押上地区″スカイツリー以外は放置″解消?「東武線高架化」スタートで″南北分断″どう変わる
東武のとうきょうスカイツリー駅周辺で、高架化とともに再開発計画が進められています。スカイツリーはできたけど、周囲は昔ながらの下町――それが今後どうなっていくのでしょうか。
浅草方面のみ 暫定高架化なった今
東武鉄道の「とうきょうスカイツリー駅」の浅草方面行きホームが、11月27日(日)から、東側へ約150m移設され、新しい駅舎とホームでの営業を開始しました。
浅草方面ホームが移設開業したとうきょうスカイツリー駅(乗りものニュース編集部撮影)。
新ホームはスカイツリーの根元に張り付くような位置関係で、既存の駅よりアクセス性が向上する見込みです。暫定開業の現在は「単線高架駅」の独特の雰囲気で、浅草側にて既存ホームと「鼻先を付き合わせる」形で向き合っており、不思議な風景です。
これは、東京都墨田区が進めている連続立体交差事業に関係するもの。慢性的な渋滞が発生していた桜橋通りの踏切を除却し、混雑を緩和します。まずは浅草方面の線路が、曳舟〜とうきょうスカイツリー間で完全高架化されました。最終的には北千住方面のホームもこちらへ移設され、高架化事業の完了は2024年度を予定しています。
これまでとうきょうスカイツリー駅周辺の線路は地上に留置線がひろがり、東武線により南北がほぼ分断状態となっていました。線路北側のエリアにとって南側のスカイツリーは「目の前に見えているのに、なかなか真っすぐ行けない」存在。本事業で留置線と本線が丸ごと高架化され、南北エリアはより自由に行き来できるようになります。
スカイツリー以外が置き忘れられていた地区、の今後
さて、今後スカイツリー周辺はどうなっていくのでしょうか。
とうきょうスカイツリー駅の高架北側には駅前ロータリー的な存在として、北側の曳舟川通りから駅前高架下へアプローチする環状道路「墨田区画街路第12号線」も整備予定です。
ちなみに既存の押上駅前ロータリーへも、線路北側から桜橋通りを経由してアプローチする道路と新ロータリーが整備予定。新ロータリーと現ロータリーは、高架下の歩行者専用の通路でつながります。
さらに、北側エリアは「特に耐火・耐震性能が低い建築物が密集しており、防災性の向上が必要となっている地区(機能再生ゾーン)」として、防災まちづくりの面で丸ごと再開発が行われます。他地域の同様事例では、多機能タワーマンションを建設し、低層階に商業施設、中層階にオフィス、上層は一般住民が入居するというパターンが多く見られます。いずれにしても、狭い路地が密集した街並みはリセットのうえ再整理されます。
では、リセットされた街は具体的にどうなるのでしょうか。ここにこれが建設される、というものはまだ決まっていません。これまで主に決まっているのは、2006(平成18)年の「押上・業平橋駅周辺地区地区計画」の都市計画決定と、それに関する地区整備計画です。地区整備計画は、先述の「機能再生ゾーン」のほか「にぎわいゾーン」など6ゾーンが設定され、「どうしていきたいか」レベルで方向性が定められています。
今は「まちづくり勉強会」が開かれ、地区整備計画をさらに練りこんで具体化し、最終的に事業認可まで到達したい構えです。