2歳牝馬の頂点を決めるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)が12月11日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1〜3番人気までの有力馬がコンスタントに結果を残している一方で、伏兵の台頭もしばしば見られる。おかげで、3連単では何度か好配当が生まれており、2012年には5番人気のローブティサージュが勝利し、2着に15番人気のクロフネサプライズ、3着に10番人気のレッドセシリアが入って、300万円超えの高額配当が飛び出している。

 昨年も3番人気のサークルオブライフが勝利するも、2着に8番人気のラブリイユアアイズが突っ込んできて、3着に4番人気のウォーターナビレラが入り、11万4300円という高配当をつけた。

 となると、今年もオイシイ配当をもたらしてくれる穴馬の激走を期待したくなる。そこで、過去10年の結果を参考にして、その候補となる馬をあぶり出してみたい。

 まず目が行くのは、前走で関東の1勝クラス(旧500万下)を制してきた馬である。というのも、こうした臨戦の馬が何度も上位争いを演じているからだ。

 たとえば、2013年に8番人気で3着と好走したフォーエバーモア、2014年に5番人気で勝利したショウナンアデラ、2017年に4番人気で3着に入ったマウレア、2019年に6番人気で2着入線を果たしたマルターズディオサ、2020年に2番人気で2着に入ったサトノレイナスらがそうだ。

 ならば、今年もこのタイプが狙い目となる。出走メンバーを見渡してみると、条件に当てはまる馬が2頭いた。

 サンティーテソーロ(牝2歳)とミスヨコハマ(牝2歳)だ。


阪神JFでの一発が期待されるサンティーテソーロ

 サンティーテソーロは、2戦目の未勝利で5馬身差の逃げ切り勝ちを決めると、続く前走の1勝クラス・サフラン賞(10月2日/中山・芝1600m)も逃げて、後続に3馬身差をつける圧勝劇を披露。その勢いに乗って、GIに挑む。

 片や、ミスヨコハマは2戦目の未勝利で初白星を挙げると、その後はGIII函館2歳S(7月16日/函館・芝1200m)で5着、オープン特別のすずらん賞(9月4日/札幌・芝1200m)で3着、GII京王杯2歳S(11月5日/東京・芝1400m)で7着と奮闘。そして、6戦目の1勝クラス・赤松賞(11月20日/東京・芝1600m)を勝って、阪神JFに駒を進めてきた。

 過去の例から2頭とも楽しみな存在ではあるが、阪神JFの過去10年で馬券に絡んだ30頭の戦績を改めて見てみると、そこまでに5戦以上こなしてきた馬は1頭もない。2012年に2着となったクロフネサプライズの4戦が最多だ。

 このデータから、ミスヨコハマの評価を落として、ここではサンティーテソーロを穴馬候補として推したい。

 次に注目したいのは、前走で重賞勝ちを遂げていながら人気薄だった馬だ。

 こうしたパターンの好走馬も多く、2013年に5番人気で勝利したレッドリヴェール、2014年に4番人気で3着に入ったココロノアイ、2019年に4番人気で完勝したレシステンシア、2021年に4番人気で3着と奮闘したウォーターナビレラらがいい例となる。

 そして今回、前走で重賞を勝ってきた馬は、キタウイング(牝2歳)、ドゥーラ(牝2歳)、ラヴェル(牝2歳)、リバーラ(牝2歳)と4頭いる。そのうち、GIIIアルテミスS(10月29日/東京・芝1600m)の勝ち馬ラヴェルは上位人気が予想される。

 残るは3頭。キタウイングは2戦目で未勝利を勝ち上がって、続く前走のGIII新潟2歳S(8月28日/新潟・芝1600m)を勝利。道中は後方の内を追走し、最後は上がり33秒0の末脚を繰り出して差し切り勝ちを決めた。

 ドゥーラも2戦目の未勝利で評判馬を下して勝ち上がり、前走のGIII札幌2歳S(9月3日/札幌・芝1800m)を好位から差し切り勝ち。牡馬相手でも1番人気に推され、その人気に応える見事な走りを見せた。

 リバーラもまた、新馬戦3着のあと、未勝利で初白星をマーク。前走のGIIIファンタジーS(11月5日/阪神・芝1400m)では10番人気の低評価だったが、先手を奪うとリズムよく運んで、鮮やかな逃げ切り勝ちを収めた。

 重賞の勝ち馬であることを考えれば、本来なら3頭とも上位人気を争ってもおかしくないが、今回は先述したラヴェルと、同じくアルテミスSで2着となったリバティアイランドが下馬評では抜けている。その分、ここでは実績のわりには人気薄となりそうだが、過去例に挙げた馬たちと同様、いずれも前評判以上の激走を果たしても不思議ではない。

 ちなみに、過去5年の阪神JFではファンタジーSの勝ち馬が3頭、馬券に絡んでいる。こうした状況を踏まえると、リバーラにより食指が動く。

 若き2歳牝馬がしのぎを削るGIの舞台。まだ経験の浅いメンバーの争いゆえ、波乱の要素は十分にある。ここに挙げた面々のなかに、その一端を担う馬がいるかもしれない。