福岡市地下鉄七隈線の延伸区間、天神南〜博多間の完成に伴い、2022年12月17日、中間駅となる櫛田神社前駅が報道陣に公開されました。入ってみると、色々な仕掛けがありました。

天神南〜博多間は14分短縮

 来る2023年3月27日(月)、福岡市地下鉄七隈線の延伸区間が開通します。現在の起終点である天神南から、博多駅まで福岡市の都心部地下をつなぐ1.4km。開通すれば市南西部から博多駅、ひいては空港への乗り換えも便利になるほか、渋滞の激しい都心部の移動もスムーズになるとされています。
 
 この延伸区間で唯一の中間駅になる櫛田神社前駅(福岡市博多区)の完成披露会が、開業100日前となる2022年12月17日(土)に実施されました。

 櫛田神社とは、博多祇園山笠追い山の舞台となる博多の総鎮守。新駅は櫛田神社の南に位置し、西には複合商業施設「キャナルシティ博多」があるなど、博多の街中でも賑わう地区です。


上り線ホームを博多側から見る。線路は地上より25m低い。ホームの長さは100mで将来の6両化にも対応できる(2022年12月17日、皆越和也撮影)。

 新駅は地下4階、地上1階(一部2階)で総面積9447平方メートルと、従来最も規模の大きかった天神南駅(1万1688平方メートル:同・中央区)に匹敵します。

 駅のテーマは「緑と文化、グリーンテクノロジーと伝統の融合」。デザインは歴史ある博多の街の雰囲気や木のぬくもりを感じる空間とし、博多の祭や伝統文化を感じられるという装飾や展示物を常設展示しています。

市長「将来は福岡空港国際線ターミナルへ…」

 年間を通し気温20度ほどで安定している地中温度を利用し、駅の下全面に地中熱交換器を設置。夏場は涼しい空気、冬場は暖かい空気をエアコンに再利用します。また設備機器などのバックヤードも含め、駅内全面にLED照明を設置。灯具の明るさを調整できる調光システムを採用し省エネを推進するほか、スポット的に空調や照明を配し、従来の消費エネルギーを50%オフとしました。

 また駅設備としては、スイッチを押すことなくエレベーターを呼び出し、目的階へ移動できるタッチレス自動運転エレベーターを設置。ホームドアには3Dセンサーを設置し安全性を向上させています。

 ホームは島式構造の1面2線で、深さは25m、長さは100m。列車は現在4両編成で運行されていますが、将来の中間車増備による6両編成にも対応できるようにしています。


報道公開前の櫛田神社前駅完成披露会に登壇した高島宗一郎福岡市長(2022年12月17日、皆越和也撮影)。

 延伸区間の試運転は去る9月17日にスタート。博多駅が来年1月末に完成すると、本格的な試運転が行われる予定です。

 高島宗一郎福岡市長は、「工事中には陥没事故(2016年11月)もあり、今回の延伸開通は個人的にも思いの深い事業です。福岡市の南西部の皆さまは直接博多駅に来ることができるので、ぜひ開業を楽しみに待ってほしい」と話しました。

 なお高島市長は、七隈線を福岡空港国際線ターミナルへ延伸することを検討する考えも示しています。

 延伸区間の事業費は587億円。天神南〜博多間の短縮効果はマイナス14分、延伸区間の利用者は1日8万2000人と見込まれています。また空港線の博多〜天神間の混雑緩和にもつながるということです。