われていましたが、中濱さんと万太郎とのシーンにそれが表れていた気がします。台詞はそんなに多くないけど、あの瞬間、3人がそれぞれのベクトルで自由というものに向き合う瞬間がありました」



それは、逸馬にとっても、改めて自由について考える瞬間だったと、宮野は捉えた。

「中濱さんは逸馬がガツガツ行けるくらいの知り合いだったけど、実は彼にもまだ話してくれていない部分があったんです。中濱さんも万太郎からきっと何かを感じとって、ポロッと本音をこぼしました。それに同調するように、万太郎も自分にとっての植物の大切さを口にしますが、逸馬も同時に『じゃあ、自分にとっての自由は何だろう?』ともう一度考えたと思います。自由というものをそれぞれが追い求めている空気感や眼差しが僕は非常に好きでした」

とはいえ、同シーンでは、ベテラン俳優である宇崎と共演するということで、かなり緊張もしていたという宮野だが、そこで宇崎が粋な計らいをしたことも明かした。

「撮影が始まる前に、宇崎さんが僕と神木くんを引き止めて、誰も見ていないところで、円陣を組もうと言ってくださいました。実際に3人で組んで『やるぞ!』とやったことで、気持ちがグっと固まりました。やはり3人の空気感を作るにあたり、同志としての何か大事なものがないといけなかったと思いますが、それを宇崎さんが先導してやってくれたことに、僕は非常に感動しました」

さらに宮野は、『らんまん』に対するあふれる愛を語ってくれた。

「僕は坂本龍馬がとても好きで、幕末から明治にかけての時代感やエネルギーはいちファンとしても好きだし、演じる側としてもすごく身が入りました。また、それを植物で見せていくという点も美しいし、何か1つ自分のこだわりを持つことのかけがえのなさも受け取れます。自分が信じたものに対して真っ直ぐに生きることの勇気や楽しさ、面白さもありますが、やはり困難もたくさんやってきます。もちろんフィクションの部分もありますが、人生で好きなものを追い求めたいという感情に寄り添ってくれるし、そこの中心にいる万太郎が、まさに“らんまん”に人々をつないでいく姿にすごく感動するし、温かい気持ちになれると思います!」

■宮野真守

1983年6月8日生まれ、埼玉県生まれ。声優・俳優・歌手。2001年に海外ドラマ『私ケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。以降、『DEATH NOTE』や『機動戦士ガンダム00』などで注目を集め、数々の話題作で主演を務める。劇場版・テレビアニメのみならず、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズや、映画『トップガン マーヴェリック』など多くの作品で吹き替えも担当。俳優としては、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』Season月《下弦の月》や劇団☆新感線いのうえ歌舞伎 『神州無頼街』で主演を務めたほか、テレビドラマにも出演。歌手としては、2008年にシングル「Discovery」でデビュー。『ぐるぐるナインティナイン』の「ゴチになります!」の新メンバーとしても注目を集めている。

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