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2022年版 オークションで落札された名車

自動車のオークションでは日々、さまざまなクルマが出品されているが、今日ほどクラシックカーが高値で取引されている時代はない。

【画像】オークションで高値で取引された名車たち【300 SLRウーレンハウト・クーペやポルシェ911を写真で見る】 全40枚

ここ数年、特に新型コロナウイルスや半導体不足の影響により、クルマに対して単なる移動手段以上のものを求める自動車愛好家が増えてきている。彼らは、自分たちの好みにぴったり合った個性的なマシンを求めているのだ。


100年前のクラシックカーや世界に数台しかない希少車など、オークションではさまざまなクルマが取引されている。

それを踏まえて、今回は映画『バッドボーイズ』のポルシェ911ターボから、大量生産車の元祖と言えるT型フォードまで、2022年にオークションで高値で取引された名車の数々を紹介しよう。

サーブ900 T16コンバーチブル

サーブの所有者は、1台を比較的長く乗り続け、次もまた別のサーブに買い換える傾向がある。それゆえ、8月に米国のオークションサイト「Bring a Trailer」に出品された走行距離396kmの1987年式サーブ900 T16コンバーチブルは、大きな関心を集めた。仕様の良さと新車に近いコンディションから、通常の10倍以上となる14万5000ドル(約1890万円)という驚異的な落札額を記録した。


サーブ900 T16コンバーチブル

パナールDB HBR

昨年、さまざまなレースイベントが本格的に再開されたことにより、1960年代の伝説的なル・マン・レーサーが復活を遂げた。6月に開催された「Aguttes Summer Sale」の主役、1957年式DB HBRは、3台製造されたうちの唯一残った車両とされる。最終的な落札額は、28万3560ユーロ(約4000万円)。小さな空冷2気筒エンジンを搭載しているが、フランスのメーカー、ドーチェ・ボネのレースにおける決定的な遺産である。


パナールDB HBR

ポルシェ911ターボ

2022年には、1970年代のカレラRS 2.7ライトウェイトが200万ポンド、993 GT2が126万ポンド、991 911Rが44万8000ポンドと、記録的な3台をはじめ数多くのポルシェ911が売買された。しかし、映画『バッドボーイズ(原題:Bad Boys)』で使用された1994年式911ターボのオークションは、特別なものに感じられた。

この車両はマイケル・ベイ監督が所有していたもので、後にプロデューサーのパット・サンドストーンに売却され、その後ポルシェ愛好家のガレージを転々としながら、新車のようなコンディションを維持していたのだ。最高出力360psのノスタルジックな911ターボは、130万ドル(約1億7000万円)で落札された。


ポルシェ911ターボ

フォード・モデルT

戦前に製造されたクルマは、それほど爆発的な価値を持つものではなかったが、3月に「Bonhams Amelia Island」のオークションで落札された1908年のフォード・モデルT(T型フォード)は例外的な1台であった。

この車両はシャシー番号「2」を主張しており、20万7188ポンド(約3300万円)で落札されて記録を更新したが、多くのマニアは懐疑的であった。100年前のクルマによくあることだが、過去にリビルドされており、その真の出所は不明である。


フォード・モデルT

メルセデス・ベンツ300 SLRウーレンハウト・クーペ

RMサザビーズが主催した招待者限定のシークレットオークションで、1955年式メルセデス・ベンツ300 SLRウーレンハウト・クーペが出品され、1億3500万ユーロ(約190億円)で落札された。これは、クラシックカーのオークション歴代記録を大きく塗り替えるものであった(以前の記録は2018年にサザビーズに出品された1962年式フェラーリ250 GTOのもの)。

300 SLRウーレンハウト・クーペは壮大なカレラ・パメリカーナ・レースに参戦するために2台のみが製造された希少なクルマだ。300 SLRは、1955年のル・マン24時間レースで他車との接触により宙を舞い、84人が死亡する悲劇を経験したこともあって、レースから引退している。


メルセデス・ベンツ300 SLRウーレンハウト・クーペ

落札されたウーレンハウト・クーペはメルセデス・ベンツが保管していたもので、わずかな回数しか走行していない。希少性と保存の重要性から、メルセデス・ベンツの厳しい規定が今もなお適用されている。

フェラーリF355 GT

昨年のオークションは、低走行距離のフェラーリのオンパレードだったが、その恩恵を受けたのがF355のマーケットであった。米国のオークションサイト「Bring a Trailer」で4月、2万7000km走行の1996年式F355 GTS(MT車)が30万ドル(約3900万円)で落札され、同モデルの新記録を達成したのだ。

これは単なる例外ではなく、「Broad Arrow Auctions」が8月に開催したモントレー・オークションでは、1995年式のF355 GTB(ブラウンにブルーという、あまり伝統的でないカラーリング)が20万ドル(約2600万円)で落札されている。


フェラーリF355 GT

ルノー・クリオ・ウィリアムズ

ルノー・クリオの高性能モデル、クリオ・ウィリアムズは、「GTI」や「XRI」といった有名なライバル車の陰で、ゆっくりと価値を高めてきたが、今ようやく成熟しつつある。

昨年10月、フランスのオークションハウス「Artcurial」では、1995年式のクリオ・ウィリアムズが7万3094ユーロ(約1030万円)で落札された。前オーナーはルノーだけで、走行距離はわずか3万1000km。少し前までは普通の中古車と変わらない価格帯だったのが、今やクラシックカーという枠を飛び越え、真のコレクターズアイテムとなったのだ。


ルノー・クリオ・ウィリアムズ

イスパノ・スイザH6Cトーピード

数百万ドル規模のコレクターカーとして有名な1924年のH6Cトーピード(H6C TORPEDO)は、スペインの航空機・自動車メーカーであるイスパノ・スイザが製造したモデルの中でも特にエキゾチックな1台である。

「チューリップウッド」と呼ばれるマホガニー製のボディを持ち、元オーナーであるアンドレ・デュボネがタルガ・フローリオをはじめとするレースやラリー競技に出場させたものである。この車両は8月に開催されたサザビーズのモントレー・オークションにて、924万5000ドル(約1億2000万円)で落札された。


イスパノ・スイザH6Cトーピード

シェルビー・マスタングGT350R

このシェルビー・マスタングGT350のレーシング仕様「R」は、1月に385万ドル(約5億円)で落札され、2年前に「Mecum Auctions」で同車が落札されたときの記録を破った。1965年にキャロル・シェルビーによって製作された1台で、テキサス州ダラス近郊のグリーンバレー・レースウェイでは宙に浮いた瞬間の姿が撮影され、「空飛ぶマスタング」と呼ばれるようになった。このときハンドルを握っていたのはケン・マイルズである。

1960年代を通してレースで活躍し、2010年代にレストアされた、史上最もエキサイティングなマスタングの1台である。数十年にわたる物語がしっかりと刻まれており、そこに支払われた金額も十分妥当なものと言えるだろう。


シェルビー・マスタングGT350R

ロードレス・ランドローバー

1959年、英国ハウンズローのトラクター専門会社ロードレス・トラクション社は、ランドローバー・シリーズII 109からこのモンスターを作り出した。今年5月にノースヨークシャーの「Tennants Auctioneers」で発見されたこの車両は、20台弱の生産台数のうち2台目のプロトタイプで、現存しているのは6台のみだという。5万ポンドの予想額を大きく飛び越えて、11万ポンド(約1760万円)で落札された。ボンド映画『007 スペクター(原題:Spectre)』に登場する20万ポンド(約3200万円)のSVXディフェンダーと比べれば、かなりお値打ち品と言えるだろう。


ロードレス・ランドローバー