最凶分断国道「八十里越」バイパス秒読み 新潟・福島県境の約20kmの″けもの道″克服へ
約40年の工事を経て、日本有数の「通行不能区間」の解消が近づいています。
世紀の大事業 完成まで残り約3年
谷間にかかる「八十里越」の橋梁(画像:国土交通省)。
国道289号は新潟県新潟市と福島県いわき市をむすび、東北地方の東西軸として路線認定された道路です。しかし新潟・福島県境には広大な越後山脈が立ちはだかっており、1970(昭和45)年の路線認定から半世紀以上経っても、道路は繋がっていません。
県境の峠「八十里越」周辺は約20kmにわたり「通行不能区間」となっており、けもの道しかありません。日本の国道でも有数の分断区間となっており、"酷道"を象徴する存在となっています。昔から厳しい峠道であったことから、「八十里越」という名前も、本来の八里(約32km)の10倍にも感じられることが由来とされています。
その八十里越を15本のトンネルと16箇所の橋梁でつらぬいていく道路事業が、1986(昭和61)年の事業化から37年、いよいよ大詰めを迎えています。国道289号の管理者は県ですが、この事業は困難な工事が予想されたため、国による直轄工事として進められています。1998(平成10)年の8号トンネルを皮切りに、2021年までに付属区間を除くすべてのトンネルがおよその完成を迎えています。
残るはいくつかのスノーシェッドと橋梁の完成を待つのみの状態。2021年度初頭にはついに「今後5か年程度での全線開通を目指す」と、具体的な開通目標が明言されました。
三条市〜只見町のこれまでのルートは国道290号・国道252号経由で、JR只見線に並行する形で大きく南へ迂回しており、冬期は通行止めでした。八十里越の「正式開通」後は通年通行可となり、所要時間は78分短縮される見込みです。