2022年、JALグループからは斬新な特別塗装機や新塗装機が生み出されました。JAL本体よりも、グループから強烈な個性を放った機体も。塗り替えないとちょっとヤバイ……とばかりに生まれ変わったものもあります。

「鶴丸が金」の特別機が限定運航

 2022年、JAL(日本航空)グループからは特別塗装機や新塗装機が生み出されました。どのような塗装で、どのような経緯でデザインが導入されたのでしょうか。


「金の鶴丸」が施されたJALのJA835J(乗りものニュース編集部撮影)。

 JALでは2022年、新たに「ディズニー」キャラクターの新特別塗装機や、新鋭機であるエアバスA350-900やボーイング787に施された「oneworld」塗装機が出現しましたが、もっともインパクトがあるものとして挙げられるのは、2月から4月に突如出現した、尾翼のロゴマーク「鶴丸」が赤ではなく金色になった「金の鶴丸」塗装機(ボーイング787。JA835J)でしょう。

 JALによるとこの機のデビューは、2022年冬季に開催された北京五輪の出場選手へむけ、JALのスタッフからの感謝の気持ちを表したものとのこと。鶴丸が金色に塗られるのは、JALの歴史上この機が2機目です。

 初めて「金の鶴丸」をまとったJAL機は、東京五輪開催にあわせた特別塗装機「みんなのJAL2020ジェット3号機(エアバスA350-900の「JA06XJ」が担当)」で、こちらは2021年7月から12月まで運航されました。初代「金の鶴丸」機が惜しまれつつ運航を終了してからおよそ2か月、五輪シーズンにあわせて、この派手な尾翼デザインが別の機体で“復活”することになったのです。

 ただ、2022年に派手な新塗装をまとった機体が生まれたのは、JALそのものよりも、同グループに属する航空会社の機体といえるかもしれません。

「クロネコ」「Z消滅」、JALグループらからデビューした斬新塗装

●JALグループ運航の新顔、まさかの「クロネコ」!

 2022年1月、JALが2024年より新たなスタイルで貨物機の運航を開始すると発表しました。宅配大手のヤマトホールディングスがこの貨物機を保有し、JALグループが運航を担うというものです。このデザインイメージとして公開されたのが、まさに「クロネコヤマトの貨物機」といった塗装をまとった機体でした。

 デザインイメージはまだ確定前とされていますが、胴体がグレー、もしくは塗料を塗らない“ベアメタル”をベースカラーとし、胴体前部にヤマトホールディングスのシンボル「クロネコマーク」と社名が描かれているというもの。垂直尾翼は黄色をバックに、親ネコと子ネコのシルエットを直線的に表現した「アドバンスマーク」がデザインされています。使用する機体は、エアバスA321ceoP2F。旅客機(中古機)を貨物専用機に改修したもので、3機を導入し、羽田・成田・新千歳・北九州・那覇に就航予定です。


ヤマトホールディングスが導入する貨物専用機のイメージ(画像:JAL)。

●「ウクライナ問題」の影響、まさかの尾翼デザインにも影響?

 JALグループの中長距離路線を担当するLCC(格安航空会社)として、2020年に新規就航したZIPAIRが2022年6月、機体デザインの刷新を発表しました。従来は胴体にグリーンのラインにロゴマークが入り、尾翼に大きく「Z」の文字が描かれていましたが、この尾翼の「Z」マークが消え、新たなものに変更されたのです。同社は直接的な塗装変更の要因とはしていないものの、ウクライナとロシアの軍事侵攻などが背景にあったものと見られます。

 同社ではまず6月18日より、まず「Z」が消えた尾翼デザインをもつ「デカール仕様デザイン」で運航を暫定的に開始。その後さらに「ペイント仕様デザイン」へ塗り替えられ、こちらは10月から順次就航しています。

※ ※ ※

 このほか2022年は、JALグループでおもに国内線を担当するLCC、ジェットスター・ジャパンから「オレンジの尾翼」をまとった新型機「エアバスA321LR」がデビュー。また、2023年には、北海道を拠点とするHAC(北海道エアシステム)から、ボーカロイド「初音ミク」を派生させた北海道を応援するキャラクターである「雪ミク」の特別塗装機がデビューする予定です。