JR横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅にホームが増設されて初めての平日朝。ラッシュ時に慢性的な満員状態だったホームの様子はどう変わったのでしょうか。

18日に使用開始した「増設3番線ホーム」

 JR横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅(川崎市中原区)で2022年12月19日(月)、新設された「新3番線ホーム」が使用開始となって最初の平日を迎えました。


新ホームが使用開始となった横須賀線の武蔵小杉駅(乗りものニュース編集部撮影)。

 1本のホームの両側に上下各線が発着していた武蔵小杉駅の横須賀線ホーム。横浜方面のホームが向かい側に新設され、既存のホームは「東京・新宿方面専用」となりました。

 既存ホームの横浜方面側では、単管が床にボルト止めされてロープが固く張られており、階段部を線路側へ回り込むこともできなくなっています。ホーム端とロープは1m以上離れていて、走り抜ける横浜方面の電車とは十分な離隔が取られています。

 最初の平日ということもあり、コンコースでは「横浜方面はこちらではありません、反対側に新しくできた階段をご利用ください」と呼びかけるスタッフも複数配置されていました。それでも、いつものホームに出てからロープを見て呆然とする利用客の姿も。

 新ホームは既存ホームと同様、鋼材を組んで出来上がった、特段の意匠もないシンプルなもの。自動販売機や売店は無く、ベンチは壁際に設置されており、ホームは奥まで見通せて広々とした印象。駅名標は壁面に2枚と柱にいくつかあるだけで、吊り下げ式看板すらない簡素さです。ホーム幅は十分広めに造られており、帰宅ラッシュ時間帯に効果を発揮しそうです。

 さて、ラッシュ時の「超満員状態」がお馴染みの武蔵小杉駅、ホーム増設開業で様子はどう変わったのでしょうか。

人がこぼれ落ちそうだったホームは…

 まず、ホームの「すし詰め」状況はやはり多少マシにはなっています。JR東日本によると、ホーム増設で「約3割程度の混雑緩和が見込まれます」としています。とはいえやはり都心への通勤客のほうが際立って多く、次の列車が到着するまでの短時間に、行列の長さはホーム全幅に達しようとするほどです。

 しかし大きく変化したのは、「背後の横浜方面の線路に転落する危険は無い」「横浜方面の客にとって、この群衆にもみくちゃにされたり、外へ押し出される危険は無い」という安心感がうまれたことです。

 ひとくちに都心方面といっても、新宿駅方面に出勤する人(湘南新宿ライン)と東京駅方面に出勤する人(横須賀線)で乗る電車は違うため、電車が来るたびに「来た電車に乗ろうとする人」と「行列で待ち続ける人」で交錯が起き、群衆が膨らみます。中には横浜方面のりばの点字ブロックの外まではみ出して移動していた人もいました。これに巻き込まれていたのが反対側の方面の利用客でした。夕方は逆方面で同じことが起きていました。

 今までは、真後ろで横浜方面の電車がスレスレの所を通過していましたが、ロープによって十分な離隔が取られるようになり、それが安心感とどこか"心の余裕"を生んでいます。これが、方面別にホームを分離した大きなメリットのひとつと言えるかもしれません。

 既存ホームのロープは今後、別途柵に作り変えられる予定となっています。