マイルチャンピオンシップ・セリフォス (C)競馬のおはなし

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 ダミアン・レーン騎手の見事な手綱さばきによって、セリフォスが大外一気の末脚で阪神の直線を切り裂き、見事にG1のタイトルを手にした。若干の降雨の影響もあり、午前中は稍重まで悪化したが、午後には良馬場に回復。それでも完全な良とは言えず、得手不得手も多少出る馬場状態だった。

 先週のエリザベス女王杯では降雨の影響で、外を通った馬に有利なバイアスが働いており、今週も雨の行方は競馬ファンも気になっていたに違いない。この日は午前中から稍重の状態でも、内を通った馬も十分残っており、比較的内外フラットな状態だったかとは思われる。

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総合力が問われたか
マイルチャンピオンシップ レース写真 (C)競馬のおはなし

 ペースは前半を46.6-45.9と少し遅めの平均ペースといったところ。各馬の着順を見ても、結果的にどのポジションからでも狙える総合的な能力が問われる展開だったかと思え、上がりは11.6-10.8-11.6と、間で10秒台を踏んでいるように加速力も問われて力と力のぶつかり合いとなった。直線半ばで見られた横一線の追い比べは迫力十分で、2着〜5着の掲示板内は0.1秒差で4頭がひしめく大接戦だった。
 
 勝ったセリフォスはスタート五分に出て、内へ切れ込んでいき馬群の中で末脚を温存。道中は無駄な動きもせずにじっと我慢して、ラストの末脚を引き出した。勝負どころでも一拍置いてから動き出しているようにも見え、外に持ち出すタイミングも絶妙だったと思われる。馬の成長力、無駄なく落ち着いた手綱さばき、全てが噛み合い、別馬になったかのような豪快な差し切り。素晴らしい成長力と能力で掴み取った秋のマイル王だった。

 2着のダノンザキッドは昨年はこのレースで僅差の3着。勝ち星からはやや遠ざかっているものの、常に重賞戦線では上位争いを演じている存在で、この舞台の適性も非常に高いのだと思われる。上積み、適性、そしてソダシの後ろから虎視眈々とスペースを狙い、狭いところを抜けてくる好プレーも相まって2着を確保した。

素晴らしい根性を発揮したソダシ
マイルチャンピオンシップ・ソダシ (C)競馬のおはなし

 3着のソダシは激しい追い比べの中でも地力を発揮。この条件下では牡馬の中に混じってもやはり強かった。得意の芝のマイル戦で初めて土が付いたが、先行5番手から抜け出しを図って、直線では飲まれそうで飲まれず、狭いスペースで他馬とぶつかり合いながらももうひと踏ん張り。素晴らしい勝負根性で馬券圏内3着を死守した。

 4着のソウルラッシュは、中団から安定した差し脚は繰り出すものの突き抜けられず。結果的に外外を回される格好となり、厳しい形でも自ら勝ちにいく競馬で、良い脚を繰り出したがあと一歩及ばなかった。後方からでも中団からでも脚はしっかりと使ってくるタイプに見え、G1で勝つにはもうひと脚あればという印象。展開なのか馬場なのか、もう一つ何かが乗っかる必要があるのかもしれない。

 5着のシュネルマイスターは昨年の2着馬で最終的には1番人気に支持された。前走1200mを使った効果なのか、序盤から行き脚も良さそうで中団外目へ。同馬にとって理想的な位置取りだったとは思われる。鞍上のルメール騎手は「柔らかい馬場」を敗因にはあげており、伸びがひと息だったことを振り返った。また、直線入口から外から締められる場面もあり、厳しい競馬を強いられたが、それでも坂を登って詰めてはきており、総合的に噛み合わなかったが地力は示したか。

3年連続出走も…
マイルチャンピオンシップ・サリオス (C)競馬のおはなし

 14着に敗れたサリオスは馬場の影響があったのか、前走のレコード駆けの反動があったのか、良いところが見せられず負け過ぎの印象も。勝ち馬とほぼ同じような位置にいたが、直線内へ進路をとって流れ込むようにゴールした。2歳時にこの舞台でG1勝ちがあるものの、3年連続マイルCS出走で1度も馬券にも絡むことが出来ておらず、このレースとは今一つ噛み合わない。年齢的にもやや忙しくなりつつあるのか、距離、コース、輸送、馬場、体調など、このレースに関しては様々な要因が重なり合っていそうだ。