カタールW杯で優勝するのはどの国か。解説者5人が予想したのは戦力充実のあのサッカー大国
解説者5人が語るカタールW杯プレビュー/優勝国予想編
いよいよ始まるカタールW杯。各国の情報が日々更新されていくなか、果たして頂点に立つのはどこになるのか。スポルティーバでは解説者5人に優勝国予想をしてもらった。
欧州ビッグクラブでプレーする選手が多いブラジル
風間八宏氏
◆優勝国予想=ブラジル
予想が難しいところだが、メンバーを見ると、やはり選手層の厚いブラジルが優勝候補最右翼だと思う。
まず、アリソン(リバプール)とエデルソン(マンチェスター・シティ)のように、GKにものすごい能力を持った選手が2人もいるのがその象徴だ。そのほか、最終ラインと中盤にもワールドクラスが揃っているし、何と言っても前線にはネイマールがいる。
現在のネイマールは、所属のパリ・サンジェルマンでも最高の状態だし、今年の6月に日本と対戦した時と比べると、まったく別人のようになっているので、カタールでは輝きを放ちそうな予感がする。
しかも、ブラジル選手のほとんどがヨーロッパのトップクラブに所属していて、同じチームでプレーしている選手も多い。そういういろいろな要素を重ね合わせると、最も優勝に近いチームはブラジルだと見ている。
対抗馬として挙げられるのは、ヨーロッパ勢ではドイツになると思う。現在のドイツは、中盤から前線にかけてバイエルンの選手を多く揃えているので、コンビネーションの面でものすごく安定している。
そのほかでは、故障者の状況次第だが、ヨーロッパ勢ではフランスが、南米勢ではアルゼンチンあたりが優勝する力を持っているチームだと思う。
(取材協力/中山淳)
福田正博氏
◆優勝国予想=ブラジル
今回は優勝候補の筆頭だろう。南米勢がしばらく優勝していないので、願望も込めてブラジル。このまま欧州のチームが優勝し続けると、大会はワールドカップではなく、ユーロになってしまう。
エースのネイマールの状態がよく、一番脂が乗っている大会になりそう。彼の大会にしてもらいたいなと思っている。ほかにもタレントがそろっていて、うしろもビッグクラブでプレーしている選手ばかりで守りが堅い。
ただ、ブラジルは相手に対策を取られ、守られることが多い。それだけに、前線の選手たちがそれを上回るプレーをどれだけできるかどうかにかかっている。
その点では、ネイマールだけではなくて、ヴィニシウスの成長がものすごく大きいと思う。ここ1、2年で急成長した現在のヴィニシウスは、ほかの選手と比べて圧倒的な違いを出せるし、相当にいい状態。自由奔放なところもあって、ブラジルらしい選手だ。今大会でブレイクする選手のひとりになるだろう。
これに対抗できるのは、同じくタレントが豊富なフランスくらいだろうか。
チームがすごくまとまっている福西崇史氏
◆優勝国予想=ブラジル
ワールドカップはここのところずっと欧州勢の優勝が続いていて、今回も各国優勝候補とは言えるのだが、絶対的な強さには欠ける印象。
その点で、今回の南米勢、ブラジルやアルゼンチンは、チームのまとまりもあって期待ができる。
ブラジルは、どこのポジションにもトップクラスの選手がいて隙がない。いつもは個々の強みはあるが......という点で終わっていたが、今回はチームとしての強みを感じる。特に守備面でそれはよく表れていて、個々のディフェンスもチームとしての守備も世界レベルだ。
攻撃はどこからでも点がとれる。そしてチッチ監督がうまくチームをまとめてきている。すべての要素がうまく合致しているのが今大会のブラジルじゃないかと思う。
こうしてひとつにまとまった時のブラジルは強い。
ネイマールだけに頼るチームではない名良橋晃氏
◆優勝国予想=ブラジル
ここはいつもぶれずにブラジル一択。私自身がブラジル人の指導者にサイドバックのプレーを刷り込まれたし、ジョルジーニョという師匠がいたこともある。
その右サイドバックがダニーロで、ちょっと弱いかなと思わなくもないが、ほかのポジションの選手と比べればという程度。ここには大ベテランのダニエウ・アウベスも控えているし、その雄姿を見られるのが楽しみ。
チッチ監督の集大成となる今回のチームは、うまさもあって、プレーの質も運動量もあって、規律もあってハードワークもできるチーム。以前のようにネイマールだけに頼っているチームではない。ヴィニシウス、ロドリゴ、ラフィーニャといったアタッカーもいて、彼らはハードワークもできる。前線ではペドロという起点になれるストライカーも入ってきて、いろんな攻撃のバリエーションがある。
前回優勝の2002年は日韓W杯でアジアだった。今回のカタールもアジア。舞台は揃っているし、6回目の優勝に大いに期待だ。
そろそろ優勝しないといけない木村和司氏
◆優勝国予想=ブラジル
正直、この質問が一番嫌なんだけど、そろそろ「優勝しないといけない」という意味で、ブラジル。それは、ネイマールがいるからでもある。彼がいる間にブラジルは優勝しないといけないと思うし、本人もそう思っているのではないか。
ネイマールはそれだけの選手。うまいし、点もとれるし、見ていて面白い。世界トップレベルの選手で、彼のすごさを周りも認めている。
チーム全体としても、豊富なタレントがそろっていて、優勝するだけの戦力は備わっている。ここ最近は欧州勢の優勝が続いているが、2002年W杯以来となるブラジルの優勝に期待したい。
それが実現できれば、ネイマールもスーパースターの仲間入り。そして、あのW杯は「マラドーナの大会だった」とか「ジダンの大会だった」とか言われると同様に、カタールW杯は「ネイマールの大会だった」と語り継がれるようになるだろう。