豊洲〜住吉間で東京メトロ有楽町線の延伸(豊住線)と、豊洲駅の改良工事を行う計画が進行しています。開業によりどのような効果があるでしょうか。延伸区間の現場を見てきました。

豊洲駅〜住吉駅を結ぶ都営バスはない

 2022年3月、東京メトロは有楽町線延伸(豊洲〜住吉間:豊住線)の鉄道事業許可を受けました。同時に豊洲駅(江東区)の改良工事も行われる計画で、同年8月にはこれらの都市計画素案説明会が開催されるなど、建設の準備が進められています。


東京メトロ有楽町線などで使われる17000系電車(2022年11月、大藤碩哉撮影)。

 豊住線は有楽町線の分岐線として位置付けられます。距離は約5.2kmあり、中間には3つの駅が計画されています。なお、延伸区間の建設に伴う都市計画の変更区間は約4.9kmとされています。新線が延び、新駅が誕生する現場を見てきました。

 ルートとしては、豊洲駅から分岐して北東に90度曲がったのちに直進。江東区枝川二丁目付近に1つ目の駅、枝川(仮称)を設置します。付近には都営バスの枝川二丁目バス停があり、豊洲駅を経由するバス路線が設定されています。

 枝川(仮称)駅からはS字を描く線形で、汐見運河やJRの越中島貨物駅、東京メトロ東西線の車両基地である深川車両基地の下を通ります。さらに北に向けて進み、東西線と交差したところに2つ目の駅として東陽町駅(江東区)が設置されます。東西線のホームと接続して乗り換え可能とされています。

 東陽町から先は四ツ目通りの下を進み、3つ目の駅として江東区千石二丁目付近に千石(仮称)駅が設けられます。この付近には都営バスのバス停として千石二丁目や千田があり、東22系統(東京駅丸の内北口・東陽町駅〜錦糸町駅)のバスなどが頻繁に走っています。千石(仮称)駅から先もそのまま真北に進み、半蔵門線の線路と合流すると住吉駅(江東区)です。

豊住線開業で期待されること

 豊洲駅と住吉駅では、すでに豊住線用の線路が用意されています。特に住吉駅では、半蔵門線の渋谷方面が地下3階、押上方面は地下4階にあり、ホームが2段となっていますが、半蔵門線のホームに豊住線が並ぶ形になっています。このため、半蔵門線の渋谷方面のホームで折り返しを行う列車と、押上方面のホームで折り返しを行う列車の2パターンが設定されるものと予想されます。

 また、豊住線から半蔵門線へ直通列車が設定されるかについては具体化されていないものの、議論はなされている模様です。


豊洲駅の新木場方面の線路では、壁を取り壊して新しいホームが設置される(2022年11月、柴田東吾撮影)。

 豊住線の開業により、東京東部での南北移動や千葉県北西部〜臨海副都心間のアクセス改善されるほか、東西線の混雑緩和も期待されています。そして全線が江東区内にありますが、特に今までバスしか通っていなかった枝川地区や千石地区などで、交通の利便性が向上するでしょう。

豊洲駅でも改良工事

 なお起点となる豊洲駅では、有楽町線の新木場方面にホームが新設され、ホームと改札口を接続する階段やエスカレーター、エレベーターの整備が行われます。現状では、豊住線の発着する予定の線路はふさがれ、その分ホームが拡張されていますが、開業した際には再び線路に戻される予定です。