5人の解説者がズバリ予想する日本代表のグループリーグの勝敗と最終成績。カタールW 杯でどこまでいけるのか
解説者5人が語るカタールW杯プレビュー/
日本代表のグループリーグ勝敗予想編
カタールW杯がついに開幕した。日本の初戦は11月23日。強豪ドイツと激突する。以降、グループリーグではコスタリカ(11月27日)、スペイン(12月1日。日本時間12月2日)と対戦するが、日本はそこでどんな成績を残せるか。また、最終的にはどこまで勝ち進むことができるのか。5人の解説者に予想してもらった――。
日本代表はカタールW杯でどこまで勝ち上がることができるか
以前より期待度はだいぶ上がっている
木村和司氏
◆グループリーグ勝敗予想=2勝1分
◆最終順位予想=ベスト4
星の計算をするのはどうかと思うが、日本代表への期待度はひと昔前に比べてだいぶ上がっているのは確か。というのも、代表メンバーの多くが海外のクラブに在籍していて、しかも試合に出て、活躍しているからだ。
つまり、日頃からフィジカルの強い選手たちと対峙し、外国人選手にも、海外のサッカーにも慣れている。ゆえに、今では欧州や南米のチームと対戦しても臆することはないし、球際での競り合いにも屈しない。その辺りは、過去の日本代表とは明らかに違う。
W杯の戦いにおいては、守備がベースになるだろうが、どれだけ攻撃ができるかがポイント。その点では、攻撃から守備、守備から攻撃といった切り替えの早さが重要になる。ボールを失っても、相手陣内で奪い返して速い攻撃を仕掛けていきたい。その辺りを徹底し、そういった形をできるだけ多く作っていくことができれば、ドイツやスペインが相手でも勝つチャンスは巡ってくると思う。
とにかく期待を込めて、グループリーグは2勝1分け。以降は、できるだけ勝ち上がっていってほしい。森保一監督が考えていることが実践できれば、躍進の可能性は大いにある。そのためにも、しっかり応援したいし、みんなにも応援してほしい。それが、日本代表の力になるはずだから。
ロシアW杯の雪辱を果たしてほしい
福西崇史氏
◆グループリーグ勝敗予想=1勝1分1敗
◆最終順位予想=ベスト8
初戦でドイツから勝ち点をとりたいところ。コスタリカにも勝利して、3戦目のスペインは勝っても負けてもいい状態で進むのが理想だ。
ドイツは全員攻撃全員守備でくるので、日本はそれを上回る守備と攻撃をやるしかないが、チーム一丸としてでないと効果はない。日本の持ち味はいつの時代も組織力で、森保一監督は4年間でそれを作り上げてきた。だから、ユニットであったり、コンビネーションの部分を重点的に出すことができるかどうかだと思う。
攻められっぱなしではいけないが、最終的には引き分け狙いが見えるくらいでもいいのではないか。最後でプレッシャーがかかり、リスクを負わないといけないのはドイツのほう。であれば、攻めさせてカウンターを狙うといった割りきりがあってもいい。
ベスト16ではベルギーと戦って、ロシアW杯の雪辱を果たしてほしい。4年前に悔しい思いをしている選手は何人かいて、それを晴らすのはワールドカップでしかできない。ベルギーに勝ってベスト8に行けたら最高だ。
森保監督のマネジメントがカギ
名良橋晃氏
◆グループリーグ勝敗予想=1勝1分1敗
◆最終順位予想=ベスト16
ドイツ、スペインという強豪、そしてコスタリカも侮れないグループリーグを何とか突破してほしい。ただ、ここでの消耗が激しく、期待はベスト8だが、予想はベスト16かなと思う。
とにかく初戦がヤマだ。星勘定はよくないが、初戦で勝ち点をとらないと厳しい。日本は9月シリーズでシステムを変えたように、本大会はある程度ボールを握られる想定で、リアクションサッカーになるだろう。そこで、今の日本代表のベースである「いい守備からいい攻撃」をどれだけ繰り返していけるかだ。
守備では、選手がどれだけ同じ絵を描けるかが大切。相手に隙、スペースを与えないことを、チームでどれだけ共有できているかが大事なところだろう。攻撃では、セットプレーの重要性が増す。アジア予選や親善試合ではあまりいいシーンが見られなかったが、ここはあえて見せていなかったと信じている。
コスタリカとの戦いは、初戦の状況次第だが、向こうも勝ちたいゲームになるだろう。相手の守備ブロックに対して日本が得点をとりたい状況になった場合、9月のアメリカ戦の途中でも見せた、2トップのオプションも必要かもしれない。
スペインは、ルイス・エンリケ監督になって、ボールを持ちながら矢印は前向き。ハイプレスからのショートカウンターという形だ。ただ、DFラインが高いので、日本は相手にボールを握られたなかでも、背後をとるチャンスはあると思う。ミドルサードで奪ってのカウンターが理想で、セルヒオ・ブスケツの脇を突いていきたい。
あとは、暑さのなかの戦いになるので、5人交代枠をフルに使うべき。森保一監督のマネジメントは不可欠になってくる。
最終的にはGKのプレーが大切
福田正博氏
◆グループリーグ勝敗予想=1勝2分
◆最終順位予想=ベスト8
目標のベスト8を想定すれば、グループリーグは1勝2分で行きたい。1勝1分1敗で得失点差勝負になると厳しいだろう。2つの引き分けとは、ドイツとスペインに引き分けるということだ。
サッカーは、点をとれなくても引き分けられる。つまり、確実に必要なのは、守備の部分で失点しないこと。そのためには、最終的にはGKのプレーが大切で、決定的なシーンは相当数作られると覚悟しておいたほうがいいが、そこでビッグセーブできるかが結果に大きく関わると思う。
そのGKだが、シュミット・ダニエルにかけてもいいかもしれない。シュートストップという点で、身長197cmというサイズの長所を最大限生かすのだ。
攻撃面では三笘薫に期待している。コンディションが心配な面はあるが、直近のプレミアリーグでのパフォーマンスは相当よかった。川崎フロンターレで活躍していた頃のようなプレーを見せている。ワールドカップでは組織的に守ってくる相手に個で打開できるといいが、そこが期待できそうだ。
先発で使うのか、途中交代でいくのか、その判断も大切になってくるだろう。
試合全体の流れを作るキーマンは他にいるが、こと試合を決めるという点ではペナルティーエリアのなかで仕事をする選手が重要。GKと前線の選手に期待している。
コスタリカ戦とスペイン戦に希望
風間八宏氏
◆グループリーグ勝敗予想=1勝1分1敗
◆最終順位予想=ベスト8
日本がうまく戦うことが前提になるが、1勝1分1敗でグループリーグを突破。その後は、期待を込めてベスト8まで進むと予想する。
このグループは、ほとんど穴が見当たらないうえに、中盤から前にバイエルンの選手をそろえているドイツが最強だと見ている。それだけに、さすがに日本が初戦で勝つのは難しいと思うが、コスタリカ戦とスペイン戦には希望を持っている。
ただし、日本の傾向からすると、実は勝って当たり前のように見えるコスタリカに苦戦するのではないかという不安がある。というのも、日本はドイツやスペインのように、自分たちの形を持っている相手にはいい試合をするが、そうではない相手を苦手としているので、ドローの可能性が十分にあるのではないだろうか。
逆に、スペインは中盤にいい選手が多いものの、日本の中盤も十分やれる力はあるし、スペインにはドイツほどの速さはない。しかも、スペインのような近い距離感でサッカーをしてくれれば、日本が一方的にボールを保持される展開にはならないと思う。そこで勝ち点3を獲得して、決勝トーナメントに進出できるのではないか。
ラウンド16の相手はベルギーかクロアチアの可能性が高い。だが、どちらもブラジルのような圧倒的な強さがあるわけではないので、互角に戦えるはず。どういう形でもいいので、勝ってベスト8に進出してもらいたい。
(取材協力/中山淳)