赤・白・青のトリコロールカラーは、ホンダのバイクを代表するカラーリングのひとつ。この色のパターンはフランス国旗が代表的ですが、ホンダのバイクで採用されている色のルーツは違います。

市販車にも多いトリコロールカラーのホンダ

 ホンダがレースで使用するバイクといえば、1980〜1990年代は赤・白・青の3色を組み合わせたトリコロールカラーで、市販車においても多くラインアップされました。現在でもトリコロールの印象が強いライダーは多いのではないでしょうか。では、このホンダのカラーリングいつ頃から使い始めたかというと、1970年代にさかのぼるようです。


トリコロールカラーで、ツートーンカラーのシートのFTR(画像:ホンダ)

 トリコロールカラーの始まりは、1970年代のアメリカン・ホンダのモトクロスチームのライダーウェアからだったといわれています。そのウェアが赤・白・青という配色でした。このパターンといえば一般的にフランス国旗のイメージが強く、フランス国旗を単にトリコロールと呼ぶこともありますが、実はアメリカ国旗も同じ色。モトクロスチームのライダーウェアの色はアメリカの星条旗からきたといわれています。ただ、まだマシンにこのカラーは採用されていませんでした。

 初めてトリコロールカラーのマシンが登場したのは、1973年、アメリカのデイトナ200マイルレースに出場したCB750レーサーといわれています。日本人ライダー・隅谷守男選手が乗って6位に入賞したマシンが、ウェアと同じ赤・白・青というカラーリングでした。

 ホンダではこのマシンを初のトリコロールカラー採用車両としていますが、ホンダ・レーシングの前身であるレーシング・サービス・センター(RSC)が1973年に採用したロゴに関しても、黒地からトリコロールへとデザインが変更されており、この頃には既に、ホンダ=トリコロールという認識ができていたようです。

 その後、ヨーロッパ耐久選手権で1976年にデビューしたRCB1000は最初からトリコロールが採用されており、1980年代に入ると本格的にトリコロールの時代がやってきます。1982年にはパリダカールラリーに出場したシリル・ヌヴーがXR500Rを駆りホンダに同レース初優勝を持ち帰りました。さらに、ホンダはNXR750で1986年〜1989年のパリダカールラリーで4連覇を果たします。この頃になると、レース用のマシンをイメージしたトリコロールの市販車も発売されるようになり人気を獲得。一般車の間でもホンダといえばトリコロールの認識が高まります。

 最近のロードレース世界選手権(MotoGP)に参戦している、ホンダのワークスチーム「レプソル・ホンダ」のカラーリングはトリコロールではあるものの、黄・白・オレンジのパターンとなっています。しかし、現在でも市販車の新車のカラーリングとしては、赤・白・青のパターンが採用されているものは多く、同パターンの配色はホンダのバイクを代表する色となっています。