「乗れない」なかでも、いろんな取り組みをしていました。

グッズや講座、そしてインバウンドの受け入れ調査も

 JAL(日本航空)では日本基地のほかに、バンコク、ロンドン、フランクフルト、台北、香港、上海、シンガポールの7拠点に、現地採用のCA(客室乗務員)が所属する「海外基地」を有しており、国際線には日本基地のCAとともに、複数名の海外基地のCAも乗り合わせています。同社の海外基地に所属するCAは、現在約1000名にも上るそうです。

 しかし、ここを襲ったのが新型コロナウイルス感染拡大による国際線便数の大幅な減退ででした。平時のように飛ぶことができないなか、JALの海外基地CAは、その多様なバックグラウンドを生かして、さまざまな取り組みを展開していました。


JALの海外基地CA(乗りものニュース編集部撮影)。

 たとえばバンコク基地では、デザインセンスにあふれたCAが多いことから、水筒やクッション、傘やカバンなどのオリジナルグッズを同基地CA自らがデザイン。上海基地のCAは、社内むけの「中国語講座」をオンラインで開講しているといいます。

 そのなかでもとくに活躍が注目されているのが、海外基地CAならではの視点を生かした調査や報告を行い、訪日旅行者(インバウンド)誘客にむけたサポートを行うグループ「ふるさとアンバサダーGLOBAL(グローバル)」です。

 アフターコロナの社会において、日本の経済好転のポイントと見られるインバウンド需要。すでに「ふるさとアンバサダーグローバル」は都内などで、インバウンド受け入れまでの調査などを実施しており、そこで「訪日外国人には大変かもしれない」気づいた点もあるといいます。

盲点多い! JALの海外基地CAが語る「訪日旅行者が困りそうなポイント」

「たとえば案内所で中国語でスタッフに話しかけると日本語で返答されたりもありますし、たとえば『left』を『レフト』、『straight』を『ストレート』など日本語読みの英語で返答されると、訪日旅行者の方だと聞き取れないことがありそうです。受け入れ調査では、そういった『日本語からわからない人の目線』でレポートを提出しています」(担当者)

 このほかにも、「ふるさとアンバサダーグローバル」の担当者はこのほかにも、次のようなことも「訪日旅行者が困ってしまうのでは」と考えられると話します。

「たとえばメニュー表の価格が漢数字で書いてあることがあり、これだといくらなのかわからない……という人も出てくるでしょう。また、観光地だと、会計の仕方がお店によって違うので、そこも困ってしまうかもしれません」(バンコク基地に所属するマックスさん)

「お蕎麦やつけ麺を提供するお店では、食べ方のガイドがあったほうが助かるかもしれないですね。私のおばも日本に来たとき、汁につけて食べるということを知らずに、汁と麺を別々に食べてしまったようでした」(台北基地に所属するジェイドさん)


左から「ふるさとアンバサダーグローバル」マックスさんとジェイドさん(乗りものニュース編集部撮影)。

 その一方でJALでは来たる国際線の復便に向け、海外基地のCAの再整備も進めています。

 同社によると、コロナ禍の減便により、多くの海外基地CAが乗務資格を失効してしまったとのこと。同社では、復便にむけて新たにオンライン形式での訓練を導入するなどの工夫をし、安全知識を維持。現在は所定の復帰を訓練を受講し、続々と乗務復帰を果たしている状況といいます。